国連事務総長との対話 POWER OF YOUTH FROM HIROSHIMA
原爆投下から77年が経った2022年8月6日。広島平和記念公園で行われた平和記念式典へ、世界から訪れた99ヵ国の代表や岸田文雄首相が参列、そしてアントニオ・グテーレス国連事務総長が初参列しました。そしてこの日の午後には、グテーレス国連事務総長を囲んで日本の若者たちが核兵器廃絶や持続可能な世界を実現するために何をしなければならないかについて語り合うイベントが行われました。
『グテーレス国連事務総長との対話 Power of Youth from Hiroshima 核軍縮の明日』と題し、おりづるタワーで行われたこのイベントは、日本国内外で平和活動を中心に精力的に活動を続ける7名の若者が、それぞれの思いを国連のトップへ伝える目的で開催されました。
まずはじめに、グテーレス国連事務総長から、「我々はいま、さまざまなリスク(戦争や感染症など)と戦わなければいけません。そして、核兵器廃絶のために何を伝えていくか。我々の世代からみなさんたちの世代へと、責任を繋いでいきたいのです」と投げかけました。
それぞれの自己紹介や活動の紹介をするため、マイクを握った参加者からは、
「核兵器廃絶のためには、絶対に対話が必要。だけどそれに耳を傾けようとしない政治家が多い。活発な論議ができ、誰でも参加できるようなフォーラムを日本でも開催したい。」(中村涼香さん)
「核軍縮を実現させるには、より多くの人が戦争や核に対する知識を身に付けることが必要。さまざまな国の若者が集って、国連のように論議できる場を作りたい。」(浅野英男さん)
「オンラインのプラットフォームを作り、世界各国の人たちがそれぞれの問題を自分事として論議できる場を、いままで以上に構築していくことが大切になる。」(鈴木健斗さん)
と熱い思いが投げかけられました。
またそのほかにも、直接的な核兵器廃絶活動に対する意見ではなく、
「戦争や紛争といった問題は、環境問題に起因することも多い。核問題はもちろん、地球環境問題を同時に考えていくことで、それぞれが繋がり、より多くの問題解決の糸口が見つかるのではないだろうか」(奥野華子さん)
「さまざまな問題に取り組む活動はサステナビリティ(持続可能性)を持つことが重要。そのためには、平和活動とビジネスを融合させることも一つの方法だと思う。そうすることで、これまでにない平和活動の在り方や、今まで興味がなかった人たちを取り込める可能性が出てくる。」(メアリー・ポピオさん)
といった、多角的な視点を持って活動を行っていくことが重要だという思いも伝えられました。
これに対してグテーレス国連事務総長は、
「ロシアによるウクライナへの攻撃から、核の脅威は絶対になくさなくてはいけないと感じています。これからの未来は、若者が声を上げ、軍縮を阻害するものに戦いを挑むのです。そのためにも、政治的な意思決定の場に、若者たちが参加するためのチャンスやメカニズムが必要です。本日は皆さんと一緒に時間を過ごすことができてうれしかった。若者たちよ、がんばれ!」
と激励し、約1時間にわたって行われたフォーラムは終了しました。
【参加者紹介】
倉光静都香(くらみつ・しずか):1枚目写真左端 モデレーターとして参加
ミドルベリー国際大学院モントレー校在学。国連軍縮局(UNODA)のYouth4Disarmamentプログラムなどに参加。ANT‐Hiroshimaにてインターンとしても活動中。
中島 渉(なかじま・わたる):1枚目写真右端 モデレーターとして参加
広島県生まれ。国際教養大学在学。外交政策や日本のエネルギー問題を中心に学び、核軍縮や核の平和的利用を異なる視点から分析。高校卒業後にUNITE-Hiroshimaという団体を設立し、広島を訪れる学生や県外の方に、講演やメンターを通じて核問題を身近に捉えてもらう活動を続ける。
中村涼香(なかむら・すずか):1枚目写真左から3番目
長崎県生まれ。上智大学在学。高校時代から長崎を拠点に核兵器廃絶を求める平和活動に参加。日本の全国会議員の核兵器禁止条約へのスタンスを可視化するプロジェクト『議員ウォッチ』のリサーチャーとして活動。
鈴木健斗(すずき・けんと):1枚目写真右から3番目
米国ブラウン大学公衆衛生大学院在学。マインドフルネスに基づく介入の公衆衛生的利用などについて研究。2020年には『自分ごと化プロジェクト』を立ち上げ、無料のセッションを開催している。
奥野華子(おくの・かこ):1枚目写真左から4番目
広島県生まれ。白梅学園短期大学在学。気候変動対策を求めるムーブメント『Fridays For Future Hiroshima』を立ち上げ、マーチの主催や署名活動、政策提言などを行う。また広島を拠点に活動を行う『Peace Culture Village (PCV) 』に参加し、平和学習の際のツアーガイドなどを行っている。
浅野英男(あさの・ひでお):1枚目写真左から2番目
茨城県生まれ。神戸大学大学院在学。グローバルヒバクシャと批判的国際関係論について研究を行っている。核兵器廃絶日本NGO連絡会の事務局として活動。6月にウィーンで行われた核兵器禁止条約第一回締約国会議にNGO連絡会ユース代表として参加。
Mary Popeo(メアリー・ポピオ):1枚目写真右から2番目
マサチューセッツ州出身。アントレプレナーシップ、平和教育、若者のエンパワーメントを通じて平和文化を推進する『Peace Culture Village(PCV)』共同設立者。PCVのユースリーダーたちと協力し、世界45ヵ国で年間1万人以上に平和教育プログラムを提供している。
※『POWER OF YOUTH FROM HIROSHIMA』の様子は、YouTubeで見ることができます
(日本語訳付き)
へいわ創造機構ひろしま/HOPe YouTubeアカウント
https://www.youtube.com/channel/UCjyV3udl40sA5Ve7viZmuTQ/featured
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