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国際平和拠点ひろしま

Hiroshima Report 2018(10)核兵器削減の検証

核軍縮に関する検証は、新STARTの下での米露による戦略核戦力削減に対して実施されている。

米国が2014年に立ち上げた「核軍縮検証のための国際パートナーシップ(IPNDV)」では、26の参加国(並びにEU及びバチカン市国)170により、核弾頭の解体、並びに解体された核弾頭に由来する核物質の検証方法・技術に焦点を当てた検討が続けられている。その第5回全体会合は、2017年11~12月にブエノスアイレス(アルゼンチン)で開催された。会合には22カ国が参加し、IPNDVにおける検討のフェーズ1の完了及びフェーズ2の開始が議論された。2年間のフェーズ1では、核兵器のライフサイクルの解体段階に焦点を当て、概念的な核兵器の解体、多国間の査察チームによる解体の検証、並びに査察を支援する関連技術を含むシナリオの発展が試みられた171。また、さらなる分析が必要な検証問題として、下記のようなものが特定された172。

  • 幅広い核軍縮プロセスにおける、また核兵器廃棄のより特定の監視・査察を補完するものとしての申告
  • 査察プロセスを通じたデータの取り扱い
  • 特殊核分裂性物質及び高性能爆薬の測定を可能にする技術
  • 見込みのある技術及び手続きの実験並びに演習

フェーズ2では、将来の核軍縮検証を支援するために、効果的かつ実践的な検証オプションの理解を深め、演習やデモンストレーションなどの目に見える活動を通じてその任務を示していくことが目標に掲げられ、削減の検証及び検証技術の3つの作業グループが設置される173。

核軍縮の検証に関しては、英国及び米国、並びに英国及びノルウェーがそれぞれ共同で技術開発を進めてきた174。また非核兵器国からは、たとえば核兵器計画から除去される核分裂性物質に適用される検証措置の発展などについて、IAEAによる関与を求める主張もある175。

また、TPNW第4条には、核兵器廃棄の検証に関する手続きが規定された。まず、2017年7月7日の後に核兵器を保有などし、条約が当該国について発効する前に核兵器計画を廃止した締約国については、その確認を目的として権限ある国際当局(Competent international authority)と協力し、また申告・未申告の核物質が平和的な核活動から転用されていないことを保証すべく、IAEAと保障措置協定を締結する(1項)。また、依然として核兵器を保有などする締約国は、核兵器を直ちに運用上の地位から撤去し、最初の締約国会合により決定される期日までに、その締約国の核兵器計画についての検証を伴いかつ不可逆的な除去のため、法的拘束力があり、期限を伴う計画に従い、核兵器を廃棄する。当該締約国につき条約が発効した後60日以内に提出される廃棄計画は権限ある国際当局と交渉され、権限ある国際当局は後に最も早く開催される締約国会議または運用検討会議のいずれかに、承認のためにその計画を提出する(2項)。


[170] 3 核兵器国(フランス、英国及び米国)のほか、豪州、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、ドイツ、インドネシア、 日本、カザフスタン、メキシコ、オランダ、ノルウェー、フィリピン、ポーランド、韓国、スウェーデン、スイス、ト ルコ、UAE など。中国及びロシアはフェーズ 1 にはオブザーバー参加していたが、フェーズ 2 には参加していない。

[171] The U.S. Department of State, “The International Partnership for Nuclear Disarmament Verification: Phase I,” December 8, 2017, https://www.state.gov/t/avc/rls/2017/276402.htm.

[172] International Partnership for Nuclear Disarmament Verification, “Phase I Summary Report: Creating the Verification Building Blocks for Future Nuclear Disarmament,” November 2017, p. 4.

[173] The U.S. Department of State, “The International Partnership for Nuclear Disarmament Verification: Phase II,” December 8, 2017, https://www.state.gov/t/avc/rls/2017/276403.htm.

[174]『ひろしまレポート 2017 年版』などを参照。 

[175]『ひろしまレポート 2017 年版』などを参照。

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