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国際平和拠点ひろしま

Doomsday Clock 20232023年終末時計「残り90秒」

2023年1月24日(火)(米国時間),2023年の終末時計が発表されました。

人類の終末まで「残り90秒」。

2022年から10秒短くなりました。

終末時計は, 米国の原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists)が定期的に発表しているもので ,核戦争などによる人類の終末を午前0時とし,その終末までの残り時間を「あと何秒(分)」という形で示されています。

 

原子力科学者会報のプレスリリースでは,終末時計が10秒進んだ理由として、「ロシアによるウクライナ侵攻とそれに伴う核兵器使用のリスクが増大したこと、気候変動がもたらす継続的な脅威や、新型コロナウイルスなどの生物学的脅威に関するリスク低減に必要な国際規範や制度が機能停止に陥っていることも要因となった。」と指摘しています。

 

終末時計について詳細はこちら

 

有識者等のコメント

Mary Robinson氏(元国連人権高等弁務官)
「終末時計は全人類に警鐘を鳴らしている。私たちは崖っぷちに立たされている。だが指導者たちは、平和で住みやすい地球を確保するために必要なスピードで行動していない。炭素排出量削減、軍備管理条約強化、パンデミック対策への投資まで、やるべきことはいろいろある。科学は明確であるが、政治的な意志が欠けている。大惨事を回避するためにも、2023 年にこの状況を変えなければならない。我々は存亡の危機に直面している。リーダーには危機意識が必要だ。」

潘基文氏(前国連事務総長)

「3年前、前回この時計の針が動いたとき、私はその除幕式に参加した。新型コロナのパンデミック、異常気象、ロシアのウクライナに対する非道な戦争をきっかけに、私たちの世界がどれほど危険にさらされているかが示されている。2020年、指導者たちは「終末時計」の警告に耳を傾けなかった。我々はその代償を払い続けている。2023年は、全人類のために彼らが行動することが極めて重要だ。」

ツァヒャギン エルベグドルジ氏(モンゴル元大統領)
「2つの大国に挟まれた内陸国の元大統領として、私は存亡の危機に立ち向かうために国際外交がいかに重要であるかを知っています」

なぜ「残り90秒」なのか(核兵器問題)

2023年の終末時計では、ロシア・ウクライナ戦争に関連する最も直接的なリスク以外にも、脅威や脅威の増長要因について詳しく述べられています。その中から核兵器に関する記述の一部を紹介します。

  • ロシアと米国の間に残された最後の核兵器条約(新START)が危機に瀕している。両者が交渉を再開し、さらなる削減の原則を見いださない限り、この条約は2026年2月に失効する。そうなれば、相互査察はなくなり、不信感は深まり、核軍拡競争に拍車がかかり、核兵器による応酬の可能性も高くなる。
  • 中国が核戦力の大幅な拡大に関し、透明性と予測可能性を高める措置の検討を一貫して拒否していることが特に問題視されている。米国防総省は、北京が2035年までに核兵器を5倍に増やし、あっという間に米国やロシアの核戦力に匹敵するようになる可能性があり、安定性に予測不可能な影響を与えると主張している。
  • 北朝鮮が中長距離ミサイルの実験を大幅に強化した。3月下旬、北朝鮮は2017年以来,初めて大陸間弾道ミサイルの発射に成功した。その後の数カ月間、他にも多数の弾道ミサイルを発射したが、そのほとんどは短距離であった。おそらく最も懸念されるのは、10月4日に北朝鮮が日本上空で中距離弾道ミサイルを発射したことだろう。一方、米国当局は、北朝鮮が7回目の核兵器実験を行う準備を進めていると主張している。
  • イランは、「包括的共同行動計画」に規定された枠外で、国際的な保障措置の下にあるとはいえ、ウラン濃縮能力を高め続けている。このことは、イランがその閾値を超えることを決意した場合、核兵器製造能力に近づけることとなる。核合意への復帰はリスクを軽減し、前進の道筋を示すものであるため、米国や欧州をはじめとする各国は核合意の復活に向け相応の努力を払ってきた。しかし、イラン国内の不安定な状況や、テヘランがロシアのウクライナ戦争を支持している状況では、イランの核武装を阻止するための交渉を成功させるのは難しいだろう。
  • インドは、約160個の核弾頭を保有し,核兵器の近代化を続けており、既存の核搭載航空機、陸上運搬システム、海上運搬システムを補完またはこれに置換する新しい運搬システムを開発中である。パキスタンは同規模の核兵器を保有し、核弾頭、運搬システム、核分裂性物質の生産を拡大し続けている。
  • 米国、ロシア、中国は現在、本格的に核兵器の近代化を進めており、新たな危険な「第3次核時代」の競争の様相を呈している。南アジアにおける軍拡競争と北東アジアにおけるミサイル軍拡競争に対する長年の懸念は、対処を要する惨憺たる状況となっている。

原子力科学者会報のステートメント全文(英語)はこちら

 

原子力科学者会報の終末時計発表イベント全編(英語)はYouTubeからご覧いただけます。

 

 

 

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