バスケットボールを通して 広島から世界に発信 ~広島ドラゴンフライズ~
広島を拠点に活動するプロバスケットボールチーム「広島ドラゴンフライズ」。クラブは“広島らしさ”にこだわった運営を行い、平和に関する活動も積極的に展開している。スポーツと平和の関係性について、社長の浦 伸嘉(うら・のぶよし)さんに話をうかがった。
プロバスケットボールチーム
広島ドラゴンフライズ
2013年に設立して今年で8年目になります。宮島の鳥居の朱色と海の青色をトレードカラーに、日本でも宮島だけに生息する「ミヤジマトンボ」からチーム名を付けました。私が代表取締役社長になって5年になりますが、下部の「B2リーグ」からスタートし、昨年初めてトップカテゴリーである「B1リーグ」に昇格して、いま戦っています。
クラブから世界へ発信する
広島らしさとは
バスケは日本ではまだ認知度が低いですが、全世界ではナンバーワンの競技人口を誇るほどのメジャーなスポーツです。その中で、広島は世界の誰もが知ってる街。私たちは将来的に世界に向けて“Hiroshimaのクラブ”であることをアピールするため、広島のヒストリーを背負って戦っていきたいと考えています。
さらにバスケには“ハイファイブ”といって、ミスしようがうまくいこうが、どんな時でもチームメイトとハイタッチでコミュニケーションをする習慣があります。私たちはそういった相手をリスペクトするバスケットボールの文化と、平和を希求する広島らしさを大事にし「平和があるからこそスポーツができる」ということを使命感を持って訴えていくつもりです。
広島のクラブだからこその
使命とその役割
私たちがもっとも力を入れているのが、ホームチームとアウェイチームから各1人ずつ、試合でもっともフェアプレイに徹した選手を表彰する「おりづる賞」です。さらに試合を終え相手チームが退場するときには、ホームの選手やスタッフが拍手で送り出す時間を作っています。それは相手チームに対する、広島らしいリスペクトの表現。おりづる賞も含め、今後こういう取り組みをBリーグの他のチームにも波及させていきたいです。
私たちはクラブ理念として「GRIT for the moment――その一瞬を、その瞬間を、あきらめない――」を掲げています。GRITとは「あきらめない」「やり抜く力」という意味。広島は戦後、粘り強さによってここまでの復興を遂げました。そのDNAは私たちにも脈々と息づいていて、クラブとしてもその精神を表現したいと思っています。たとえば相手チームから「広島は粘り強い」と思われたり、絶対屈しないプレイスタイルを備えていたり。そこを追求することが、広島の人からの共感につながると思っています。
地域と関わることの重要性と
これからの構想
まずSDGsも含む社会貢献活動で、Bリーグでナンバーワンを目指します。コロナ禍になって、私たちはスポーツがみなさんの日々の活力になりうること、同時に私たちが地域の方々に支えられていることを知りました。地域に根差すためには、地域の方々に信用してもらわなければなりません。そのためにすべての人に誠意をもって接し、ファンであることを誇れるクラブになることを誓います。
また、いま推進している新アリーナの建設計画(※)は広島のアイコンになれる可能性があります。新アリーナによって、インバウンドも生じ、街を活性化することもできます。アリーナを拠点に“世界の中の広島”をアピールしていくことが私たちの夢です。
浦伸嘉(うら・のぶよし)
広島県出身。新潟アルビレックスBB、福岡BBボーイズでプロバスケットボール選手としてプレーした後、2016年に広島ドラゴンフライズの代表取締役社長に就任。2020年に悲願のB1昇格を果たす。
広島ドラゴンフライズ
2013年に創設され、広島サンプラザホール(広島市西区)をホームアリーナとするプロバスケットボールチーム。現在、トップリーグであるB1リーグ(西地区)で、熱闘を繰り広げている。
広島ドラゴンフライズ:https://hiroshimadragonflies.com/
B.LEAGUE:https://www.bleague.jp/
(※)新アリーナの建設計画
広島から世界をリードするアリーナビジネスモデルを追求し、バスケットボールのためだけではない、広島の新たなアイコン(象徴)となるものを創造する計画。広島らしさを世界に表現できる、アリーナを実現させるため、2020年9月に「新アリーナ準備室」を発足させた。
HP:https://hiroshimadragonflies-arena.com/
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