要請書(日本語)
(仮訳)
先日,核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の延期が発表されました。新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の状況に鑑みると,今回のNPT運用検討会議の延期決定は,やむを得ない判断であると考えます。しかし,核兵器を巡って危機的な状況にある中,核軍縮の履行を求めるための最も重要な多国間交渉プロセスである会議が延期されることは残念でなりません。また,今年は被爆75周年をむかえ,1日でも早い核兵器廃絶を願う被爆者の思いを届ける機会が延期されたという観点からも非常に残念に思っています。
貴職においては,会議の再開に向けて,締約国間での議論を真摯に継続し,核軍縮に向けた具体的な成果が得られるよう努力を続けていただきたいと考えております。
本県としましても,引き続き,核抑止に頼らない新たな安全保障アプローチに基づく政策提言の取りまとめや平和の取組への賛同者の拡大など,核兵器のない平和な世界の実現に向けて取り組んで参りたいと考えています。
あわせて本県の平和推進関係資料を同封しますのでご一読ください。ご意見・ご感想をいただけますと幸いです。
人類史上最初の核兵器である原子爆弾が広島に投下されて75年。灼熱の閃光と爆風により街は一瞬にして壊滅し,多くの尊い命が奪われました。新型コロナウイルスの感染拡大が一刻も早く終息し,核軍縮に向けたプロセスができるだけ早期に再開されることを願うと同時に75年経った今もなお,原爆による被害に苦しめられ続けている被爆者の核兵器廃絶への願いが1日でも早く実現するために貴職のお力添えをよろしくお願いいたします。
最後になりましたが,貴職のこれからのご活躍とご健勝を祈念するとともに,ぜひ,被爆地広島に訪問していただき,被爆の実相について理解を深めていただくとともに,核兵器のない平和な国際社会の実現に向けて新たな一歩を踏み出していただくことを期待しています。
敬具
広島県知事 湯﨑英彦
同封資料
- ひろしまレポート2020
今年で8回目をむかえ,36か国におよぶ対象国の核軍縮,核不拡散,核セキュリティに向けた2019年の取組の状況を調査・分析・評価し,レポートにとりまとめました。広島県は,各分野における取組状況を広く示すことで,国際社会における核兵器廃絶プロセスを着実に前に進めるための機運醸成を図っています。
https://hiroshimaforpeace.com/en/hiroshimareport/report-2020/
- “Toward more responsible nuclear policy: Addressing concerns about lowering threshold of nuclear weapons use” by Stockholm International Peace Research Institute (SIPRI)
核兵器国による核兵器使用の閾値が低下し,懸念が増大するなか,その対処法について,宣言的政策の再保証や対話を通じた不透明性の削減など5つの提案がなされた。
- “Perspectives on Nuclear Deterrence in the 21st Century” by Chatham House
https://www.chathamhouse.org/publication/perspectives-nuclear-deterrence-21st-century
冷戦期をルーツとする核抑止論が21世紀におけるすべての事態に当てはまるとは限らない。王立国際問題研究所(チャタムハウス)の研究員は,8人の専門家と連携し,抑止力に関する現在の政策立案において4つのテーマを調査した。
- 「ひろしまラウンドテーブル」議長声明・緊急アピール
元豪州外相や元国連事務次長,ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)や英国王立国際問題研究所(チャタムハウス)等の核軍縮・国際関係の専門家・実務家が広島に集い,核兵器のない世界の実現に向けてとりまとめた議長声明及び核兵器を巡る厳しい国際情勢を受けて喫緊に取り組むべき課題として採択した緊急アピール
https://hiroshimaforpeace.com/en/roundtable2019-result/