国連訓練調査研究所(UNITAR)広島事務所が実施する 「中東3か国起業家研修」の研修生が玉井副知事を表敬訪問しました
令和5年2月27日に,UNITAR広島事務所が実施する「中東3か国起業家研修」の研修生(エジプト,イラク,レバノンから20名)が玉井副知事への表敬のため,広島県庁に来訪されました。
同プログラムは,日本国外務省の支援のもと,医療・保健分野でのイノベーションや,各国における同分野での課題克服などを目的として,主に起業に焦点を当てて実施されています。
冒頭,UNITAR持続可能な繁栄局長兼広島事務所長の隈元美穂子氏が,広島県からの支援についての謝辞を述べられました。
隈元局長は,「この研修には,エジプト,イラク,レバノンから400名の応募があり,オンラインでの研修を経て,成績がトップの20名が参加しています。本日は,エジプト出身の精神科医・マルワさん,イラク出身の理学療法士・サラさん,レバノン出身の学生(公衆衛生)・ナンシーさんが,研修生を代表して玉井副知事に気持ちをお伝えしたいと申しています」と述べ,研修生代表者を紹介されました。
玉井副知事は,歓迎の言葉とともに,「実際に広島に来て学ぶことが一番であると思います。新型コロナウイルスの影響が落ち着いて,(UNITARの他の研修などでも)研修生の皆さんとお会いできる機会が増えてきていることを嬉しく思います」と述べました。
また,玉井副知事は,本表敬前に研修生が平和記念公園を視察されたことに触れ,「いろいろなものを感じてもらえればと思います」と述べました。
加えて,「広島県は,イノベーション立県を掲げており,日本の自治体の中でも特にスタートアップ支援に非常に力を入れています」などと述べ,広島県の産業振興の取組について紹介しました。
研修生代表の一人である,エジプト出身のマルワさんは,「私はエジプトで精神科医をしており,メンタルヘルスの調査研究のための環境を整えることに取り組んでいます。この取組は非営利で実施していますが,市場について理解をすることや,リーダーシップについて学ぶこと,そして,それらを実践していくことは大切です。(それらを学ぶことができる)この研修は特別なものであると思います」と述べられました。
続いて,イラク出身のサラさんは,「私はイラクで理学療法士をしています。イラクでは多くの人が何かしらの疾病を抱えています。現状では,(理学療法の)公的サービスは,安いが質は低く,一方で民間のサービスは,質は高いが金額が高く手が届きにくいという問題があります。私は,イラクで理学療法のためのセンターを立ち上げる予定です。今回の研修に参加することによって,このプロジェクトを始めるに際して,最初の一歩を踏み出すことができました」と述べられました。
さらに,レバノン出身で,現在,大学で公衆衛生の勉強をしているナンシーさんは,「近年の経済危機で,レバノンではいろいろな変化があり,もっと住みやすい国にしたいと思い,研修に参加しました。私は,出産をはじめとした女性特有の健康を改善するためのプロジェクトを始めたいと考えています。レバノンでは,女性特有の健康はタブー視されて,若い女性は容易に相談することができません。私は,オンライン相談のためのプラットフォームの立ち上げを企画しています。今回の研修を通して,起業についての知識やスキルを学ぶことができたことに加えて,私も自分の国のために何かができるんだという希望を持つことができました」と述べられました。
また,UNITARスタッフより広島県のスタートアップ支援について質問を受けた玉井副知事は,グローバル経済に直面していることを念頭に,広島県は,製造業をはじめ,医療・健康や環境の分野においても,イノベーション創出の支援をはじめ,デジタル化(DX)を進めていくための支援にも注力していることを紹介しました。
UNITAR広島事務所は,2003年の開所以降,20年にわたり,軍縮,国際平和構築,災害復興,起業家育成など,様々な分野の研修を実施しています。
2020年度以降は,新型コロナウイルス感染症のパンデミックによってほとんどの研修をオンラインで実施していましたが,徐々に,対面での研修を再開しています。
私たち広島県は,UNITAR広島事務所の研修を通して,世界各国からたくさんの方が広島を訪れ,平和や文化に触れていただくことを強く願っています。
今後も私たちは,UNITAR広島事務所の活動を全力でサポートしていきます。
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