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国際平和拠点ひろしま

折り鶴に新たな命を 誰もが楽しめるおりづるカルタ



 広島にちなんだ名所・名物や歴史上の著名人、風土の特徴など、ユーモアあふれる句と、手描きの絵札が楽しい『おりづるカルタ』。愛好者も少しずつ増え、今では大きな大会が開かれるほどになりました。おりづるカルタを発案・制作し、普及も行っている『NPOおりづる広島』の船田和江(ふなだ・かずえ)さんに、お話を伺いました。



『「あ」 安芸の宮島 朱の鳥居』 

『「お」 おりづるに 願いを託した 貞子の想い』

『「や」 やっさやっさ やっさ踊りは 三原の祭り』

 ユニークで誰もが親しむことができ、広島のことがいっぱい詰まったおりづるカルタ。船田さんがこのカルタを作るきっかけとなったのは、平和記念公園に捧げられるたくさんの折り鶴を、その後どうやって活用していくか広島市で検討されていたときのことでした。

 「当時、広島市では捧げられた折り鶴はすべて永久保存しようという考えでした。しかし、毎年本当にたくさんの折り鶴が捧げられているわけですから、いずれ保存場所にも困ることになるでしょうし、その維持費もたくさん必要になってくるのは明らかでした。」

 そこで、船田さんは2000年4月、広島市が公募していた折り鶴の活用策として、再生紙案を応募したそうです。

「再生紙にすることで、新たにその紙を手に取った人にも平和への思いが伝わります。それに保存する場所や維持費の問題も解決でき、誰もがハッピーになれるアイデアだと思ったんです。」



 広島市は2011年に再度折り鶴の活用方法を市民から公募し、『折り鶴を再生紙に』というたくさんの意見が集まりました。

 「そこで製作が始まったのが、このおりづるカルタ。実は私、上毛かるたのチャンピオンなんです。」

 群馬県出身の船田さんは、地元で子どものころから慣れ親しんだ『上毛かるた』からヒントを得て、広島でも県民から愛される再生紙を使ったカルタを作るアイデアを前々から温めていたそうです。

 上毛かるたは『「つ」 つる舞う形の 群馬県』といった群馬の郷土や文化を唄う句が納められ、公民館での活動を中心に現在でも大人から子どもまで一緒になって楽しまれています。

 「他県出身の私が、原爆のことについてあれこれ言うのはおこがましい気持ちが今でもあります。でも当時の事をたくさん聞いたり勉強したりした結果、私なりの平和への願いを伝える形が折り鶴の再生紙の活用でした。」

再生紙を作るため折り鶴を解体する様子

 おりづるカルタは、折り鶴から作られた再生紙と大竹市特産の和紙とで製作されています。

読札と絵札は公募し、句はさまざまな人のアイデアを基に詠まれ、絵札は主に障がい者施設で活動されている方々に依頼し、とても温かみのあるものが描き上がりました。折り鶴から紙を作る行程も、施設の方と一緒に何年もかけて納得のいくものに仕上げたのです。

 「編集や校閲など、各地域を巡り1枚1枚の確認作業には長い年月がかかりました。でも協力してくれたたくさんの方たちのおかげで、とっても誇れるものになりました。」

カルタ大会の様子

 2013年には『ひろしまグッドデザイン賞 奨励賞』を受賞したおりづるカルタ。現在では広島県内の母親クラブを中心とした児童館や留学生会館、寺院等に愛好者が集まり、その腕を競っています。また2023年1月29日には、広島市中区の県民文化センターでおりづるカルタ大会も予定されるほど、たくさんの方たちに愛されるものになりました。



 船田さんが代表を務めるNPOおりづる広島では、おりづるカルタのほかにも折り鶴の再生紙を使った便箋やかわいいポチ袋、本のしおりなどたくさんのアイデアが形になった物を製作しています。捧げられた折り鶴が新たに生まれ変わり、多くの人を笑顔にする。カルタと共に楽しんでみてはいかがでしょう。

NPOおりづる広島

TEL:082-254-2730

住所:広島市南区宇品西4‐4‐40 船田船用品2F FogHorn内

Facebook:https://www.facebook.com/npo.oriduru.hiroshima/

HP:http://www.orizuru.npo-jp.net/

※おりづるカルタなどのアイテムは、上記HPをはじめFogHorn、ギャラリーTAO、おりづるタワー、平和記念資料館、広島市平和記念公園レストハウスなどで購入できます。

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