ポストSDGsに核兵器廃絶を働きかける国際市民社会グループ
略称GASPPA (Global Alliance “Sustainable Peace and Prosperity for All”)
へいわ創造機構ひろしま(HOPe)は,国際NGO等と共に,2030年以降の次期国連開発目標(ポストSDGs)に核兵器廃絶を位置づけるために,市民社会から働きかけを行うグループを設立しました。
GASPPAは,環境,人権,保健など多様な分野に関わる団体とともに,核兵器の問題を持続可能性の観点から捉え直し,政策提言やキャンペーン等の活動を2030年に向けて展開していきます。
【団体名】「グローバル・アライアンス『持続可能な平和と繁栄をすべての人に』」
【略称】GASPPA
【英語名】Global Alliance“Sustainable Peace and Prosperity for All”
グローバル・アライアンスには,設立趣意書に賛同する団体・個人が参加できます。参加登録後は,メーリングリスト(日本語)に登録されます。グローバル・アライアンスの活動に関する情報は,メーリングリストを通じて発信します。
海外の団体・個人とのやり取りは,メーリングリスト(英語)で行われます。英語の情報受信についても御希望される方は,申込フォームでメーリングリスト登録(日本語・英語両方)を選択してください。
グローバル・アライアンスの概要
1.目的
ポストSDGsにおいて,核兵器廃絶が目標として位置付けられることを目指し,核兵器を持続可能性の観点から問題提起し,国際社会に働きかけを行うことを目的とする。
2.参加要件
設立趣意書に同意する全ての団体・個人が参加できる。
3.主な活動
(1)核兵器問題が環境,社会,経済など多方面に及ぼす影響を持続可能性の観点から捉え,国際社会に問題提起を行うための政策提言を策定し,キャンペーン活動などを通じて発信を行う。
(2)外交交渉に携わる政府関係者を集めた「フレンズ会合」の設立及びその活動に対して支援を行う。このグループのメンバーは,それぞれが関係を有する政府に対し,「フレンズ会合」への加入を働きかける。
(3)交渉主体として国際交渉に参画するために,グループとして,国連経済社会理事会(ECOSOC)における協議資格の申請及びメジャーグループ及びその他ステークホルダー(MGoS)における新規グループ立ち上げを目指す。
(4)国連がこれまでに発表した「軍縮アジェンダ(An Agenda for Disarmament )」及び「コモン・アジェンダ(Our Common Agenda)」を市民社会の側からサポートしていく。また今後,国連未来サミット(Summit of the Future)において策定される新たなアジェンダ(Agenda for Peace)に,「2045年までの核兵器廃絶の達成」が盛り込まれ,ポストSDGsに向けた国際的な潮流を確実なものにしていくよう,働きかけを行う。
4.現時点の参加団体
世界15ヵ国から34団体が参加(2022年11月18日時点)
【取り組みのイメージ】
5.これまでの活動
GASPPAの事務局であるHOPeはこれまで国際会議において、核兵器と持続可能性のつながりから問題提起を行うとともに、GASPPAへの参加の呼びかけを行いました。
(1)核兵器禁止条約(TPNW)第1回締約国会議:市民社会フォーラム・セッション(2022年6月)
TPNW締約国会議に先立って行われた市民社会フォーラムにおいて、「核兵器禁止条約と持続可能性」をテーマにした対話イベントを開催しました。(動画は英語のみ)
登壇者:
モデレーター
大阪大学大学院 教授 星野俊也
(前・国際連合日本政府代表部大使・次席常駐代表)
核軍縮と持続可能な未来に関するワーキング・グループ共同座長
パネリスト
Youth Fusion※ ミカエラ・ヒギンズ・セーレンセン
※核廃絶を求める若者ネットワークであり、GASPPAメンバー団体
KNOW NUKES TOKYO 山口雪乃
※核のない世界を目指す東京の学生団体
KNOW NUKES TOKYO 中村生
【発表資料】
【主な議論】
〇 核兵器はこれまで,安全保障や人道面で議論されてきているが,持続可能性という軸での議論はない。
〇 Youth Fusionでは,核兵器問題の重要性を伝えるにあたり,世代間対話の促進,分野横断的なアプローチ,また多くの方に関わってもらえるよう,分かりやすく伝えることに取り組んでいる。
〇 Know Nukes Tokyoでは,模擬締約国会議や議員との対話,被爆者からの聞き取り等の活動を進めている。
○ より多くの人々に,持続可能性の観点から核兵器問題について考えてもらえるよう,この目標をさらに見える化していく必要がある。
○ 核兵器廃絶と持続可能性の繋がりをはっきりさせるためには,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のような科学的根拠に基づく提言をする科学的な機関が必要である。
○ 核兵器廃絶と持続可能性の問題は,環境のみならず,ジェンダー,教育,健康等幅広い範囲に影響がある。
○ 核兵器に依存しすぎた安全保障体制から脱却することが必要である。
(2)国連ハイレベル政治フォーラム:特別セッション(2022年7月)
国連本部で開催されたハイレベル政治フォーラム(HLPF)特別イベントにおいて、「2030アジェンダとグローバルな課題相互のつながり:核兵器とSDGの実践の振り返り」をテーマにしたセッションを開催しました。(動画は英語)
※該当のセッションは動画の57:00頃から開始
登壇者:
モデレーター
大阪大学大学院 星野俊也
(前・国際連合日本政府代表部大使・次席常駐代表)
核軍縮と持続可能な未来に関するワーキング・グループ共同座長
パネリスト
Horizon2045※ リーガル・ストラテジー プロジェクト・リード
ダニエル・マックローリン
※核兵器問題を人々の行動変容や社会システム全体で捉えるアプローチにより、2045年までに核廃絶を目指す取組
国連ユニタール事務所 持続可能な繁栄局長
隈元 美穂子
広島県知事 へいわ創造機構ひろしま(HOPe)代表
湯﨑 英彦
【発表資料(英語)】
【主な議論】
○ 核兵器の使用は,SDGsが掲げるすべての目標の達成に壊滅的なダメージを及ぼす。76年前の広島は,あらゆる分野で壊滅的な被害を受け,環境は汚染され,何よりも数多くの尊い生命が失われた。核兵器は,人類の持続可能な未来にとって,明確な脅威であることを,ウクライナ危機に直面する現在,我々は改めて想起する必要がある。
○核兵器は,製造プロセスにおける健康被害や,核実験による人的被害,環境汚染など,たとえ使用されなくても,SDGsの達成にとって大きなマイナスの影響を及ぼし続けている。
○ 我々は,核兵器問題を人類や地球の持続可能性という観点から捉え直し,核兵器国も非核兵器国も,地球という同じ船に乗っているという認識を持たなければならない。
(3)NPT運用検討会議:サイドイベント(2022年8月)
NPT運用検討会議では、GASPPAメンバーである長崎県との共催で「核軍縮と私たちの持続可能な未来」をテーマにサイドイベントを開催しました。2045年までのできるだけ早い時期に核兵器廃絶を達成するために、今、何をしなければならないか、GASPPAメンバー等と議論を行いました。
また、会場ではGASPPAのバナー展示を行いました。
※動画は英語
(サイドイベントの様子)
【モデレーター】
・星野俊也(大阪大学大学院教授/核軍縮と持続可能な未来に関するワーキング・グループ共同座長)
【パネリスト】
・ダニエル・マクローリン(ホライゾン2045 プロジェクト・リード)
・ジェシカ・スレイト(グローバル・ゼロ パートナー,戦略,政策及びパートナーシップ)
・ステファン・シュウォルツ(原子力科学者会報 ノンレジデント上級フェロー)
※GASPPAメンバー
・ケネス・チウ(リバース・ザ・トレンド 若者活動家)
【開会挨拶】 長崎県知事 大石 賢吾
【趣旨説明】 広島県知事/へいわ創造機構ひろしま(HOPe)代表 湯﨑英彦
【主な議論】
○ ホライズン2045からは,今後の技術的,政治的,経済的,社会的な変化を捉え,規範的,法的枠組を考え,そのつながりを物語化することを通じて,核兵器のない未来を人々が信じ,社会を変え,システム変革に取り組むための新しいアプローチの紹介があった。
○ グローバル・ゼロでは,核兵器の存在が,いかに非白人の人々に,不公平な形で大きな被害を与え,経済や投資に損失をもたらしているかを理解した上で,まずは米露による核削減を実行しながら,法的拘束力のある先制不使用政策を導入する,といった具体的なアプローチの紹介があった。
○ 原子力科学者会報からは,核保有国のうちの一か国,二か国による取組によって,あるいは市民社会が立ち上がることによって,他の兵器や社会運動で見られたような大きな変化を生み出すことができる,との意見があった。
○ リバース・ザ・トレンドでは,気候変動と核兵器問題に関する各国の若者の取組紹介があった。持続可能性という点で気候変動と核兵器問題の2つは深く結びついているという意見のほか,核兵器や核実験によるコストの問題やヒバクシャのトラウマ問題等に取り組んでいるとの紹介があった。
○ 持続可能な未来を作るには,核兵器廃絶は通らなければいけない道だということを参加者と共有し, 最後に,広島県知事と長崎県知事より,核兵器廃絶を求める共同メッセージを発出した。
6.今後の活動の展開
「「脱核兵器」と持続可能性 ポストSDGsに向けた転換と移行のための課題とビジョン」に示されている問題提起を基に,そのビジョン実現を目指します。
【要旨】「脱核兵器」と持続可能性ーポストSDGsに向けた転換と移行のための課題とビジョンー
【本文】「脱核兵器」と持続可能性ーポストSDGsに向けた転換と移行のための課題とビジョンー
(1)「「脱核兵器」と持続可能性 ポストSDGsに向けた転換と移行のための課題とビジョン」について
核兵器の問題は,これまで「安全保障・法律」や「人道・倫理」といった面から議論されてきたが,これに加えて新たに「持続可能性」の観点から,この問題を捉え直し,ポストSDGsを巡る議論に,「持続可能な平和と繁栄をすべての人に(Sustainable Peace and Prosperity for All)」という視点を入れることの必要性を提唱する。
(2)今後の展開
「「脱核兵器」と持続可能性 ポストSDGsに向けた転換と移行のための課題とビジョン」の示す姿について,GASPPAにおいて,国際的,分野横断的な観点から議論を行い,提言策定を進める。
今後,SDGs中間年であり,G7サミットが日本で開催予定である2023年を目指して,提言策定を進める。
問い合わせ先:
へいわ創造機構ひろしま(HOPe)
(広島県地域政策局平和推進プロジェクト・チーム内)
電話:082-513-2466
メール:hope@hiroshimaforpeace.com