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国際平和拠点ひろしま

NPT2019知事の米国訪問の結果について(2019年4月)

1 全体概要

国連本部で開催のNPT(核兵器不拡散条約)運用検討会議第3回準備委員会に参加し,シンポジウムの開催や個別の意見交換等を通じて,本県の平和の取組の発信や核軍縮の進展に向けた働きかけ等を行いました。
また,世界的な研究機関や財団等に本県の平和に関する取組を発信するとともに,連携強化を図りました。

【訪問日時】 平成31年4月25日(木)~令和元年5月3日(金)
【訪問場所】 ニューヨーク,ワシントン(米国)
 

(1)国連事務総長との意見交換
(2)NPT運用検討会議第3回準備委員会への参加
  ア 県主催シンポジウムの開催
  イ 2020年NPT運用検討会議議長候補(在ウィーン国際機関アルゼンチン大使)との意見交換
  ウ 国連軍縮担当上級代表との意見交換
  エ 米国軍縮大使との意見交換
  オ 本県の平和の取組を紹介するパネル展示・「ひろしまレポート」の配付
(3)国際NGOとの連携強化
 ○ 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)との覚書締結
(4)研究機関等との意見交換
  ア 県連携協定締結研究機関との協議
  イ ラウンドテーブルの開催(モーリーン&マイク・マンスフィールド財団主催)
  ウ 核脅威イニシアティブ(NTI)との意見交換
  エ 戦略問題国際研究所(CSIS)副理事長,上級顧問との意見交換
  オ カーネギー国際平和財団副理事長との意見交換

 

2 主な内容

(1) 国連事務総長との意見交換【4月29日(月)】

グテーレス国連事務総長 

アントニオ・グテーレス国連事務総長に対し,知事から昨年の被爆地訪問に対するお礼を述べるとともに,2020年の国際平和のための世界経済人会議への参加を依頼しました。

事務総長からは,核軍縮,核廃絶に対して強い思いを持っており,広島訪問を前向きに検討することを表明いただきました。また,ビジネスにおいても平和に関わる人を拡大することの重要性を共有しました。

 

(2) NPT運用検討会議第3回準備委員会への参加

ア 県主催シンポジウムの開催【4月29日(月)】

 「核軍縮を運用可能にする」をテーマとし,政府代表者,国連機関・NGO関係者等を対象にシンポジウムを開催しました。

 

○ 冒頭,知事から,核兵器の問題を自分事とし,核兵器廃絶をユニバーサルな価値として広め,賛同者を増やしていく必要性があることを訴えました。また,「核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミー」等平和に関する取組を発信しました。

 

○ その後,県と連携協定を締結している王立国際問題研究所(チャタムハウス),ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が報告しました。

 

〈チャタムハウス〉
・ 核抑止は安全保障に深く根ざす概念であり,合理的な意思決定者としての国家を想定しているが,最新科学により,人間はそうした存在でないことが明らかになっている。


・ 拡大核抑止への信頼低下により,地域安全保障に意図しない危険性が出てきている一方で,新技術の台頭により,軍事情報を完全に把握することは困難になっている。


・ 小型核の登場に見られるように,通常兵器と核兵器の境界は曖昧になっている。

 

〈SIPRI)
・ 核兵器禁止条約(TPNW)の発効の見通しが高まっている中で,各国は運用可能な核軍縮検証の構築に真摯に向き合う必要がある。


・ 90年代以降に形成された検証体制(イニシアティブ)での教訓やIAEAの経験がTPNWで目指す包括的核軍縮体制に大いに貢献するだろう。

 

○ これに対する国連軍縮研究所(UNIDIR),核脅威イニシアティブ(NTI)のコメントは次のとおりです。

 

UNIDIR:SIPRIの研究では,政治的課題と技術的課題を併せて分析し,解決に向けたステップを示そうとしている点が評価できる。サイバー,AI等の新技術の台頭が不安定化をもたらす可能性を多くの研究者等が懸念している。

 

NTI:運用可能な検証作業は核軍縮において重要な要素である。また,通常兵器と核兵器の使用に関する境界が曖昧になってきている現状がある。そのため,核兵器に頼らない安全保障政策を再考すべきである。

 

シンポジウム シンポジウム

冒頭挨拶:湯崎知事
パネラー:チャタムハウス パトリシア・ルイス研究部長,SIPRI ティティ・エラスト研究員,UNIDIR ジョン・ボリー研究部長,NTI リン・ルステン副会長
モデレーター:一橋大学 秋山信将国際・公共政策大学院長

イ 2020年NPT運用検討会議議長候補との意見交換【4月29日(月)】

 

グロッシ大使

グロッシ議長候補に対し,ひろしまラウンドテーブル議長声明,ひろしまレポートを手交し,本県の提案の実現を働きかけました。

議長候補からは,2020年NPT運用検討会議に向けた意気込みや広島県が進める「国際平和のための世界経済人会議」等の取組に対する期待が表されました。

ウ 国連軍縮担当上級代表との意見交換【4月30日(火)】

 

中満上級代表

 中満上級代表に対し,ひろしまレポートや国際平和のための世界経済人会議への協力についてお礼を述べるとともに,核軍縮に関する次世代教育の重要性や今年度本県が始めた「核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミー」の発信協力を依頼し,了解を得ました。また,国連が新たに始めようとしている次世代人材育成プログラム等について意見交換を行いました。

エ 米国軍縮大使との意見交換【4月29日(月)】

 

ウッド大使 ウッド大使に対し,ひろしまラウンドテーブル議長声明,ひろしまレポート,チャタムハウス・SIPRIのレポートを手交し,本県の提案の実現を働きかけました。

 大使と,2018年来,NPT運用検討会議準備委員会において米国が提唱している「核軍縮のための環境作り(CEND)」イニシアティブを含めた米国の核軍縮に向けた取組等について意見交換を行いました。

 

オ 本県の平和の取組を紹介するパネル展示・「ひろしまレポート」の配付

 

パネル展示

国際平和拠点ひろしま構想及びひろしまレポートの紹介パネルを国連内に展示するとともに,政府・研究機関・NGO関係者にレポートを配付し,本県の平和の取組を発信しました。

 

(3) 国際NGOとの連携強化

○ 核兵器国際キャンペーン(ICAN)との覚書締結【4月29日(月)】

 

ICAN

核兵器廃絶に向けた次世代人材育成分野での連携に関する覚書を締結し,本年度から開始した「核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミー」をはじめ,国際平和に具体的に貢献できるグロ-バル・リ-ダ-の養成を両者が協力して実施していく旨を確認しました。
 また,核兵器廃絶に向けた国際機運の向上のための方策等について意見交換を行いました。

(4) 研究機関等との意見交換

ア 県連携協定締結研究機関との協議【4月30日(火)】

 

ネットワーク会議 県の連携協定先である,チャタムハウス,SIPRI,UNIDIRと意見交換を行い,核抑止論を打破していくため,どういった研究が必要か,またそれを国際社会へどのように働きかけていくべきか等について意見交換を行いました。

イ ラウンドテーブルの開催(モーリーン&マイク・マンスフィールド財団主催)【5月1日(水)】

「軍備管理と核軍縮への取組」をテーマとし,政府代表者,研究者,NGO関係者等を対象にしたラウンドテーブルを開催しました。
○ 冒頭,知事から核兵器廃絶の具体的なプロセスの進展に向けた本県の取組としてひろしまレポートや研究機関への共同研究成果などについて発信しました。
○ 秋山信将一橋大学国際・公共政策大学院長から,ひろしまレポート2019を基に各国の核軍縮・核不拡散・核セキュリティの状況を説明し,各国の取組等について意見交換しました。
○ また,次のテーマについて意見交換が行われました。


ラウンドテーブル

・核抑止が前提としている仮定の合理性やこれに依存することの妥当性について
・各国核政策立案者の世代交代や核抑止に代わる平和のメカニズム構築について
・イランや北朝鮮といった国々が規範に従うことによりメリットを感じられ,関係各国が平和の恩恵を感じられる仕組みづくりについて

 

ウ 核脅威イニシアティブ(NTI)との意見交換【4月30日(火)】

 NTIとの意見交換会に参加し,100名近い米国政府関係者,研究者等に対し,核兵器を巡る国際情勢の悪化や人間の合理性,新技術の台頭に対する懸念を訴えるとともに,広島訪問を呼びかけました。
 また,「核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミー」や「国際平和のための世界経済人会議」,核抑止論を乗り越えていくための共同研究等について発信しました。

 

エ 戦略問題国際研究所(CSIS)副理事長,上級顧問との意見交換【4月26 日(金)】

 グリーン副理事長,ブルックリン上級顧問に対し,ひろしまラウンドテーブル議長声明,ひろしまレポート等を手交し,本県の提案の実現を働きかけました。また,米国の外交や内政,核抑止論について意見交換を行いました。

オ カーネギー国際平和財団副理事長との意見交換【5月1日(水)】

 

パーコビッチ副理事長パーコビッチ副理事長に対し,ひろしまラウンドテーブル議長声明,ひろしまレポート,SIPRI・チャタムハウスのレポートを手交し,本県の提案の実現を働きかけました。また,米ロ,米中などの二国間や多国間の動き,核抑止論について意見交換を行いました。

 

3 成果

【国連事務総長の広島訪問】

○ 国連事務総長の広島訪問を依頼し,被爆地の思いを前向きに受け止めていただきました。

 

【発信力の強化】

○ NPT運用検討会議第3回準備委員会サイドイベントとして,本県が主催したシンポジウムには,約100名の政府関係者やNGO等の参加を得て,広島からの具体的な核軍縮に向けた取組を発信する,大変良い機会となりました。
 また,核軍縮を巡る国際情勢や新技術の台頭,人間の判断の合理性に対する懸念等を参加者と共有し,核抑止論への疑義や核軍縮を具体的に進めていくための方策について,多くの関係者と課題認識を共有するとともに,本県の果たす使命と役割への期待の大きさを確認することができました。

 

○ モーリーン&マイク・マンスフィールド財団主催のラウンドテーブルでは,ひろしまレポートの有用性を発信しました。

 

○ また,2020年NPT運用検討会議議長候補や米国軍縮大使に対し,ひろしまラウンドテーブル議長声明等本県の提案の実現に向けた働きかけを行い,被爆地の思いを,真摯に受けとめていただきました。

 

【研究機能の強化】

○ 本県主催シンポジウムを通して,チャタムハウス,SIPRIとの共同研究について,関係者から核抑止論の課題や核軍縮を実質的に進めるためのステップの進展につながる方策について賛同を得るなど,核軍縮に向けて,広島からの政策提案による具体的な貢献を確認しました。

 

【人材育成の充実】

○ 核兵器廃絶に向けて,国際平和貢献人材の育成を目的にICANと覚書を締結しました。また,国連関係者やNTIなどと人材育成の重要性について意見交換を行い,今後,連携した取組の実施に向けて協議を進めることとしました。

 

【まとめ】

○ 今回の訪米で様々な関係者と核抑止論への疑義を共有したことから,今後,これを乗り越えるための政策について検討を進め,また,核兵器廃絶をユニバーサルな価値として広め賛同者を増やしていくことにより,核兵器のない平和な世界の実現に具体的に貢献していきたいです。

 

4 日程 平成31年4月25日(木)~令和元年5月3日(金)

月 日

時 間
(現地時間)

項目 場所
4/25(木) (移動)
4/26(金) 14:00~15:00 戦略問題研究所(CSIS)副理事長との意見交換 ワシントン
16:00~17:00 戦略問題研究所(CSIS)上級顧問との意見交換
4/27(土)   (移動) ニューヨーク
4/28(日)   ニューヨーク滞在 ニューヨーク
4/29(月)   本会議傍聴 ニューヨーク
11:30~11:45 国連事務総長との意見交換
12:00~12:30 ICANとの覚書締結
13:15~14:00 県主催シンポジウムの開催
15:30~16:30 米国軍縮大使との意見交換
17:00~17:30 2020年NPT運用検討会議議長候補との意見交換
4/30(火) 10:00~10:50 連携協定締結先研究機関との協議 ニューヨーク
11:00~11:30 国連軍縮担当上級代表との意見交換
11:45~12:00 国連日本政府代表部大使との意見交換
  (移動)
18:00~21:00 NTI取締役との意見交換
5/1(水) 10:30~11:30 カーネギー国際平和財団副理事長との意見交換 ワシントン
15:00~17:00 モーリーン&マイク・マンスフィールド財団でのラウンドテーブル
5/2(木)   (移動) ワシントン
5/3(金)   帰国  

※日付表示は現地時間
※組織名称は一部略称使用

このページに関するお問い合わせ先

平和推進プロジェクト・チーム

住所:〒730-8511 広島県広島市中区基町10-52(県庁本館3階)

Tel:082-513-2366

Fax:082-228-1614

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