4月14日,核軍縮等に関する「 ひろしまレポート2021年版 」の発表会見がありました。
まず,冒頭,広島県知事より,発刊の趣旨や概要説明,それから広島県の取組等についての説明があり,続いて,国際平和拠点ひろしま構想推進委員会副座長,元公益財団法人日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センター所長,元内閣府原子力委員会委員の阿部信泰氏から,核軍縮を巡る状況についての概況説明,最後に実際に「ひろしまレポート」の編集を担当した公益財団法人日本国際問題研究所軍縮・科学技術センター主任研究員の戸﨑洋史氏から,2020年の核軍縮,不拡散を巡る動向というものがどのような動きだったか,について説明がありました。なお,阿部氏,戸﨑氏の両名については,新型コロナウイルス感染症の影響により,東京からリモートでの参加となりました。
その後,大国が低評価であることの受け止めや「ひろしまレポート」の発信や活用などについて質疑があり,各国の国連代表部や国内図書館等への送付や,NPT運用検討会議での配付,また,一般の方向けの小冊子の学校やイベント等での配付などの取組の説明がありました。
分野ごとの主な傾向は以下のとおり
【核軍縮分野】
核兵器廃絶の見通しは依然として立たないばかりか,核兵器を巡る状況は複雑化している。米露間の新戦略兵器削減条約(新START)の期限延長問題は2020年中には合意に至らなかった。核兵器禁止条約(TPNW)の署名・批准国は着実に増加し,2020年10月に50か国に達したことで2021年1月に発効することとなったが,核保有国及び同盟国は条約に署名しない方針でTPNWを推進する非核兵器国との間の亀裂は深まっている。
【核不拡散分野】
イランの核合意(JCPOA)を巡り,イランは義務の一時履行停止を段階的に拡大するとともに,合意の規定を大きく超えて濃縮ウランの貯蔵量を着実に増加させている。北朝鮮は核・ミサイル計画のための不法取引を依然として続けていると見られる。ロシア,英国,米国は,プルトニウム管理指針報告書の未提出により評点を下げている。
【核セキュリティ分野】
全体としては,核テロ脅威への警戒感を持つ国や原子力発電導入に熱心な国などを中心に核セキュリティの水準向上,支援強化が進んでいる。一方で,内部脅威対策やサイバーセキュリティ分野では一部の国で取組が強化され評価を上げているものの,多くの国においてさらなる取組の余地がある。民生利用における高濃縮ウラン・プルトニウム在庫量の最小限化について,高濃縮ウランの完全撤去など取組を進めた国が評点を上げてる。
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