音楽に乗せて 街角から平和のメッセージ
広島の街を歩いていると、楽しそうな歌声や軽やかなヴァイオリンの音色が、ふと聞こえてきたことはありませんか? 広島市中区本通りでは『音まちコンサート』と題したストリートライブが、定期的に開催されています。
『NPO法人 音楽は平和を運ぶ』が主催する、音まちコンサートは、広島にゆかりのあるアーティストの方々を招き、月に二度のペースで行っている無料のライブです。
「NPO法人 音楽は平和を運ぶは、被爆70周年のときにスタートしました。誰もが参加できるようなコンサートを実施しようと、合唱団や演奏団を公募して、みんなで作り上げたものを開催したのが始まりです。」今回お話を伺ったのは、同団体の木本芳弘(きもと・よしひろ)さん。
「私たちの団体の理事長が8歳の時に被爆をし、そのことを思い出すととても悲しくなっていたそうです。そこで、音楽を通して『被爆都市広島』から『平和都市広島』と呼ばれるようになりたいという思いで、2015年の夏に初めて開いたものが現在でも続いています。」
世界的にも著名な指揮者やオーケストラを招いた大規模なコンサートを開催する一方で、みんなで作り上げる『人の心に平和のとりでを築くコンサート』と題した、参加型のコンサートも開催しています。
「弊法人主催の著名な音楽家によるコンサートでは、必ずベートーヴェンの第九を合唱します。夏に第九?と思われるかもしれませんが、実は季節を問わず歌われる曲で、歌詞の中に『人類みな兄弟』という一節があります。そういったことからも、音楽で平和をというメッセージを乗せるにふさわしく、素晴らしい合唱になるのです。」
しかしコロナ禍のため、大きなイベントやコンサートを開催できる状況ではなくなってしまったのです。そこで開かれたのが、野外で音楽を奏でる『音まちコンサート』。広島市中区の広島県民文化センターや本通りで、ふと足を止めて聞くことができる、とっても身近なコンサートが開かれるようになりました。
2022年5月25日に行われた音まちコンサートでは、広島県民文化センターで「音まちクインテット」による弦楽五重奏、本通り元フタバ図書前で「AKT36」のトランペットとピアノの心地よい音色が響き渡りました。
「もっと身近に音楽を感じてもらいたいという思いと、野外コンサートはベストマッチ。仕事途中のサラリーマン、観光客の方、買い物をされている方などたくさんの人が聞いてくださいます。」
演奏される曲も、誰もが知っているクラシック、アニメや映画のテーマ曲、話題のヒット曲、往年のロックの名曲など、盛り上がるものがたくさん。自然に手拍子が加わり、みんな笑顔で束の間の音楽の時間を楽しんでいました。
「まず音楽を楽しんでいただくことが大切。私たちも楽しんで演奏しています。」
「戦争やコロナ、日常が維持できない状況で音楽を聞けること、演奏できることは本当にありがたいです。」
実際に演奏を行った音まちクインテットの宮崎真理子さん(写真左)と平原雅啓さん(写真右)らがそれぞれ言うように、日常に音楽が流れることで、誰もが笑顔になれる時間と空間が生まれました。
「いつかは、広島の街のあちらこちらで1カ月を通してコンサートやストリートライブなどを行うことができたらと考えています。そうすると、もっとみなさんが笑顔になってくれるし、演奏している方も楽しい。平和と音楽はとても大切だということは世界の共通認識。『平和都市広島』だけでなく『音楽都市広島』と呼ばれるようになるといいですね。」と、流れてくるリズムに体を揺らしながら、笑顔で木本さんが話してくれました。
音まちコンサート
開催:毎月第2・4水曜日
時間・場所:11:45~12:15 広島県民文化センターロビー
12:20~12:50 HNB&Craft Beerと炭火はればれ 前
料金:無料
2022年 人の心に平和のとりでを築くコンサート
開催:2022年7月24日(日)
時間:15:00開演(14:00開場)
場所:広島文化学園HBGホール
料金:2000円(全席自由)
出演:(指揮)田中 祐子、平和を運ぶオーケストラ、平和を運ぶ合唱団
HP:https://music-peace.jp/concert
NPO法人 音楽は平和を運ぶ
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