(4) 核兵器の削減
A) 核兵器及び核兵器を搭載可能な運搬手段の削減
新戦略兵器削減条約(新START)
条約の延長
2011 年2 月に発効した米露間の新START を巡る喫緊の課題は、2021 年2 月5 日の有効期限が迫る条約の延長問題であった。バイデン米新政権は発足翌日の2021年1 月21 日に、新START を5 年間延長する意向を明らかにした。そして、同月26 日の米露首脳会談において、「新START を5 年間延長するという両国の意向について議論し、2 月5 日までに延長を完了させるべく両国のチームが早急に作業を行うことで合意した。また、軍備管理や新たな安全保障上の問題にかかる戦略的安定に関する議論を検討することにも合意した」55ことが発表され、両国は条約延長に関する文書を交換した。
新START の延長について、米国は行政府の決定でこれが認められる一方、ロシアは議会の承認が必要であり、その承認を受けて、米露は2 月3 日、条約延長手続き完了の覚書を交換した。これにより、2026 年2 月5 日までの条約延長が確定した。
条約の延長に際して、ブリンケン国務長官は声明で、「バイデン大統領が明確にしていたように、新START の延長は、21 世紀の安全保障の挑戦に対応するための取組の始まりに過ぎない。米国はロシアのすべての核兵器に対応する軍備管理を追求するために5 年の延長期間を用いる」56と強調した。ロシア外務省も、「この分野における二国間対話をより安定した軌道に戻し、我々の国家安全保障とグローバルな戦略的安定性を強化する新たな実質的成果を得るためには、重要なステップが必要である。ロシアは自国の役割を果たす用意がある。米国が同様に責任あるアプローチをとり、我々の取組に建設的に対応することを求め
る」57とした。
この間、ロシアのリャプコフ(Sergei Ryabkov)外相次官は1 月にロシア連邦議会で演説し、「新START が5 年間延長されれば、条約の枠組みのなかでのカウンティング・ルールはアバンガルドのような新型核弾頭にも適用される」58と発言した。米国も、条約はアバンガルドを含め米国に到達可能なロシアの新型長距離核兵器に検証可能な制限を課すとの解釈を明らかにしている59。
履行状況
米露はこれまでのところ、新START の遵守を続けている。条約のもとでの削減状況は、米国務省のホームページで定期的に公表されている(表1-4)。また米国は、米露の戦略(核)戦力の保有数に加えて、2020 年9 月までの自国の運搬手段ごとの保有数を表1-5 のように公表してきた。新START が定めた削減期限である2018 年2月5 日になされた両国の申告では、配備戦略(核)運搬手段、配備・非配備戦略(核)運搬手段発射機、及び配備戦略(核)弾頭のすべてについて、条約で規定された数的上限を下回った。その後も両国の戦略核戦力はこの上限を超えていない。
両国は条約発効以来、条約で規定された回数の現地査察を毎年実施してきたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、2020 年4 月1 日以降、現地査察を実施できていない。米国務省によれば、条約が発効してから2021 年12 月23 日までに328回の現地査察が実施され、23,050 件の通告の交換が行われた60。
米国務省の軍備管理・軍縮・不拡散条約遵守に関する年次報告書では、米露ともに条約を遵守していると記載されてきた。他方で、ロシアは近年、米国の新STRAT 履行状況に対する懸念を公言している。2021年5 月にはロシア外務省が、米国が弾道ミサイル56 基と戦略爆撃機41 機を申告リストから削除したものの、それらが核兵器用から転換されたことを確認できていないこと、並びに米側が大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射サイロ4 本をリストから外したがこれも確認できていないことを指摘し、米国は制限を合計101 基超過していると主張した61。
ポスト新START
米露が2021 年2 月に新START の5 年間延長を合意した際、ブリンケン国務長官は、「米国は、新START の5 年間延長によって得た時間で、ロシアとすべての核兵器に対処する軍備管理を追求する。また、中国の近代的で増大する核兵器の危険性を低減すべく軍備管理を追求する」62と述べた。バイデン及びプーチン(Vladimir Putin)両大統領による初の米露首脳会談が同年6月16 日にジュネーブで開催され、「戦略的安定に関する共同声明」63を発表した。3 パラグラフからなる共同声明では、まず「米露間の緊張が高まる状況でも、戦略的領域における予見可能性の確保、武力紛争のリスクや核戦争の脅威を低減するという共通の目標に関して前進できる」と記された。共同声明の第2 のパラグラフでは、米露両大統領が「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならないとの原則を再確認」した。最後のパラグラフでは、両国が近く「統合された二国間の戦略的安定対話( integrated bilateral Strategic Stabi-lity Dialogue)」を開始し、「この対話を通じて、将来の軍備管理及びリスク低減措置の基盤構築を模索する」ことが記された。
「戦略的安定対話」の第1 回会合は7 月28 日にジュネーブで開催され、米国はシャーマン(Wendy Sherman)国務副長官、ロシアはリャプコフ外務次官が代表を務めた。詳細は公表されなかったが、現在の安全保障環境、戦略的安定への脅威に対する両国の認識、新たな核軍備管理の見通し、並びに今後の戦略的安定対話セッションのフォーマットなどが議論され、米国は「専門的で中身のあるものだった」と評価した64。
9 月末の第2 回会合では、「将来の軍備管理の原則と目標」と「戦略的影響を伴う能力と行動」に関する2 つの専門家作業部会設置が合意された65。この会合の議論の内容も公表されていないが、ジェンキンス国務次官は、「米露の取組は、いくつかの重要なコンセプトに基づいている」とし、「第一に、新しいタイプの大陸間核運搬システムを取り込むことを目指す。第二に、いわゆる非戦略核兵器のように、これまで制限されていなかったものも含め、すべての核弾頭を対象とすることを目指す。第三に、新START が終了する2026 年以降も、ロシアのICBM、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)及び戦略爆撃機に対する制限を維持することを目指す」66と述べた。
他方、ラブロフ(Sergey Lavrov)外相は6 月の米露首脳会談前に、「我々は、核、非核、攻撃、防御など戦略的安定に影響を与えるすべての要素を考慮して対話を開始するという提案を確認した」67と述べ、ロシアが以前から問題視していたミサイル防衛問題も協議の議題に含まれるべきだとの考えを強く示唆した。また、アントノフ(Anatoly Antonov)駐米ロシア大使は、第2 回会合で「双方は、戦略的任務を遂行することができる核及び非核兵器の特定の種類及びクラスだけでなく、『戦略的効果』を有する双方の行動についても議論するつもりである」と指摘し、「こうしたアプローチは、両代表団が、軍備管理とリスク低減の両方の措置を含む、異なるステータスを持つ可能性のある一連の合意と理解に到達する機会を提供するものと理解している」と説明した68。
中距離核戦力全廃条約(INF 条約)失効後の地上発射中距離ミサイル問題について、2020 年10 月にプーチン大統領が、「米国が同種の兵器を製造しない限り、ロシアは地上発射中距離ミサイルの配備に関するモラトリアムのコミットメントを再確認する」としたうえで、以下のような新しい軍備管理体制を提案した69。
➢ 米・NATOが欧州に配備するMk-41 発射機装備のイージス・アショア弾道ミサイル防衛(BMD)システムと、ロシアがカリーニングラードに配備する9M729 地上発射巡航ミサイル(GLCM)の相互査察を実施する。
➢ (9M729 がINF 条約に違反しないミサイルであるとのロシアの立場を繰り返したうえで)NATO 諸国が欧州にINF条約違反となるミサイルを配備しない限り、ロシアも欧州の領域において9M729 のさらなる配備を行わない。
➢ アジア太平洋地域において、「INF 条約のない世界」での安定性の維持とミサイル危機の防止の方法を模索することを呼び掛ける。
ロシアは2021 年国連総会第一委員会でも、自国は上述のようなモラトリアム案を維持しているとして、NATO に合意・協力するよう求めた70。しかしながら、米国及びNATO 諸国は、ロシアの9M729 実験・配備がそもそもINF 条約違反であったこと、Mk-41 はINF 条約に違反するものではないこと、並びに検証措置の適用地域に大きな非対称性があることを挙げて、ロシアの提案を拒否している。
米露以外の核保有国
上述のように、米国は、新START 後の核兵器削減をロシアと二国間で協議し、合意を目指すとする一方で71、中国の核問題にも対応していく必要性に繰り返し言及した。2021 年5 月にはウッド米軍縮大使がCD で、「中国の劇的な核戦力の増加にもかかわらず、中国は残念なことに核リスクの低減に向けた米国との二国間交渉を拒否し続けている。米国は、核ドクトリン、ミサイル発射通報協定案、並びにより強固な危機管理チャネルについて、二国間での綿密な交流を求め続ける」72と発言した。
また、ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)NATO 事務総長は、「中国の核戦力は、より多くの核弾頭と洗練された運搬手段により、急速に拡大している。さらに、中国は大量のミサイルサイロを建設しており、核戦力を大幅に増強することができる。これらはすべて、何の制限も制約、そして透明性もなく行われている」と批判したうえで、「今後の軍備管理には、より多くの国を参加させる必要がある。特に中国だ。世界の大国である中国は、軍備管理において世界的な責任を負っている。中国もまた、相互に数を制限し、透明性を高め、予測可能性を高めることで恩恵を受けるであろう。これらは、国際的な安定性の基盤となるものである」73と論じた。
5核兵器国のなかで核兵器の配備数や保有数あるいは削減計画などの具体的な姿を全く公表していない中国は、2021年10月の国連総会第一委員会で以下のように述べ、米国の相応の行動がない限りは軍備管理・軍縮協議に応じる用意はないと明言した。
中国は、核軍縮は、世界の戦略的安定とすべての国の安全保障を維持することを前提に、段階的かつバランスのとれた削減を行う、公正で合理的なプロセスであるべきだと主張している。米国は、絶対的な軍事的優位性を追求するために、大国間競争を誇張し続け、軍事同盟を強化し、戦略核の三本柱のアップグレードに莫大な投資を行い、核兵器使用の閾値を下げ、グローバルなミサイル防衛システムを絶えず開発・配備し、世界の戦略的バランスと安定性を損なっている。世界で最も多くの核実験を行い、核兵器の近代化に最大の投資を行った国として、米国は核軍縮における特別かつ主要な責任を果たし、核兵器をさらに大幅に削減し、他の核兵器国が核軍縮プロセスに参加するための条件を整えるべきである74。
また、プーチン露大統領は、「中国は軍備管理の交渉に参加せず、核戦力削減を交渉することも拒否している。それがよいか悪いかは、中国に聞くべきだ。それは、彼らが決めることだ。しかし、弾頭や運搬手段の量では、米露が中国よりもはるかに進んでいるという彼らの主張はシンプルで、また理解できるものでもある」75と述べ、中国に対して積極的に参加を求めることはしないという従来の方針を繰り返した。
ロシアはまた、中国に核軍備管理への参加を求めるのであれば、英仏にも同様に求められるべきであると主張している。ラブロフ外相は2021 年2 月の演説で、核・ミサイルの軍縮における「さらなる進展には、軍事的な核戦力を保有するすべての国、特に英国及びフランスの関与が必要である。ロシアは多国間対話にオープンであり、その対話は、すべての側の合意と正当な利益の尊重、そして彼らの同意に基づいて行われるべきである」76と発言した。
これに対して、英仏からの前向きな発言は見られない。逆に英国は上述のように、核兵器保有数の上限を引き上げるとの方針を2021 年に示した。また、フランスは、核保有数の上限を300 発に削減するという2015 年の決定以降、さらなる削減の方針を打ち出しておらず、2020 年にはマクロン大統領が、一方的な核兵器の放棄は行わないとも明言した77。
インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の状況はいずれも明確ではないが、少なくとも核兵器(能力)の削減を実施しているとの発言や分析は見られず、逆に核弾頭数を漸増させていると見積もられている。
B) 核兵器の一層の削減に関する具体的計画
核兵器の一層の削減に関する新たな具体的計画・構想を2021 年に明らかにした核保有国はなかった。米露間では、戦略・非戦略核戦力の一層の削減に関する具体的な協議は見られなかった。また、中国、フランス及び英国は、多国間の核兵器削減プロセスの開始には、まず米露が核兵器を一層大幅に削減すべきだとの立場を変えていない。南アジアでは、パキスタンが、インドが核兵器を放棄すれば自国も同様に放棄すると述べるにとどまる。
C) 核兵器能力の強化・近代化の動向
核保有国は、核軍縮に関するコミットメントを繰り返す一方で、核兵器能力の強化や近代化を継続してきた。NGO のPAX 及び核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が2021 年に刊行した報告書によれば、核保有国による2020 年の核兵器関連支出額(核戦力の近代化を含む)の総計は726 億ドル(推計)で、このうち米国が374 億ドル、中国が約100 億ドル、ロシアが80 億ドルであった78。2021 年国連総会第一委員会でも、多くの非核兵器国から、そうした核保有国の動向に対して強い懸念が表明されるとともに、エジプトやメキシコなどは核戦力ではなく新型コロナウイルスへの対応などに資金を投じるべきだと主張した。
中国
中国は、核戦力の開発・配備の状況について一切公表していないが、その近代化を積極的に推進してきた。
米国防総省の「中国の軍事力に関する年次報告」2021 年版によれば、「中国は核戦力拡大のペースを加速させており、2027 年までに核弾頭700 発の保有を可能にしうる。2030 年までに少なくとも1,000 発の弾頭を保有する意図がおそらくあり、これは国防総省が2020 年に立てた予測を上回るペースと規模である」79とした。また、この報告書によれば、中国は2020 年に、2018 年と2019 年の発射数を上回る250 発以上の弾道ミサイルを発射した80。これに対して、中国外交部の汪文斌(Wang Wenbin)報道官は定例記者会見で、「過去の類似の報告書と同様に、国防総省の報告書は事実を無視し、偏見に満ちたものである。米国は報告書を利用して『中国の核の脅威』を誇大宣伝した。しかしながら、話術を操り、世論を惑わすトリックに他ならないことを、国際社会はよく分かっている。実際には、世界における核の脅威の一番の源は米国である」81と述べて、強く反発した。
戦略核戦力
中国の戦略核戦力の中心はICBM である。米国に到達可能な中国の戦略核戦力は、長らく1981 年に配備開始の20 基のDF-5 固定式ICBMだけだったが、2000 年代後半以降、移動式のDF-31A/AG、固定式で1 基に3〜5 個の核弾頭を搭載可能な複数個別誘導弾頭(MIRV)化のDF-5B、そして移動式で1 基に最大で10 個の核弾頭を搭載可能(核弾頭は3 個程度で、別に囮や侵入支援を搭載しているとの見方もある)なMIRV化のDF-41 という新型ICBMの配備が続いている。米国防総省は、中国は100 基のICBM 発射機及び150 基のICBM を保有していると見ている82。
2021 年に最も注視された中国の動向の1つは、衛星写真の分析から、ICBM サイロ建設と見られる活動が相次いで指摘されたことであった。まず2 月には、中国が内モンゴル自治区のジランダイ(Jilantai)演習場でDF-41 用と見られる少なくとも16 基のサイロの新設を進めている可能性が高いと報じられ83、そのサイロの間隔は2.2〜4.4km(1.4〜2.7 マイル)で、1 回の核攻撃で2 つのサイロが破壊されないよう配慮されているとも分析された。
7 月には、中国が甘粛省玉門市北西の砂漠地帯に、ICBM サイロと見られる施設を119 カ所建設しているとの分析結果が報じられた84。同月には、新疆ウイグル自治区東部でもICBM サイロと見られる110 の建造物を建設中との分析が報告された85。さらに8 月には、米情報機関が衛星画像から、中国が100 基以上のDF-41 を格納できる第3 の基地を建設中だと見ていると報じられた86。各ミサイルサイロ場には、発射管制センター、基地、支援施設と思われる数多くの施設も含まれているとされる87。11 月には、衛星画像の分析から建設作業が進んでいることが明らかにされた88。
中国が新しいICBM サイロをいかにして運用するのか、すべてのサイロにミサイルを搭載するのか、一部は囮として使用するのかなど、詳細は不明であるが、米シンクタンクの専門家は建設の理由として、ICBM への先制攻撃に対する脆弱性の低減、ミサイル防衛の潜在的影響の克服、液体燃料から固体燃料のサイロ型ミサイルへの移行、ICBM 部隊の即応性の向上、ICBM 部隊のバランス化、中国の核攻撃能力の向上、攻撃オプションの数と種類の増加、並びに国家威信の向上などを挙げている89。米国は、プライス(Ned Price)報道官が「中国の核兵器が、おそらく以前に予想されていたよりも急速に、そして高いレベルにまで増大することを示唆している。この増強は懸念すべきものであり、中国の意図について疑問を投げかけている」90と述べるなど、中国の動向に強い懸念を繰り返し表明した。
ICBM サイロ建設にかかる上述の分析・報道に対して、中国は公式には反応していない。他方、中国共産党系の『環球時報』は、DF-41 は移動式ミサイルでサイロを必要とするかは疑問であるとし、分析は憶測に基づくもので、中国の核戦力増強を問題にし、中国を消極的な立場に追い込むことで、その核戦力増強を妨げることを目的としたものだと主張した91。
他の戦略核戦力については、中国が改良型のJin 級弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)(Type 094A)に最新のSLBMであるJL-3(射程10,000km 以上)を搭載したとの分析が報じられた92。米国防総省の中国の軍事力に関する年次報告書によれば、中国は次世代SSBN(Type 096)を計画しており、その建造開始は2020 年代初頭が見込まれ、開発中のJL-3 SLBM が搭載される。また、中国の戦略原潜は2030 年までに8 隻体制になると予想している93。また、中国は核弾頭を装着可能な空中発射弾道ミサイルを搭載できるH-6N 戦略爆撃機と、核巡航ミサイルを搭載可能なH-6K 戦略爆撃機によって、戦略核三本柱を完成させつつある。
非戦略核戦力
中国の地上発射型短・中距離ミサイル戦力は質的にも数的にも世界最高水準にある。米国防総省の中国の軍事力に関する年次報告書では、中距離弾道ミサイル(IRBM)の発射機が200、ミサイルが300 基、準中距離弾道ミサイル(MRBM)の発射機が250、ミサイルが600 基、短距離弾道ミサイル(SRBM)の発射機が250、ミサイルが1,000 基と推計している94。グアムを射程に収めるDF-26 IRBM については、その保有数が増加しているとし95、また精密攻撃が可能で低出力核弾頭が搭載される可能性の最も高いシステムだとした96。DF-21 及びDF-26 には対艦攻撃能力を持つ派生型があり、2021 年1 月には、中国が2020 年8月に南シナ海で、航行中の船舶を標的に両ミサイルを1 発ずつ発射する実験を実施し、2 発のミサイルはほぼ同時に命中して船舶を沈没させたと報じられた97。
中国は、弾道・巡航ミサイルに加えて、極超音速ミサイルの開発も積極的に推進している。2020 年にはDF-17 極超音速ミサイルの配備を開始し、2021 年11 月に中国国防省の呉謙(Wu Qian)報道官は、順次任務に就いていると述べた98。2021 年10 月には、中国が同年8 月に極超音速滑空飛翔体をロケットで打ち上げ、地球の低周回軌道を回った後、標的に向かって下降させるという実験を実施(標的から30km 以上離れた場所に着弾)したと報じられた99。米国などの専門家は、部分軌道爆撃システム(FOBS)の実験だった可能性があると指摘した100。11 月にはハイテン(John Hyten)統合参謀本部副議長がこのミサイルについて、「地球を一周した後、極超音速滑空体を投下し、この滑空体が中国に戻って中国国内の目標物に影響を与えた」101と発言した。これに対して、中国外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は、極超音速滑空飛翔体ではなく、「宇宙船の再利用技術を検証するための、宇宙船の定期的な実験」102だったと説明した。他方、この実験についてはさらに11 月、極超音速兵器が南シナ海上空を滑空中に別の飛翔体を発射していたとも報じられた103。
フランス
フランスは、2015 年に自国の核弾頭数の上限を300 発にすると宣言した104。保有する核戦力を3 セットのSLBM16 基(計48基) 、及び中距離空対地巡航ミサイル(ASMPT)54 基で構成するとの体制も現在まで維持されている。
改良型のM51.2 SLBM は2017 年末に運用が開始され、2020 年までにすべてのSSBN に搭載されるとされていた。また、射程延長及び命中精度向上を図ったM51.3の2025 年までの開発完了が計画されている。フランスはさらに、2035 年までの就航を目指して第3 世代のSSBN(SNLE 3G)を開発すること、並びにこれに搭載するM51.4 SLBM も2040 年代初めを目標に開発することという計画を2021 年に開始した105。フランスはASMPT の後継についても、第4 世代ミサイル(ASN4G)の設計開発を開始し、2035 年の導入を計画している。
ロシア
ロシアは、対米核抑止力の維持を主眼としつつ、冷戦期に建造された核戦力の更新をはじめとして様々な運搬手段の開発・配備を積極的に推進してきた。
戦略核戦力については、2021 年には特段の大きな動向は報じられなかった。ロシアの戦略核戦力の中心はICBM であり、2010年に運用開始の移動式・固定式で1 基に4発の核弾頭を搭載するMIRV 化のRS-24(Yars)の配備が進んでいる。また、1 基に10-16 発の核弾頭を搭載可能なMIRV 化のRS-28(Sarmat)の実験が繰り返されている。RS-28 はRS-20V(SS-18 Satan)の後継と位置付けられ、2022 年からの配備が計画されている。潜水艦戦力については、2013 年よりボレイ級SSBN への転換が始まり、3 隻が就役し、5 隻が建造中で、2021年1 月にはさらに2 隻を建造することが発表された106。
巡航ミサイル戦力に関しては、ロシアは4 月にカリブル海洋発射型巡航ミサイルの発射実験を、日本海の標的に向けて実施した。
他方、近年注目されてきた、ロシアによる従来にはないコンセプトの「エキゾチック」な核運搬手段の開発については、2021年にも様々な動きが見られた。まず、米国本土に到達可能な極超音速滑空飛翔体のアバンガルド(マッハ20 で飛翔し、さらに高い機動性を有する)を搭載した戦略ミサイルシステムの第一連隊が、2021 年中に戦闘任務に就く予定であることが明らかにされた。第二連隊も2023 年までに戦闘警戒態勢に入るとされている107。また、2021 年7月には海上発射型のツィルコン極超音速ミサイルの発射実験を実施し、ロシア国防省によればマッハ7 以上の速度で350km 飛翔した108。10 月には、その2 回目の発射実験が(初の原潜からの発射)109、また11 月末にはフリゲート艦からの発射実験が実施された110。プーチン大統領は、ツィルコンの実験段階が完了に近づいており、2022 年中に海軍に引き渡されるとの見込みを示している111。
ロシアはまた、原子力推進で射程1 万km以上のStatus-6(Poseidon)長距離核魚雷、あるいは原子力推進のGLCM であるSSCX-9(Skyfall)の開発を進めている。後者については、開発が難航しているようである112。2021 年8 月には、ロシアがスカイフォールの発射実験を準備していると報じられたが113、2021 年中に続報はなかった。
2021 年にはこのほかに、ロシアが「終局の日」、すなわち敵の核攻撃を受けた際にロシア大統領以下の高官を搭乗させる指揮統制用航空機2 機(ベースは長距離輸送機Ilyushin II-96-400M)の建造を開始したと報じられた。旧式の機材よりも航続距離が2 倍に増え、半径6,000km 以内の固定式・移動式ICBM や戦略原潜に発射命令を送信可能だとされる114。
英国
英国は上述のように、2021 年3 月に公表した「安全保障・防衛・開発・外交政策統合見直し」で、核兵器の総保有量の上限を260 発に引き上げる予定だと表明した。他方、4 隻の戦略原潜のみを保有するという政策は維持された115。
英国は2017 年10 月、既存のヴァンガード級SSBN に替わる4 隻の新型ドレッドノート級SSBN の建造を開始した。新型SSBN の一番艦は2030 年代初頭の就役が予定されているが、技術的・予算的問題により建造には遅れが生じている(『ひろしまレポート2021 年版』を参照)。新型SSBNに搭載されるSLBM には、米国との協力で検討が進められているW93 核弾頭の搭載が計画されている。
米国
2021 年1 月に発足したバイデン新政権は、同年中には核戦力近代化に関する方針を示さなかった。大統領選に向けた民主党綱領では、「核兵器への過剰な依存と支出を削減しながら、強力で信頼できる抑止力を維持するために努力する。新たな核兵器をつくるというトランプ政権の提案は、不必要で無駄であり、擁護できない」116としていたが、バイデン政権が示した国防予算案では、トランプ前政権期に計画された近代化計画(戦略核三本柱のすべての更新、並びに低出力核SLBM の維持と核海洋発射巡航ミサイル〔SLCM〕の開発)のすべてに対して、計432 億ドルの予算措置が計上された。
冷戦期に配備が開始された米国の戦略運搬手段の更新時期が近づいており、2021 年時点での米国の戦略核戦力近代化計画は以下のとおりである。
➢ コロンビア級 SSBNを12 隻建造し、その一番艦を2031 年に運用開始
➢ 450 基のミニットマンⅢ・ICBMを400基の地上配備戦略抑止力(GBSD、新型ICBM)に転換
➢ B-21 次世代戦略爆撃機、及びこれに搭載される空中発射巡航ミサイル(LRSO)を開発・配備
核軍縮推進派からは、核戦力近代化の予算を削減して他の重要課題に振り向けること、また核兵器の一層の削減など核軍備管理を推進することといった観点から、近代化計画を見直すべきだとの主張が根強く見られた。他方、リチャード( Charles Richard)米戦略軍(STRATCOM)司令官は4 月20 日の上院軍事委員会公聴会で、「拡大する脅威に対する核抑止力とそれを支えるインフラへの過少な投資による寿命の限界と累積的な影響により、運用上の余裕がない状況にある」としたうえで、「通常、10 年から15 年の期間を必要とする近代化と維持のための取組の多くは、スケジュール上の余裕がなく、なかにはすでに遅きに失しているものもある。国がこれらの懸念に対処し続けなければ、いくら資金を投じても、主要な備蓄品やインフラの能力低下に伴う運用上のリスクを十分に低減することはできない」との危機感を示した117。
トランプ政権期に推進された低出力核弾頭(W76-2)搭載SLBM の配備、並びに核SLCM の開発について、バイデン大統領は大統領選では批判的な発言を行っていたが、2022 年初めの完了に向けて核態勢見直し(NPR)策定プロセスが進むなかで、2021年中には同政権の方針は示されなかった。延長プログラムオプションをサポートするために、アーミング、ヒュージング、発射サブシステムを交換し、避雷器コネクターを追加し、兵器内の通常型高爆薬をリフレッシュする」ものだとされる123。米国はまた、上述のように英国と共同で、英国の新型SLBM への搭載が計画されているW93核弾頭の検討を進めている124。
インド
インドは引き続き、「戦略核の三本柱」の構築に向けて精力的に核戦力の開発を推進している。10 月にはアグニ5 地上発射型長距離弾道ミサイル(射程5,000km)の発射実験に成功した125。またインドは、アリハント級潜水艦の後継で、より長射程の弾道ミサイルを搭載可能なS5 級潜水艦を3 隻建造する計画である126。
インドはこのほかに、アグニ級ミサイル発展型で最新のアグニP(射程1,000〜2,000km)の発射実験を6 月及び12 月に実施した127。
イスラエル
イスラエルは、核兵器の保有を明言しておらず、その動向も必ずしも明らかではない。運搬手段については、核弾頭搭載可能な地上発射中距離弾道ミサイルやSLCM の開発・配備を進めてきた。2020 年1 月にはジェリコ長距離弾道ミサイルの発射実験を実施したと見られている128。
パキスタン
パキスタンは、インドに対する抑止力の構築を主眼として、核弾頭搭載可能な短距離及び準中距離ミサイルの開発・配備に注力しており、2021 年にも様々なミサイルの実験を繰り返した。たとえば1 月にはシャヒーン3 IRBM(射程2,750km)129、2 月にはハトフ3SRBM(射程290km)及びハトフ7GLCM(射程450km)の発射実験を実施した130。さらに3 月及び11 月には、シャヒーン1A MRBM(射程900km)の発射実験を実施した131。
北朝鮮
金正恩(Kim Jong Un)朝鮮労働党委員長は2021 年1 月初頭に開催された党大会での報告で、「我々の国防能力は、領土外からの敵対勢力による威嚇を先制的に封じ込めるレベルにある」としたうえで、核戦力のさらなる強化について、以下のようなものを含む具体的な構想を列挙した132。
➢ 核兵器の小型・軽量化
➢ 「超大型」の水爆
➢ 原子力潜水艦
➢ 中距離巡航ミサイル
➢ 固体燃料型ICBM及びSLBM
➢ 極超音速滑空飛翔体
同月14日の軍事パレードでは、北極星5SLBMが披露された。また4月には、北朝鮮が新浦(Sinpo)にある造船所で3,000トン級の潜水艦の建造作業を終えたと報じられた。
北朝鮮は2017年11月以降、核兵器及び長距離ミサイル実験を実施していない。しかしながら、それ以外の様々な核運搬手段の発射実験を前年に続いて活発に繰り返した。
たとえば3 月には、KN-23 SRBM の改良型と見られる弾道ミサイル2 発を発射し、朝鮮中央通信(KCNA)は、投射重量を2.5 トンに改良し、発射実験では600km 沖の目標を正確に打撃したこと、低高度滑空型飛行モード( low-altitude gliding leap type flight mode)の能力が確認されたことなどを報じた133。ミサイルが飛翔する終末段階でのプルアップ操作が可能で、機動性の高い弾道ミサイルだと分析されている。
9 月には相次いでミサイル実験が敢行された。まず11、12 日の両日には、新型の長距離巡航ミサイルの発射実験が行われた。北朝鮮の国防科学院は、ミサイルは上空に設定した「楕円及び8 の字形の軌道」に沿って2 時間6 分20 秒間にわたり1,500km飛行したと報告した134。続く15 日には、「鉄道機動ミサイル連隊」がKN-23 と見られる2 発のSRBM を列車から発射し、KCNAによれば、最高約800kmを飛行した135。さらに28 日には、新型の火星8 極超音速ミサイルの発射実験が実施されたと報じられた。発射実験では、「飛行の操縦性と安定性を確かめた」としたうえで、「分離された滑空飛行の弾頭の誘導機動性や、滑空飛行の特性をはじめ、技術的な指標を確認した」とされる136。火星8 については、中国のDF-17 に使用される極超音速滑空飛翔体に酷似したものが搭載されていること、9 月の実験の成否や、ミサイルの精度など多くの点は不明であることなどが分析され
ている137。
続く10 月19 日には、日本海に向けて新型のSLBM(KN-23 の改良型と見られる)を発射した。KCNA によれば、「側面移動や滑空移動など多くの高度な誘導制御技術が導入された新型SLBM は、国の防衛技術や海軍の水中作戦能力を高めることに大きく貢献する」138とされる。
55 “Readout of President Joseph R. Biden, Jr. Call with President Vladimir Putin of Russia,” January 26, 2021, https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2021/01/26/readout-of-president-joseph-r-bidenjr- call-with-president-vladimir-putin-of-russia/.
56 Antony J. Blinken, “On the Extension of the New START Treaty with the Russian Federation,” Press Statement, February 3, 2021, https://www.state.gov/on-the-extension-of-the-new-start-treaty-with-the-russian-federation/.
57 Ministry of Foreign Affairs of Russia, “Statement by the Ministry of Foreign Affairs of the Russian Federation on the Extension of the Treaty on Measures for the Further Reduction and Limitation of Strategic Offensive Arms,” February 3, 2021, https://www.mid.ru/en/foreign_policy/international_safety/-/asset_publisher/FXwQn3fmpBvm/content/id/4551078.
58 Mark Episkopos, “Russia Confirm Avangard Missile System Falls under New START,” National Interest, January 27, 2021, https://nationalinterest.org/blog/buzz/russia-confirm-avangard-missile-system-falls-under-new-start-177 181.
59 The U.S. Department of State, “New START Treaty,” https://www.state.gov/new-start/.
60 Ibid.
61 “Russia Raises Concerns over U.S. Implementation of Arms Control Treaty,” Reuters, May 24, 2021, https://www.reuters.com/world/russia-accuses-us-exceeding-limits-imposed-by-new-start-arms-control-treaty-2021-05-24/.
62 Blinken, “On the Extension of the New START Treaty with the Russian Federation.”
63 “U.S.-Russia Presidential Joint Statement on Strategic Stability.”
64 “Deputy Secretary Sherman’s Participation in Strategic Stability Dialogue with Russian Deputy Foreign Minister Sergey Ryabkov,” The U.S. Department of State, July 28, 2021, https://www.state.gov/deputy-secretary-shermansparticipation-in-strategic-stability-dialogue-with-russian-deputy-foreign-minister-sergey-ryabkov/.
65 “Joint Statement on the Outcomes of the U.S.-Russia Strategic Stability Dialogue in Geneva,” September 30, 2021, https://www.state.gov/joint-statement-on-the-outcomes-of-the-u-s-russia-strategic-stability-dialogue-in-genevaon-september-30/.
66 Bonnie Jenkins, “Nuclear Arms Control: A New Era?” Remarks to the 17th Annual NATO Conference on WMD Arms Control, Disarmament, and Nonproliferation, Copenhagen, September 6, 2021, https://www.state.gov/undersecretary-bonnie-jenkins-remarks-nuclear-arms-control-a-new-era/.
67 “Lavrov Called His Meeting with Blinken Constructive,” Tass, May 20, 2021, https://tass.com/politics/1291733.
68 “Envoy: Russian-U.S. Dialogue on Strategic Stability Develops in Right Direction,” Vestnik Kavkaza, October 26, 2021, https://vestnikkavkaza.net/news/Envoy-Russian-U-S-dialogue-on-strategic-stability-develops-in-right-direction.html.
69 “Moscow Ready Not to Deploy 9M729 Missiles in European Russia, Putin Says,” Tass, October 26, 2020, https://tass.com/politics/1216411.
70 “Statement by Russia,” General Debate, First Committee, UNGA, October 6, 2021.
71 2021 年6 月の米露首脳会談前のブリーフィングでも米政権高官は、「最終的には、軍備管理関連問題について中国と持続的な対話を行う必要がある。しかしながら、大統領は、最初の段階では世界最大の核保有国である二国間で協議を行うことがスタートの方法であることを明確にしている」と述べた。“Background Press Gaggle by Senior Administration Officials En Route Geneva, Switzerland,” White House, June 15, 2021, https://www.whitehouse.gov/briefing-room/press-briefings/2021/06/15/background-press-gaggle-by-senior-administration-officials-en-route-geneva-switzerland/.
72 Robert Wood, “Remarks to the CD Plenary Thematic Debate on Agenda Item 2,” May 18, 2021, https://geneva.usmission.gov/2021/05/18/ambassador-woods-remarks-to-the-cd-plenary-thematic-debate-on-agenda-item-2/.
73 Jens Stoltenberg, “Remarks,” at the 17th Annual NATO Conference on Arms Control, Disarmament and Weapons of Mass Destruction Non-Proliferation, September 6, 2021, https://www.nato.int/cps/en/natohq/opinions_186295.htm?selectedLocale=en.
74 “Statement by China,” Clusters I to IV, First Committee, UNGA, October 13, 2021.
75 “Making Russia Responsible for China’s Stance on Nuclear Arms is Laughable – Putin,” Tass, January 15, 2021, https://tass.com/politics/1302501.
76 “Address by Sergey Lavrov, Minister of Foreign Affairs of the Russian Federation, to the High Level Segment of the Conference on Disarmament,” February 24, 2021, https://www.mid.ru/en/foreign_policy/international_safety/regprla/-/asset_publisher/YCxLFJnKuD1W/content/id/4594359.
77 “Speech of the President of the Republic on the Defense and Deterrence Strategy,” February 7, 2020, https://www.elysee.fr/emmanuel-macron/2020/02/07/speech-of-the-president-of-the-republic-on-the-defense-and-deterrencestrategy.en.
78 ICAN and PAX, Complicit: 2020 Global Nuclear Weapons Spending, 2021.
79 The U.S. Department of Defense, Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2021, November 2021, p. 90.
80 Ibid., p. 94.
81 “Foreign Ministry Spokesperson Wang Wenbin’s Regular Press Conference,” Foreign Ministry of China, November 4, 2021, https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/t1918690.shtml.
82 The U.S. Department of Defense, Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2021, p. 163.
83 Hans Kristensen, “Area: More Silos, Tunnels, and Support Facilities,” Federation of American Scientists, February 24, 2021, https://fas.org/blogs/security/2021/02/plarf-jilantai-expansion/.
84 Jeffrey Lewis and Decker Eveleth, “Chinese ICBM Silos,” Arms Control Wonk, July 2, 2021, https://www. armscontrolwonk.com/archive/1212340/chinese-icbm-silos/.
85 Matt Korda and Hans Kristensen, “China Is Building a Second Nuclear Missile Silo Field,” Federation of American Scientists, July 26, 2021, https://fas.org/blogs/security/2021/07/china-is-building-a-second-nuclear-missile-silofield/.
86 Bill Gertz, “China Building Third Missile Field for Hundreds of New ICBMs,” Washington Times, August 12, 2021, https://www.washingtontimes.com/news/2021/aug/12/china-engaged-breathtaking-nuclear-breakout-us-str/.
87 Hans M. Kristensen and Matt Korda, “China’s Nuclear Missile Silo Expansion: From Minimum Deterrence to Medium Deterrence,” Bulletin of the Atomic Scientists, September 1, 2021, https://thebulletin.org/2021/09/chinasnuclear-missile-silo-expansion-from-minimum-deterrence-to-medium-deterrence/.
88 Matt Korda and Hans Kristensen, “A Closer Look at China’s Missile Silo Construction,” Federation of American Scientists, November 2, 2021, https://fas.org/blogs/security/2021/11/a-closer-look-at-chinas-missile-silo-construc
tion/.
89 Kristensen and Korda, “China’s Nuclear Missile Silo Expansion.”
90 The U.S. Department of State, “Department Press Briefing,” July 1, 2021, https://www.state.gov/briefings/department-press-briefing-july-1-2021/. 米国防総省の中国の軍事力に関する年次報告書では、今後5 年間に中国のICBM は200 発程度まで増大するとの見積もりを示した。また、The U.S. Department of Defense, Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2021, p. 60 でもこの問題が言及されている。
91 “China’s Nuclear Deterrence Buildup Cannot be Tied Down by the US,” Global Times, July 2, 2021, https://www.globaltimes.cn/page/202107/1227671.shtml.
92 Minnie Chan, “China’s New Nuclear Submarine Missiles Expand Range in US: Analysts,” South China Morning Post, May 2, 2021, https://www.scmp.com/news/china/military/article/3131873/chinas-new-nuclear-submarinemissiles-expand-range-us-analysts.
93 The U.S. Department of Defense, Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2021, p. 49.
94 Ibid., p. 163.
95 Ibid., p. 60.
96 Ibid., p. 93.
97 「中国の『空母キラー』ミサイル、航行中の船へ発射実験―2 発が命中か」『読売新聞』2021 年1 月13 日、https://www.yomiuri.co.jp/world/20210112-OYT1T50299/。
98 “Regular Press Conference of the Ministry of National Defense,” November 25, 2021, http://eng.mod.gov.cn/
focus/2021-11/26/content_4900240.htm.
99 “China Tests New Space Capability with Hypersonic Missile,” Financial Times, October 16, 2021, https://www.ft.com/content/ba0a3cde-719b-4040-93cb-a486e1f843fb.
100 “A Fractional Orbital Bombardment System with A Hypersonic Glide Vehicle?” Arms Control Wonk, October 18, 2021, https://www.armscontrolwonk.com/archive/1213655/a-fractional-orbital-bombardment-system-with-a-hypersonic-glide-vehicle/.
101 Chandelis Duster, “Top Military Leader Says China’s Hypersonic Missile Test ‘Went Around the World,’” CNN, November 18, 2021, https://edition.cnn.com/2021/11/17/politics/john-hyten-china-hypersonic-weapons-test/index.html.
102 “Foreign Ministry Spokesperson Zhao Lijian’s Regular Press Conference,” Ministry of Foreign Affairs of China, October 18, 2021, https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/t1915130.shtml.
103 Demetri Sevastopulo, “Chinese Hypersonic Weapon Fired a Missile over South China Sea,” Financial Times, November 22, 2021, https://www.ft.com/content/a127f6de-f7b1-459e-b7ae-c14ed6a9198c.
104 François Hollande, “Nuclear Deterrence—Visit to the Strategic Air Forces,” February 19, 2015, http://basedoc.diplomatie.gouv.fr/vues/Kiosque/FranceDiplomatie/kiosque.php?fichier=baen2015-02-23.html#Chapitre1.
105 “France Launches Program to Build New Generation of Nuclear Submarines,” Marine Link, February 19, 2021, https://www.marinelink.com/news/france-launches-program-build-new-485431; Timothy Wright and Hugo Decis,“Counting the Cost of Deterrence: France’s Nuclear Recapitalization,” Military Balance Blog, May 14, 2021, https://www.iiss.org/blogs/military-balance/2021/05/france-nuclear-recapitalisation.
106 Thomas Nilsen, “Sevmash to Lay Down Two More Borei-A Class Submarines in 2021,” The Barents Observer, January 13, 2021, https://thebarentsobserver.com/en/security/2021/01/sevmash-lay-down-more-borei-class-submarines-2021.
107 “Russia’s 1st Regiment of Avangard Hypersonic Missiles to Go on Combat Alert by Yearend,” Tass, August 10, 2021, https://tass.com/defense/1324415.
108 Rajeswari Pillai Rajagopalan, “Russia Tests Hypersonic Zircon Missile: Growing Geopolitical Rivalries Will Continue to Drive the Development of Hypersonic and Other Lethal Weapons Systems,” The Diplomat, July 22, 2021, https://thediplomat.com/2021/07/russia-tests-hypersonic-zircon-missile/.
109 “Russia Test-fires New Hypersonic Missile from Submarine,” AP, October 4, 2021, https://apnews.com/article/business-europe-russia-vladimir-putin-navy-a941853d791d8b57cc1a2bc39e9d4df4.
110 “Russian Navy Test-Fires Hypersonic Missile in the White Sea,” AP, November 29, 2021, https://apnews.com/article/europe-russia-vladimir-putin-a6a6f435a13d177681e5a00260d1b672.
111 “Putin Says Russian Navy to Get Hypersonic Zircon Missiles in 2022,” Reuters, November 4, 2021, https://www.reuters.com/world/putin-says-russian-navy-get-hypersonic-zircon-missiles-2022-2021-11-03/.
112 Hans M. Kristensen and Matt Korda, “Russian Nuclear Forces, 2020,” Bulletin of the Atomic Scientists, March 1, 2020, https://thebulletin.org/premium/2020-03/nuclear-notebook-russian-nuclear-forces-2020/; “Russia’s Nuclear Cruise Missile is Struggling to Take Off, Imagery Suggests,” NPR, September 25, 2018, https://www.npr.org/2018/09/25/649646815/russias-nuclear-cruise-missile-is-struggling-to-takeoff-imagery-suggests.
113 Zachary Cohen, “New Satellite Images Show Russia May be Preparing to Test Nuclear Powered ‘Skyfall’ Missile,” CNN, August 19, 2021, https://edition.cnn.com/2021/08/18/politics/russia-skyfall-missile-test-satellite-images/
index.html.
114 “Russia Starts Building Upgraded ‘Doomsday Plane’ – Reports,” Moscow Times, July 26, 2021, https://www.themoscowtimes.com/2021/07/26/russia-starts-building-upgraded-doomsday-plane-reports-a74619.
115 United Kingdom, Global Britain in a Competitive Age, p. 76.
116 Democratic National Committee, “Renewing American Leadership,” 2020, https://democrats.org/where-westand/party-platform/renewing-american-leadership/.
117 Charles Richard, “Testimony,” before the U.S. Senate Armed Services Committee, April 20, 2021.
118 Lindsey Heflin, “F-35A Complete 5th Generation Fighter Test Milestone with Refurbished B61-12 Nuclear Gravity Bombs,” U.S. Air Force, October 6, 2021, https://www.af.mil/News/Article-Display/Article/2801860/f-35acomplete-5th-generation-fighter-test-milestone-with-refurbished-b61-12-nu/.
119 “Warhead Modernization Activities Ensure the U.S. Nuclear Weapons Stockpile Continues to Meet Military Requirements While Enhancing Safety and Security,” NNSA, December 2, 2021, https://www.energy.gov/nnsa/articles/nnsa-completes-first-production-unit-b61-12-life-extension-program.
120 Oren Liebermann, “Latest US Military Hypersonic Test Fails,” CNN, October 22, 2021, https://edition.cnn.com/2021/10/21/politics/us-hypersonic-test-fails/index.html.
121 Mike Stone, “U.S. Successfully Tests Hypersonic Booster Motor in Utah,” Reuters, October 30, 2021, https://www.reuters.com/world/us/us-successfully-tests-hypersonic-booster-motor-utah-2021-10-29/.
122 Hans Kristensen, “NNSA Nuclear Plan Shows More Weapons, Increasing Costs, Less Transparency,” Federationof American Scientists, December 30, 2020, https://fas.org/blogs/security/2020/12/nnsa-stockpile-plan-2020/ など
を参照。
123 Brett Tingley, “First Improved W88 Nuclear Warhead for Navy’s Trident Missiles Rolls Off The Assembly Line,” The Drive, July 13, 2021, https://www.thedrive.com/the-war-zone/41531/first-improved-w88-nuclear-warhead-fornavys-trident-missiles-rolls-off-the-assembly-line.
124 米国政府担当者は2020 年に、W93 は全くの新型核弾頭ではなく既存の設計に基づくもので、実験の必要もないと説明した。Aaron Mehta, “Inside America’s Newly Revealed Nuclear Ballistic Missile Warhead of the Future,”Defense News, February 24, 2020, https://www.defensenews.com/smr/nuclear-arsenal/2020/02/24/inside-americas-newly-revealed-nuclear-ballistic-missile-warhead-of-the-future/.
125 “India Tests Ballistic Missile with 5,000km Range,” Business Recorder, October 29, 2021, https://www.brecorder.com/news/40129867/india-tests-ballistic-missile-with-5000km-range.
126 “India’s SSBN Program—Challenges, Imperatives,” IndraStra, April 28, 2021, https://www.indrastra.com/2021/04/India-s-SSBN-Program-Challenges-Imperatives.html.
127 Rahul Bedi, “India Test-Launches New Agni-series Nuclear-capable Missile,” Janes, June 28, 2021, https://www.janes.com/defence-news/india-test-launches-new-agni-series-nuclear-capable-missile/.
128 Don Jacobson, “Israel Conducts Second Missile Test in 2 Months,” UPI, January 31, 2020, https://www.upi.com/Top_News/World-News/2020/01/31/Israel-conducts-second-missile-test-in-2-months/3481580486615/.
129 Asad Hashim, “Pakistan Successfully Tests Medium-range Missile,” Aljazeera, January 21, 2021, https://www.aljazeera.com/news/2021/1/21/pakistan-says-medium-range-missile-test-a-success.
130 “Pakistan’s Surface-to-Surface Missiles: Strategic Intent with Conventional Potential,” Quwa, November 15, 2021, https://quwa.org/2021/02/14/pakistans-surface-to-surface-missiles-strategic-intent-with-conventional-potential-2/.
131 Amber Afreen Abid, “Pakistan’s Test Firing of Shaheen-1A: Revalidating Minimum Credible Deterrence Posture—OpEd,” Eurasia Review, April 17, 2021, https://www.eurasiareview.com/17042021-pakistans-test-firing-of-shaheen-1a-revalidating-minimum-credible-deterrence-posture-oped/.
132 “Great Programme for Struggle Leading Korean-style Socialist Construction to Fresh Victory,” KCNA, January 9, 2021, http://www.kcna.co.jp/item/2021/202101/news09/20210109-02ee.html.
133 “Academy of Defence Science Test-fires New-type Tactical Guided Projectile,” KCNA, March 26, 2021, http://www.kcna.co.jp/item/2021/202103/news26/20210326-03ee.html.
134 “Long-range Cruise Missiles Newly Developed by Academy of Defence Science Successfully Test-fired,” KCNA, September 13, 2021, http://www.kcna.co.jp/item/2021/202109/news13/20210913-03ee.html.
135 “Pak Jong Chon Guides Test Firing Drill of Railway-borne Missile Regiment,” KCNA, September 16, 2021,http://www.kcna.co.jp/item/2021/202109/news16/20210916-01ee.html.
136 “Hypersonic Missile Newly Developed by Academy of Defence Science Test-fired,” KCNA, September 29, 2021, http://www.kcna.co.jp/item/2021/202109/news29/20210929-05ee.html.
137 Vann H. Diepen, “Six Takeaways from North Korea’s ‘Hypersonic Missile’ Announcement,” 38 North, October 13, 2021, https://www.38north.org/2021/10/six-takeaways-from-north-koreas-hypersonic-missile-announcement/.
138 “Academy of Defence Science Succeeds in Test-Launch of New Type SLBM,” KCNA, October 20, 2021,http://www.kcna.co.jp/item/2021/202110/news20/20211020-03ee.html.