夏休みに読みたい平和を考える絵本
原爆投下から75年以上が経ち、「ヒロシマ」を忘れないこと・語り継ぐことの重要性が今まで以上に高まっています。ここでは、80万冊以上の図書を所蔵する「広島県立図書館」の方に、改めて戦争や原爆の悲惨さを知り、平和の尊さを考えるきっかけとなる、おすすめの絵本5作品を教えていただきました。
①まちんと
もうすぐ3歳になる女の子が、原爆で命を落としました。苦しみながら、お母さんが口に入れてくれたトマトを「まちんと まちんと(もうちょっと)」と、ねだりながら……。
作者の松谷みよ子さんが、小さな子から「わたしたちにもわかる戦争の本ないの?」と聞かれたことが、この作品が生まれるきっかけとなったそうです。
初版は1978年に出版され、今も読みつがれている絵本です。
タイトル | まちんと |
著 者 | 文/松谷 みよ子 絵/司 修(つかさ おさむ) |
出 版 社 | 偕成社 |
出 版 年 | 1983年 |
価 格 | 1320円(税込) |
対 象 | 幼児 |
②パンフルートになった木
広島市立千田小学校にある、被爆樹木・カイヅカイブキの実話をモデルにした絵本です。原爆によって黒焦げになりましたが、再び葉を付けるようになり、被爆後70年以上も、校庭で子どもたちの成長を見守ってきました。
月日が流れ、この木が枯れてしまったとき、何とか子どもたちに受け継いでいきたいと作られたのが、“パンフルート”という楽器です。
淡い色で描かれた絵からは、パンフルートの優しい音色が聞こえてきそうです。
タイトル | パンフルートになった木 |
著者 | 文/巣山 ひろみ 絵/こがしわ かおり |
出版社 | 少年写真新聞社 |
出版年 | 2020年 |
価格 | 1540円(税込) |
対象年齢 | 小学校低学年 |
③さがしています
茶色の朽ちかけた革靴は、トシユキくんが「いってきます」と言ってくれるのを待っています。でも、体中に大やけどを負って家に帰ってきたトシユキくんが出かけることは、二度とありませんでした……。
8時15分で止まった時計、黒焦げのお弁当箱など、広島平和記念資料館の地下収蔵庫にある2万点以上の中から選ばれた14点の「もの」が、帰らぬ持ち主たちを「さがして」います。そして、昭和20年8月6日に広島で起きたできごとを、静かに語っていく写真絵本です。
タイトル | さがしています |
著者 | 作/アーサー・ビナード 写真/岡倉 禎志 |
出版社 | 童心社 |
出版年 | 2012年 |
価格 | 1430円(税込) |
対象年齢 | 小学校中学年 |
④ヒロシマ 消えたかぞく
原爆投下前の広島には、戦争中でも、笑顔あふれる人々の暮らしがありました。ネコを背負って微笑む女の子の表紙は、見る人を惹きつける愛くるしい表情をしています。この写真を撮ったのは、カメラ好きのお父さん。アルバム風に構成された写真絵本からは、6人家族の穏やかで楽しい暮らしぶりが生き生きと伝わってきます。
しかし、8月6日の原爆によって、この一家は突然、全員、命を絶たれてしまったのでした……。
タイトル | ヒロシマ 消えたかぞく |
著者 | 著/指田 和 写真/鈴木 六郎 |
出版社 | ポプラ社 |
出版年 | 2019年 |
価格 | 1815円(税込) |
対象年齢 | 小学校中学年以上 |
⑤絵で読む 広島の原爆
「ズッコケ三人組」シリーズの作者・那須正幹さんは、3歳のときに被爆しました。その那須さんが、戦前の町の様子と原爆による被害の状況から復興までを、生存者の証言をもとに克明につづっています。
絵は、画家の西村繁男さんが取材を重ね「当時の姿になるべく近い形に再現」しています。
核爆発の原理や原爆投下に至るまでの歴史的背景等も書かれており、「広島の原爆の全体像」について知ることができる本です。
タイトル | 絵で読む 広島の原爆 |
著者 | 文/那須 正幹 絵/西村 繁男 |
出版社 | 福音館書店 |
出版年 | 1995年 |
価格 | 2860円(税込) |
対象年齢 | 小学校高学年 |
広島県立図書館
電話:082-241-2299
住所:広島県広島市中区千田町三丁目7番47号(広島県情報プラザ内)
時間:火~金曜 9:30~19:00
土・日曜 9:30~17:00
休み:月曜
国民の祝日に関する法律に規定する休日(11月3日を除く)
年末年始(12月28日~1月4日)
※その他の休みはHPでご確認ください。
HP: https://www2.hplibra.pref.hiroshima.jp
この記事に関連付けられているタグ