ローマ教皇フランシスコ台下からのメッセージ
1945年の広島への原爆投下から75年,この節目の日を厳かに迎えられる主催者および参加者の皆様,特に被爆者(ヒバクシャ)の皆様に,謹んでご挨拶を申し上げます。
昨年11月,私はローマ教皇として,自ら広島市と長崎市を訪問する機会に恵まれました。そして広島の平和記念碑と長崎の爆心地公園を訪れ,75年前の戦禍により両市で起きた人命と財産の破壊について見つめ直すことができました。
私は昨年,巡礼者として来日いたしました。その時と同じように,私は現代に生きる人々の切なる願いを,特に平和を強く望み平和のために自らを犠牲にする若者の願いを,この胸に持ち続けています。また,貧しい人々の叫びも心に携えています。彼らはいつの時代も,暴力や紛争による被害を真っ先に受ける人々だからです。
平和と繁栄を築くためには,すべての人々が兵器を,なかでも最も強力で破壊的な兵器である核兵器を捨てなければならないことは,かつてないほど明らかです。核兵器には,都市や国をことごとく損ない,破壊する力があるのです。昨年,広島で述べたことを繰り返し申し上げます。「原子力の戦争目的の使用は,倫理に反します。核兵器の保有は,それ自体が倫理に反しています。」(2019年11月24日,広島平和記念公園における演説より)
今後も,広島と長崎の被爆者の方々の叫びが,現代と次世代の人々に警鐘を鳴らし続けるものとなりますように。彼らに,また和解を求めて活動するすべての人々に,詩編の言葉を贈ります。「わたしはいおう,わたしの兄弟,友のために。『あなたのうちに平和があるように』」(詩編122・8)
この被爆75周年を記念するすべての人々の上に,神の豊かな恵みのあらんことをお祈りいたします。
2020年7月15日,バチカンより
被爆75周年特設ページ
2020年,原子爆弾が投下されて75年を迎えました。 核兵器はもう過去の出来事でしょうか? 地球上には未だに1万3千発を超える核兵器が存在します。 被爆から75年を迎える今だからこそ, 一緒に平和について考えてみませんか。
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