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国際平和拠点ひろしま

平和を発信する新たな拠点 基町プロジェクト「基町資料室」

広島市の中心地に位置する基町地区は、かつては原爆により壊滅状態となりました。その後、応急住宅地などを経て、1970年代に全国でも類を見ない高層アパートの市営住宅へと変貌を遂げ、現在もその姿を残しています。そんな基町の変遷を紹介する「基町資料室」が、2020年に常設されました。運営するのは、広島市中区と広島市立大学が連携し地域を活性化するために始まった「基町プロジェクト」。今回はその運営に携わる、スタッフの片島蘭さんにお話を伺いました。

「基町プロジェクト」は、2013年より基町市営住宅内に拠点を置いています。若者を中心にした創造的な文化芸術を通じて、街の魅力づくりや基町住宅地区の活性化に取り組んできました。これは、広島市が被爆100年を見据えて実施する「まちづくり先導事業」の一つにもなっています。2020年には基町プロジェクトのデジタル・アーカイブ活動で集まった資料を、「歴史、建築、地域」という3つのテーマを掲げて常設公開する「基町資料室」をオープンさせました。約7年かけて集めた貴重な写真や資料を見ることができ、訪れた人と地区の住民の方との交流の場ともなっています。

基町地区では、被爆1年後には木造の応急住宅(仮設住宅)が、広島県、広島市、住宅営団によってつくられました。主に、戦地から帰ってきた軍人や、中国東北部から日本へ戻ってきた方が入居していたそうです。そして被爆30年後、市営の高層住宅「基町アパート」が建てられました。76年経った現在、周辺の木々が成長し、自然あふれる場所になっています。高層アパートになる前にも人々の暮らしがあったというのは、私も知らないことでした。
資料室には1945年7月から現代までの空撮の写真も展示しているので、たくさんの人が努力をされて街をつくってきたことが感じられると思います。 

広島の平和記念資料館は、慰霊と核の脅威を伝え、平和を発信する場所ですが、基町資料室では「復興と創造」というテーマで平和を発信していきます。軍事都市だった広島が、福祉が充実した平和都市に生まれ変わり、基町地区に約3000世帯の市営住宅が生まれた過程を知ることは、紛争地域や、災害の被災地がどのように街を再生し復興していくのか、一つの指南にもなるのではないかと思っています。

また、若者がアートやデザインを通して活躍していくことも平和に繋がると考え、アートイベントの企画・発信にも力を入れていく予定です。ここが広島の観光名所の一つのようになって、コロナが明けた際には、外国の方や修学旅行生も立ち寄っていただけると嬉しいです。過去を知ることで未来を考える場にできたらと思います。

【基町資料室】
住所:広島市中区基町 分散店舗208号(M98向かい)
※ご利用の際は基町プロジェクト活動拠点M98までお越しください。

【基町プロジェクト拠点 M98】
住所:広島市中区基町16-17-2-103(基町郵便局2つ隣)
電話: 082-555-8250
時間:水~日曜 12:00-17:00
休み:月・火曜

基町プロジェクトHP: https://www.motomachiproject.net/

※参考文献:
広島平和記念資料館編『平成24年度1回企画展「基町」姿を変える広島開基の地』 P10-11
広島市編『広島市被爆70年史 あの日まで そして、あの日から 1945年8月6日』 P302-309


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