インターネットを活用し,時間や場所を問わず,被爆の実相や核をめぐる国際動向を学ぶことのできるオンライン講座「広島から平和を考える」を開講し,受講者を募集しています。この講座により,広島県内だけでなく県外においても,平和について自ら考え,発信できる人材の育成を図ります。この講座は,IT環境があれば,全国誰でも,無料で受講できます。
受講方法
YouTubeにて受講可能です。講義資料も次のページからダウンロード可能です。
受講者の感想
●平和構築や国際協力の実務者(アジア開発銀行等)
●原子爆弾が爆発し、目の前の10本の指が見えなくなった・・・というくだりで、自衛隊を経験している私は、血の気が引きました。爆薬が爆発したときに、本当にそうなるからです。
●見てるだけで言葉になりません。 ただ、この講座を日本人ならば当然のこと、すべての段階の学生が共有すべきことだろうと思います。 そして、戦争に関わった国も当然学ぶべき、Mustの教育だろうと思います。
●広島・長崎の惨禍を繰り返さないために、世界は何をすべきか。未来にどのような提言をしていくべきか。自分の事として考える機会になります。
●森さんのお話をお聞きして、大切な家族や友人を死に追いやった国の捕虜の家族を探し出すという行為は言葉では表せないくらい、とても苦しく大変なことだったと思います。 敵国だからと、差別しないで、人として接し、活動された森さんはとても素晴らしいと思います。
●核兵器禁止条約が採択されるまでの歴史的流れをつかむことができました。
●規範的アプローチと段階的アプローチ(核兵器の段階的削減の外交的アプローチ)は矛盾しないという考えに感銘を受けた。
●はっきりと答えが示せない難しい問題に関して多角的な視点で考える機会が持てたことをありがたく思いました。
●原爆投下以降の核兵器に関する流れについて、時系列でまたそれぞれの国の背景をもとに理解ができました。このように核兵器を中心にして学ぶ機会はなかったので、非常に勉強になりました。
●被爆者の方、各先生方それぞれのお話に大変重みがありました。
●明快な答えが簡単には見つからなくとも、様々な方向から、常に考え続けることの大切さを教えていただきました。
●核兵器の廃絶がいかに困難なことか、深く考えさせられた。
●これまでの核兵器削減、禁止に向けた世界の取組みが体系的に整理されて学ぶ機会を得ました。
講師・対談者紹介
講師 藤原 帰一 氏
東京大学大学院法学政治学研究科教授。専門は国際政治学。東京大学法学部卒業、同大学大学院博士課程単位取得退学。広島県の「国際平和拠点ひろしま構想」(2012年~)策定委員会委員であり、その一環として開始された「ひろしまラウンドテーブル」の議長を務める。『戦争を記憶する:広島・ホロコーストと現在』(講談社現代新書、2001年)、『平和のリアリズム』(岩波書店、2004年、石橋湛山賞受賞)など多数の著書がある。
(写真©K. Yamashita)
【対談者(第1回)】
坪井 直 氏
日本原水爆被害者団体協議会代表委員、広島県原爆被害者団体協議会理事長。爆心地から約1Kmの地点で被爆したが生き延びた。1986年には中学校長を退職し、その後、被爆者援護・核兵器廃絶運動や被爆体験証言等を重ねて現職。2011年に第23回谷本清平和賞を受賞。2018年に広島市名誉市民。2016年のバラク・オバマ米国大統領(当時)広島訪問において被爆者代表として面談した。
※坪井直氏は、令和3年10月24日にご逝去されました。坪井氏のご冥福を心からお祈りします。
森 重昭 氏
歴史家。中央大学卒業。原爆投下時は爆心地から約2.5km地点の広島市己斐で被爆。約40年間にわたり、広島で被爆死した米兵捕虜について調査。「原爆で死んだ米兵秘史」の著者。訳書として「爆撃機ロンサムレディー号 被爆死したアメリカ兵 トーマス・カートライト著 森重昭訳」がある。2016年に第64回菊池寛賞を受賞。バラク・オバマ米国大統領(当時)の広島訪問において被爆者代表として面談した
【対談者(第2回)】
スコット・セーガン 氏
ハーバード大学でPh.D.を取得。ハーバード大学講師などを経て現職。
【対談者(第3回)】
講座要旨
原爆投下という歴史的経験を背景に、核兵器廃絶、さらにはより広い視座から平和を考える拠点となった広島から、核と平和をめぐる国際政治について考える。
第1回 「広島:廃墟からのスタート」
広島を「広島」たらしめたのは、1945年8月の人類史上初の原爆投下であった。その被爆の惨禍が国内に広く認知された契機は1954年の第五福竜丸事件である。原水爆禁止運動は国内、さらには世界で急速に高まりをみせ、広島はその中心としてシンボル化していった。核兵器廃絶および平和を考える出発点としての被爆の経験・実相を振り返るとともに、核廃絶への希求の中心的存在として広島が存在する意味を、核兵器の登場が国際政治・安全保障問題にもたらした影響や変動とともに、第二次世界大戦末期から冷戦初期の時期の動向に沿って考える。
第2回 「理想と現実:核をめぐる冷戦期・冷戦終結直後の国際政治」
冷戦期には米ソ核軍拡競争が激化し、これと並行して核兵器の拡散も進行した。他方で、そうした冷戦下の核の脅威は、米ソ核軍備管理、核不拡散体制、あるいは欧州などでの核廃絶運動を生み出していく。米ソあわせて最大6万発もの核兵器を保有して対峙した冷戦が終焉を迎えた時、世界は核軍縮の進展に期待を高めた。そして実際、米露(ソ)による大幅な核兵器削減、核廃絶決議の採択、NPTの無期限延長、CTBTの成立といった一定の成果はあった。だがその背後では、核を取り巻く国際情勢の複雑化が始まっていた。核廃絶への希求と核をめぐる国際政治の現実について、冷戦からその終結直後までの動向を考える。
第3回 「複雑化する国際情勢:核をめぐる新たな脅威と現代的課題」
オバマ大統領によるプラハ演説は「核兵器のない世界」の機運を一気に高めたが、核軍縮・不拡散を巡る動向は、そうした期待を大きく裏切るものであった。国際システムの変動、安全保障環境の複雑化と軌を一にして、核の脅威は多様化し、核保有国などは核抑止の重要性を再認識しはじめた。一方で、核軍縮の進展しない状況に対する強い不満は、核問題の「脇役」とみなされてきた非核兵器国や市民社会の主導によって核兵器禁止条約の策定へと収斂していく。核をめぐり二分化する国際情勢のなかで、広島、日本、世界はこれから、核兵器の問題にどのように向き合っていけばよいのかを考える。
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