○ 主なプログラム
・フィリピン・サイエンス高校訪問
・グループディスカッション、プレゼンテーション
1月7日(日)受講生はフィリピン・サイエンス高校を訪問し、交流の集大成として現地の高校生とのグループディスカッション、プレゼンテーションに臨みました。
ディスカッションでは、4つのグループに分かれ、気候変動や国際平和などの地球規模課題や、それぞれの国の政治、選挙制度などについて活発な意見交換が行われました。
ディスカッション後の発表では、以下の概要のとおり各グループによるプレゼンテーションが行われました。
Aグループ:貧困格差
- 日本の貧困率は2012年の約16%をピークに下がりつつあるが、フィリピンでは人口の約18%が貧困といわれており依然として貧困が国の大きな問題になっている。
- 双方の国において、貧困層が雇用機会や教育などを十分に受けられず、富裕層との格差が広がるばかりで問題の解決が困難になっている。
- 気候変動が引き起こす自然災害が双方の国で貧困の大きな原因になっている。
- 富裕層への課税額を大きくすることや、教育改革や法改正への署名を実施するなどの取組を通じて貧困格差を是正するべきである。
Bグループ:自然災害と原子力エネルギーからの脱却
- 日本、フィリピンは共に地震や台風などが頻発し、災害大国といわれている。
- フィリピンでは2013年に発生した台風ヨランダの影響で、大規模な洪水が起こり約6000人もの人々の命が犠牲になった。
- 日本では、2011年に発生した東日本大震災により約20000人の人々が命を落としたり行方不明になった。また福島第一原子力発電所の汚染水や放射線が漏れ出し、周辺地域が汚染された。
- 双方の国で環境保護のためのエネルギー開発が行われ、現在では原子力発電が主流になっている。
- 原子力発電は、二酸化炭素の排出を抑えることがでるなど多くの利点がある一方で、災害などで発電所が破壊されると、放射線が大気に放出され、環境や生物に悪影響を与える危険があるため、より安全で環境に優しいエネルギーを模索する必要がある。
Cグループ:選挙・政治
- フィリピンではかつて約20年にわたりフェルディナンド・マルコス大統領による独裁政治が行われ、政治体制下では、政府のお金が不正に使われたり、対抗勢力の暗殺などが行われていた。
- 日本ではかつて、天皇は神と称され、最大の権力者とされていたが、実質的には実行力のある軍部が大きな力を持っていた。
- 2022年、かつて実権を握っていたマルコス大統領の息子が大統領に就任したが、国の発展に不必要な施策が行われるなど、国の状況はほとんど改善されなかった。
- 日本でも政治家の汚職などにより国民の政府への信頼が薄れている。また大幅な増税が国民を苦しめ、政府への不信を助長している。
- 政治は、国の状況や、国の方針を反映する重要なものであり国連の開発目標(SDGs)とも密接に関係している。例えば、悪政を行う国のSDGsの達成率は低い傾向にある。
Dグループ:日本とフィリピンの教育の違い
- 日本、フィリピンの教育制度には学校行事やクラブ活動、教育方針に様々な相違点や類似点がある。
- 双方の学校が抱える問題として、教師の業務量や生徒、教師の精神状態、生徒の家庭の事情などがあげられる。
- 双方の国が抱える問題には、貧困世帯への支援が不十分であることや教師の数が減っていることに対して対策が行われていないことがあげられる。
- 国連の開発目標(SDGs)にも全ての人々に学びの機会を平等に与えることがあげられており教育の重要性は世界的に提唱されている。
発表後は、受講生と現地の生徒がそれぞれ、歌やダンス、ピアノの演奏などを披露しました。
交流の最後に、フィリピン・サイエンス高校から修了証の交付や、記念品の交換、記念撮影が行われ交流は終了し、受講生は生徒との別れを惜しみました。
この度の約3日間の交流は、受講生にとって現地の高校生とお互いの文化や歴史、地球規模課題についての見識などを英語で共有し、議論する大変貴重な機会になりました。
交流の実施にご協力いただいたフィリピン・サイエンス高校の皆様どうもありがとうございました!!