「広島サミット県民会議」若者参画の取り組み
参加者インタビュー
G7広島サミットジュニア会議参加者代表の学生が、広島サミット県民会議の湯﨑英彦会長(広島県知事)とともに、岸田文雄首相を訪問し、成果文書を手交した時の様子
今年(2023年)5月に開催されたG7広島サミット。それに合わせて設立された官民一体組織「広島サミット県民会議」(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hiroshima-summit/)はサミットを成功に導くため、またサミットを通して広島の魅力等を知ってもらうため、5つの柱に基づいて活動を行ってきました。その柱のひとつが「ポストサミットを見据えた若者の参画」。今回は広島サミット県民会議主催イベントに参加した2人の学生に、イベントの内容や成果についてお聞きしました。
■濱岡千咲(はまおか・ちさき)さん
叡啓大学ソーシャルシステムデザイン学科2年
参加イベント:Y7サミット代表団と地元学生との意見交換会
私は各国代表の若者が集う「Y7サミット(※)」代表団と広島県内の学生との意見交換会(4月7日開催)に参加しました。私は昨年、大学でプレゼンテーション技術を磨くサークル「PeKuChars(ペクチャーズ)」を立ち上げたのですが、そのPeKuCharsが会の司会進行を担当することになったのです。
当日はY7代表団と県内学生、合わせて50人以上を5つのグループに分け、グループワークを行いました。驚いたのは代表団の方々の知識が豊富なこと。県内学生の意見に対するフィードバックはいくら話しても話し足りない状態でした。最初はこれほどの大人数を、しかも英語でまとめることに不安があったのですが、やってみると想像以上に盛り上がって。参加した学生も「すごく楽しかった!」と言ってくれましたし、私自身も司会として臨機応変に対応する力が身に付いたと思います。
※Y7サミット(正式名称:G7/G20 Youth Summits)
・G7首脳会議の公式付属会議の1つとして、各国等を代表する若者(Youth)により開催される国際会議。(G20の際にも同様の会議が開催される。)
・研究者や官僚、学生など多様なバックグラウンドをもつ30代以下の若者が実際にG7サミットで話し合われるトピックについてG7首脳会議に先立って議論し、その成果を共同宣言文としてまとめ、最終的にG7各国首脳に対し政策提言を行う。
PeKuCharsのメンバー
さらにPeKuCharsはG7広島サミットを盛り上げるため、Instagramに毎日動画を投稿しました。その動画はG7広島サミットに関する基礎知識を解説するものの他、さまざまな人にあなたにとって平和とは何かを質問するインタビュー動画もありました。県内の大学教授や学生、原爆ドームを訪れた観光客などに取材を行い、計110本の動画を作成しました。話を聞いて面白かったのが、人それぞれで視点が違うこと。たとえば「平和とは笑顔」と答えた人でも、それは家族の笑顔だったり、全人類の笑顔だったり。サークル内でも「いろんな視点から見る平和って面白いね」という話になりました。
Y7サミット代表団と県内学生との意見交換会の様子
あと今回強く感じたのは、平和について詳しく考えたことがないと話される方の存在です。G7サミットと聞くとどうしても自分とは無縁と捉える方が多いですが、未来の生活を充実したものにするには重要な行事。まずはさまざまな社会問題を自分の生活に置き換えて、身の回りから行動することが重要だと思いました。
■寺迫桃花(てらさこ・ももか)さん
英数学館高等学校2年
参加イベント:G7広島サミットジュニア会議
私は3月27日~30日に行われた「G7広島サミットジュニア会議」に参加しました。これは広島県の高校生12名とG7各国出身の高校生12名が広島に集まり、いくつかの国際課題について理解を深めるという内容。私は「平和」「持続可能性」「多様性」という3つのテーマから「平和」を選びました。
印象深かったのはグループ研修で大久野島(竹原市)を訪れ、大久野島毒ガス資料館を見学したことです。私はこの会議に参加するまで大久野島について何も知らず、日本が秘密裏に化学兵器を製造していたことや、戦後その事実を隠ぺいしていたことを知り、とても悲しい気持ちになりました。
また資料館で目にした作業服は防護服と呼べるようなものではなく、そんな格好で働かされた人も被害者だと感じました。
グループディスカッションの様子
会議ではそうした研修やディスカッションを経て、最後に成果文書を発表しました。実は私がこの会議に参加したのは、ウクライナからの避難民である元クラスメイトの存在が大きかったです。彼のおかげで戦争が実際に起きていることに気付けたし、平和について考えるようになりました。そんな彼に何か伝えたいことがあるか聞いたところ「世界から戦争をなくすことは難しいかもしれないけど、それを当然と思わず、なくす努力を続けてほしい」と返ってきました。その彼のメッセージを成果文書に盛り込めたのはよかったです。
今回の会議を通して変わったのは将来に対する想いです。これまでは将来の夢が見えなかったけど、今は「こんなにあるけど、どうしよう!」という感じ。私は英語が得意なので英語を使って社会問題を解決したいし、同時通訳ができる通訳士にもなりたい。いろいろ考えさせられたことも含めて、本当に楽しい経験をさせてもらいました。
「平和」「持続可能性」「多様性」のテーマごとの課題、課題解決に向けての提言および若者の役割・貢献についてまとめた成果文書の発表の様子
■Y7サミット代表団への平和プログラム等の提供
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hiroshima-summit/y7-summit2023.html
■G7広島サミットジュニア会議
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/hiroshima-summit/junior-summit-index.html
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