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国際平和拠点ひろしま

Hiroshima Peace Research・Educational Institution Network Foram 2014ひろしま平和研究・教育機関ネットワーク ミニフォーラムを開催しました

広島県内の平和に関する研究機関及び教育機関で構成される「ひろしま平和研究・教育機関ネットワーク」主催のミニフォーラムが開催されました。大学における平和教育をテーマに,県外講師による講演が行われ,県内大学等の平和研究・教育関係者が理解を深めました。

 

開催概要

1 日時:平成25年11月30日(土曜日) 16時30分から18時30分
2 場所:広島市まちづくり市民交流プラザ
3 テーマ:大学等における平和教育の課題と展望
4 出席者:平和研究教育関係者ほか一般県民の方 20名
 

講演内容

講師

明治学院大学国際学部 高原 孝生 教授
 

演題

「大学における平和教育の課題と広島・長崎」
 

講演概要

(大学における平和教育)

大学というところは「考える」ところである。「考える」という営みが平和につながる。「生徒」から「学生」になるということは,「考える」人になるということ。大学の先生は学問を行っている,つまり真理を追究している。学生は,先生の背中を見て同じ方向(真理)に向かい,一緒に学問を行う仲間としてコミュニティを作っていく。

 

 (明治学院大学国際学部の平和教育)

1986年以来,国際学部が主となって平和教育を推進している。平和教育を「平和研究」と「地域研究」の2つの柱で進めている。「平和」がタイトルにつく授業は3つ。1つ目は,1年生から受講できる「平和研究の基礎」。2つ目は,ゼミ・校外実習・フィールドトリップ。毎年開講している「広島・長崎講座」では,物理学者,ミュージシャンなど様々なジャンルの講師を招聘している。3つ目は「明治学院講座」。自由・平等の伝統など,本学が社会に対してある種の姿勢を持ってきた学び舎であることを知ってもらう。

平和学の授業が大学に取り入れられるようになったのは90年代。徐々に増えてきた。それを平和学が盛んになったと喜ぶ人がいるが,そうとも言えないのではないか。戦後,国際政治学の中で平和が取り扱われていたように,多くの大学の営みに平和の価値志向性が共有されていた。逆に現在は,「平和学」だと旗を立てなければいけなくなっているということ。平和学とは平和を志向する,平和価値を増進するための学問。そういう意味で本学の国際平和研究所には様々な学域の人が所属しており,平和を名乗っていなくても実質的に平和研究であるものが多数ある。学問は本来人間を謙虚にするもの。ここまでしか解っていないということを認めることであり,あらゆる傲慢,偏見と戦うことでもある。学問をすることが平和につながるのだと学生に話している。

 

(教材「何日生きられたか」)

ドイツ作家の「何日生きられたか」という童話を使って,「考える」ということについて考えてみる。平和や社会について考えようとする人が実は少ないのはなぜか,と学生に問いかける。社会への認識・関心を持つには3つの条件が必要。1つ目は社会に問題(争い)があること,2つ目は問題を問題として認識すること,3つ目は問題解決を欲し続けること。3つの条件を揃えるのは簡単でない。問題意識を持つことは難しい。また問題を認識していても,どうしようもできないとあきらめるのが現代の特徴だろう。情報化が進む中で,あきらめ・無関心は背負いきれない問題への防衛反応でもある。

現代ではどういう生き方が誠実と言えるのか。生きる姿勢の問題,人間間の信頼の問題でもある。メッセージを持って人に働きかけることができる人間同志の社会,仲間を作っていけるといいのではないか。学生が自由に語れるような場所や条件を整えてあげることがまずは重要である。

 

(協同の体験)

学生に,一緒に何かをやる体験をさせてあげることが極めて重要だと考える。協同することで生まれる価値があることを学生時代に体験してほしい。そのための校外実習・フィールドトリップを行う。広島へのフィールドトリップを通して留学生と友達になることが大事。友達を作る上では共感できる力を育むことが大事。

 

(広島・長崎)

学生と(平和について)話す上で,広島・長崎はとても重要なところ。特に首都圏では,3.11(東日本大震災)以降,本当に自分たちが勉強しなければならないことは何かを考える学生が増えてきている。その中に広島・長崎の思想継承も入ってくるだろう。近年中国・韓国との関係が変わってきている。そういう時代に広島・長崎からの発信がまた意味をもってくるのではないか。

※文責:平和推進プロジェクト・チーム

講演レジュメ

 

講演の様子

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