10月25日(火),28日(金),11月1日(火),4日(金)の計5回「核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミー」ウェビナーセッションが開催されました。ウェビナーセッションで参加者は,招待されたNGO組織のメンバーや,大学教授などと,核軍縮や,SDGs,核問題と環境問題の関連性などについての意見交換などを行いました。
10月25日(火)核兵器の非人道性や,環境に及ぼす影響
10月25日のウェビナーセッションでは被爆者の近藤紘子さんと,アメリカの核実験により,放射線の影響を受けたMary Dicksonさんをゲストに迎え参加者は意見交換を行いました。
近藤紘子さんは,被爆当日のお話や,原爆を投下したB-29の操縦士に会い,それまで抱いていたアメリカへの復讐心をなくした体験などを話されました。
お話の後の質疑応答で,被爆体験をもっと広めていくために何ができるかという参加者からの質問に対して,紘子さんは「些細なことでもできることをしてほしい。こうやって若い世代の人が核廃絶のためこのようなセミナーに参加するなど行動を起こしてくれることは嬉しいことです。」と述べました。
Mary Dicksonさんはアメリカの核実験による放射線の影響でご家族や親せきを亡くされた体験や,ご自身もがんを患った体験などを話されました。
10月28日(金) 核軍縮がSDGsの目標達成にどのように関連しているか
10月28日のウェビナーセッションではへいわ創造機構ひろしま(HOPe)の島田久仁彦 プリンシパル・ディレクターと,人種差別撤廃のための組織New Detroit所属のRebecca Irbyさんをゲストに迎えました。
島田プリンシパルディレクターは参加者に対して,「将来どのような世界で暮らしたいか」という質問を問いかけ,平和な未来のために,へいわ創造機構ひろしま(HOPe)が持続的に平和を実現していくために取り組んでいることなどについて講義を行いました。
Rebecca Irbyさんは人種差別と植民地支配についての講義をされました。講義の中では,人種差別や,植民地化に関するアンケートやクイズなどのアクティビティーも行われ,参加者が人種差別についてどのような考えを持っているかなどについて講師や,参加者同士で様々な意見交換が行われました。
11月1日(火)第一部: 過去,現在,未来において,核兵器が環境に及ぼす影響
11月1日は二部構成で行われました。第一部ではまず,オタゴ大学のKarly Burch教授が,核兵器や原子力発電などが,自然環境にどのような影響を及ぼすかということについての講義をされました。講義の中でBurch教授は,「原子力発電には二酸化炭素を排出しないことや,発電コストを安く抑えられるという利点はあるけれども,危険な面や環境に悪影響を及ぼすという面もある」と指摘し,福島第一原発での事故などを例に挙げ,参加者に放射線の危険性について話されました。
次にICAN運営委員/核戦争防止国際医師会議(IPPNW) Ira Helfandさんが各国の核保有量の現状や,核兵器が実際に使われるとどうなるのかの講義をされました。
Helfandさんは,ロシア・ウクライナ戦争の勃発を踏まえ,核戦争の勃発が日に日に現実味を帯びていることを指摘されました。
また,「核抑止についてどのように考えていますか」という質問に対して,核抑止は機能しないという自身の意見を歴史的背景などを根拠に参加者に説明されました。
第二部:国際連合,SDGs,核軍縮
第二部では,国際連合事務次長軍縮担当上級代表の 中満泉さんが昨今の世界情勢を踏まえ,核兵器が戦争で使用される危険性が高まっていること,核軍縮のための条約やコミュニティーが必要であること, 核軍縮とSDGsの関係性などについて参加者に説明されました。
質疑応答では「若者が核廃絶に貢献するには,どのように活動すればよいか」などの質問が寄せられ,参加者は中満さんから核兵器廃絶に向け活動するための様々なアドバイスを受けました。
11月4日(金)核兵器の財政的側面
11月4日のセッションでは,まずICAN Financial Sector CoordinatorのSusi Snyderさんが,企業が核兵器廃絶のために行っていることや,核兵器を廃絶することで何兆ドルのお金を節約することができるかなど,核廃絶の経済的な効果について説明されました。
次に,Head of Sustainable Investiment Research at Bank fur Kirche und Caritas(BKC) のTommy Piemonte さんが, 金融機関が核兵器廃絶のために担う役目についての講義をされ, 核兵器や,その他の兵器を製造する会社に対して金融機関が投資をしないようにするための基準などについて説明されました。 講義後の質疑応答では,「核軍縮のために投資することで,核廃絶にどれほど貢献することができるか」等,多くの質問が 二人の講師に 寄せられました。