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国際平和拠点ひろしま

G・バーナード・ショオーの意見(投書・イギリス)

2020年は広島・長崎に原子爆弾が投下され75年目となります。

「広島県史 原爆資料編」に掲載されている原爆に対する国際的反応:海外の新聞論調を紹介します。1945年8月6日に広島,8月9日に長崎に投下された原子爆弾について海外の新聞はどのように報じたのでしょうか。

本県が進めている国際平和拠点ひろしま構想の趣旨と合致しない論調も含まれますが,原子爆弾投下を海外でどのように伝えたか知っていただくため 「広島県史 原爆資料編」に掲載されている新聞論調をそのまま掲載しています。

G・バーナード・ショオーの意見(投書・イギリス)

昭和20.8.20 ザ・タイムズ紙

[国立国会図書館蔵]

原子爆弾

  ザ・タイムズ紙編集局への投書

貴殿,今や人類は原子を相手に猿のごとき火遊びを始めましたので,その結果地上の難問も見事に氷解するがごとき未曽有の事態が生じることもありうると信じ,一言警告を申し述べたく存じます。
最近は天文学者の不足を,アマチュア天文家の活動が補っておりますが,主として変化する星の観察,研究がその対象となっております。時折,新星の出現が騒がれることがありますが,その実体は,すでに冷却し見えなくなった古い星が突如爆発し,星雲と呼ばれる雲状の塵埃となって果てることにほかなりません。その際生じる熱量は人間の測り知ることのできないものであります。
明らかに,これと同じ現象は地上でも起こりうるものであります。すなわち,これらの星においては,電子を伴った陽子と,質量の大きい電子を伴わない中性子とが作用し,高度な熱を生じ,そのなかで星そのものが塵埃と化し蒸発してしまったのであります。万一,生物がいたとしたらゴールダーズ,グリーンの火葬場では考えられぬ温度により瞬時に焼却されたことでしょう。
巨大な費用をかけて人類が達成したことは,1オンスばかりのウラニウムを星のごとく爆発させることにほかなりません。すでに,実験段階を過ぎたわけですから,今後はコストをさげる努力がなされ,いずれはウラニウムよりもっと重い,ちょうど通常の爆薬に比較してウラニウムが格段と強力であるごとく,ウラニウムにくらべて何倍もの威力をもった物質が利用されることでしょう。
その結果,われわれは下手な魔法使いのように,魔法のとき方を知らずに魔法を行なうというはめに陥り,かの世界の溶解を占ったプロスペローの予言が的中するのであります。最近の人類の行動はこの可能性を物語るものであると信じ,あえて一筆したためた次第です。

G・バーナード・ショオー

  8月18日

(湯浅信之訳)

出典 広島県史 原爆資料編

 

 

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