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国際平和拠点ひろしま

広島市平和記念公園レストハウス

「国際平和文化都市」として世界から注目・関心を集める広島。多くの観光客でにぎわう「平和記念公園レストハウス」が、2020年7月にリニューアルオープンしました。時代と共に移り変わっていったレストハウスの過去をさかのぼりながら、レストハウスが担う役割や新しくなった施設を紹介します。




■平和公園内で現在も使用される唯一の被爆建物

レストハウスの建物は、1929年「大正屋呉服店」として建設されました。建物のある中島地区は、もとは太田川デルタに生まれた広島最大の繁華街でした。商人の往来が盛んで、文化やにぎわいの発信地ともいわれていました。当時、瓦屋根の商家や民家が連なる町並みの中で、鉄筋コンクリートでショーウインドウのある大正屋呉服店は、ひときわ斬新であったと伝えられています。しかしながら戦時体制下にあった1943年12月に発令された繊維統制令により、大正屋呉服店は閉鎖。1944年6月、広島県燃料配給統制組合が建物を取得し、「燃料会館」と呼ばれるようになったのです。


「大正屋呉服店」(提供/清水建設提供)

1945年8月6日、原爆が投下されたその日、建物内では37人が勤務。たまたま地下に書類を取りに下りていた野村英三さんを除き全員が亡くなりました。建物内部も激しく損傷しましたが、基本的形態はとどめていたため、その後は市の東部地域の復興拠点となる広島市東部復興事務所として活用。1982年からは平和記念公園レストハウスとして整備され、憩いの場となりました。


■より足を運んでもらえる施設へリニューアル

かつてのレストハウスは、1階は売店や観光案内所、2~3階は広島観光コンベンションビューローの事務所として利用され、地下室については申し出に応じて見学の受け入れを行っていました。被爆70周年事業の一環でレストハウスの改修事業が決定。地上部分を「旧大正屋呉服店」の姿に近づけること、館内に被爆前の中島地区の関係資料などを展示するスペースを設け、建物の歴史的特性を生かし、被爆の実相を伝え、平和の思いを共有する場となるよう保存・活用することを盛り込んだ改修計画が策定、2018年に改修工事をスタートしました。



1階の物販「レストハウスショップ」

2階にあるカフェ「ピアノカフェ」

カフェ「ピアノカフェ」に展示している被爆ピアノ


今年リニューアルオープンした施設は、1階により広くなった観光案内所と売店を、2階に被爆ピアノを設置した休憩・喫茶ホールを、そして3階には中島地区の移り変わりやレストハウスの歴史などを、資料や写真で展示しています。



3階の展示室

展示の中には天井の一部に透明なアクリル板を設置し、改修工事を進める中で見つかった被爆による痕跡が下から見えるようにしているほか、地下室は基本的に改修前の状態のまま保存しつつ、常時見学が可能なように環境を整備し、建物内で唯一の生存者であった野村英三さんの手記や被爆当時の様子を描いた絵などを展示しています。



地下1階の展示の様子


■広島の未来を担う当事者として

3階の展示室にある解説


憩いの場であると同時に、被爆の実相を伝え、平和の思いを共有する場の役割も担っているレストハウスは、さまざまな取り組みを積極的に行っています。例えば3階の展示室では、過去をさかのぼるとともに、未来へと語り継ぐべき内容を発信。戦前・戦時中に撮影された白黒写真をAI(人工知能)技術や、当事者の記憶をもとにカラー化した「記憶の解凍プロジェクト」について紹介したり、広島県立福山工業高等学校計算技術研究部が手掛けたVR爆心地の映像を流しています。被爆直後を知る人から聞いた話や資料を使って作られた仮想現実(Virtual Reality)の映像は、被爆の語り手たちが減少しつつある今、バーチャルでありながらリアルな感覚を伴って私たちに当時の様子を教えてくれます。


また、1階の観光案内所では、平和記念公園をガイドと共にまわるピースパークツアーや、近隣の被爆遺構を自転車でめぐるピースサイクリングツアーを実施。広島の過去を「歴史」ではなく、「自分ごと」として考えるきっかけ作りを提供しています。




■基本情報

広島市平和記念公園レストハウス

住所:広島市中区中島町1-1

電話:082-546-9133(事務局)

営業時間:3月~11月までは8:30~18:00

12月~翌年2月末日までは8:30~17:00

8月は(5日、6日を除く)8:30~19:00

※8月5日は8:30~20:00、8月6日は7:30~20:00

定休日:なし



■ピースパークツアー

広島で平和活動を行ってきた日本人と外国人の若いバイリンガルチームが運営。広島市平和記念公園レストハウスを出発、元安川、原爆ドーム・相生橋、原爆供養塔、韓国人原爆犠牲者慰霊碑、慈仙寺の墓石、原爆死没者慰霊碑、原爆の子の像を約80分かけてまわる。最少催行人数1名から、大人(12歳以上)3000円、子ども(6~11歳)500円、6歳未満無料。

https://hiroshima-resthouse.jp/tour/peacetour



■ピースサイクリングツアー

広島市内の被爆遺構を自転車で巡り、戦前・戦中の現実、戦後復興のストーリーを辿るツアー。スタンダードコース(約10km・120分5000円)とロングコース(約14km・180分7000円)があり、定員は1ツアーあたり4~10名程度。身長145cm以上で参加可能、雨天時の場合は平和公園内及び徒歩圏内周辺スポットを巡るウォーキングツアーに変更して開催。

https://www.sokoiko-mint.com/sokoiko-hiroshima-jp/hiroshima-peace-tour-jp

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