夏休みに読みたい マンガで知る戦争と平和〈第2弾〉
原爆投下から75年以上を経た今、さまざまなかたちで「ヒロシマ」が語り継がれています。ここでは、15万5000冊以上のまんがを所蔵する「広島市まんが図書館」司書の方々に、小学校高学年から読むことができる「戦争や原爆の悲惨さが伝わり、平和の尊さを感じることができる作品」をテーマにおすすめの作品を教えていただきました。
①『この世界の片隅に』
©こうの史代/コアミックス
戦時中の広島の呉を舞台にした家族ドラマです。
主人公のすずは広島市の江波から呉へ嫁ぎます。戦争生活が困難を極め、食料が乏しい中でも、たんぽぽやはこべを工夫を凝らして食べるなど、日々の生活を楽しみながら送る姿が描かれています。
すずや家族は呉の空襲が激しくなる中を懸命に生き抜きますが、昭和20年8月6日、大きな地響きと広島方面に大きな雲が上がっているのを見ます。
戦争の中にも日常生活があったことに気付く作品です。
タイトル:この世界の片隅に 新装版
著 者:こうの史代
出 版 社:コアミックス
巻 数:上・下巻
価 格:各935円(税込)
電子書籍版:あり ※電子書籍は上・中・下巻
②「名札のお守り」「被爆電車」(『テツぼん』第26巻収録)
©永松潔・高橋遠州/小学館
広島電鉄が戦時中に女性鉄道員を養成し、女学生が原爆投下後も市内電車の運転をしていたことをご存知ですか?
鉄道好きの国会議員と秘書が、広島で倒れたお婆さんを助けたことがきっかけで、その女性の戦争・原爆の記憶に触れていきます。
当時、運転士と車掌をしていた女性の「戦争始めるんは政治家じゃけど、実際に鉄砲をかついで戦場で死ぬのは若い者で、頭の上から爆弾を落とされるんはわしら女子供じゃ」というセリフは、今の世界でも通じる言葉ではないでしょうか。
タイトル:「名札のお守り」「被爆電車」(『テツぼん』第26巻収録)
著 者:永松潔
原 作:高橋遠州
出 版 社:小学館(ビックコミックオリジナル連載中)
価 格:713円(税込)
電子書籍版:あり
③『山ゆかば』(『漫画家たちの戦争「子どもたちの戦争」』収録)
父は戦争で兵隊にとられ、空襲で母と住む家もなくした幼い兄弟は、愛犬チビとともに東京からおじさんの住む広島へ向かいました。
村の子ども達から嫌がらせを受け居心地の悪い日々を過ごしますが、チビと一緒にたくましく生きていきます。
しかしある日、飼い犬を処分しろと国から命令されたことを知った兄弟は、村の子ども達と一丸になり村の飼い犬達を守るため立ち上がります。
戦争の不条理さや、戦時中のペットがどんな扱いを受けていたかを知ることができる作品です。
タイトル:山ゆかば(『漫画家たちの戦争「子どもたちの戦争」』収録)
著 者:あすなひろし
監 修:中野晴行
発 刊:金の星社
巻 数:『漫画家たちの戦争』全6巻
価 格:3,520円(税込)
電子書籍版:なし
④『はだしのゲン』
著者の中沢啓治さんの実体験をもとに、太平洋戦争の末期から、原爆投下、そして戦後の過酷な時代を生きていく主人公・ゲンや被爆者の姿が描かれています。
広島に投下された原爆で父、姉、弟を亡くしたゲンは、原爆の後遺症に苦しみながらも力強く生き抜いていきます。
ゲンの姿を通して、戦争・原爆の悲惨さや平和の尊さについて考えさせられます。中沢啓治さんの戦争や原爆に反対する強い思いを感じる作品です。
タイトル:はだしのゲン(コミックス版)
著 者:中沢啓治
出 版 社:汐文社
巻 数:全10巻
価 格:各748円(税込)
電子書籍版:あり
広島市まんが図書館
電話:082-261-0330
住所:広島市南区比治山公園1-4
時間:10:00~17:00
休館:月曜、祝日法の休日の翌日(ただし、その日が土・日・月曜、休日に当たるときは、その直後の平日)
※その他の休館日などはHPでご確認ください。
HP:https://www.library.city.hiroshima.jp/manga/
この記事に関連付けられているタグ