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国際平和拠点ひろしま

アニメ制作におけるAI技術の導入で業界のDX化に貢献(シナモンAI)

2021年9月に開催された「2021世界平和経済人会議ひろしま」では、「2021年・国際社会のカムバックとより良い復興-パンデミック・差別と格差・自国中心主義の克服のために」をテーマに,経済人たちが議論を行った。参加企業の中から,シナモンAIの取締役会長兼チーフ・サステナブル・デベロップメント・オフィサーの加治慶光氏にお話を伺った。

さまざまなテクノロジーが平和に与えるインパクトはますます大きくなり、「デュアルユース(軍民両用の技術)」の概念は、米国や中国などでAI技術を擁する巨大企業では重要な課題になっています。しかし、日本においては、「デュアルユース」のリスクは認識するものの、それほど大きな課題とはなっていないのが現状でしょう。
当社でも、独自のAI技術を積極的に開発し、さまざまな取り組みをおこなっていますが、主には企業の成長戦略に寄与することをめざしています。
一例として、アニメ制作におけるセル画の着色作業の自動化があげられます。アニメーションは、1秒間に24枚という多数のセル画が必要になります。これまでは技術者が一枚一枚着色していました。これをAIに学習させ、自動化することで、96%の着色精度を実現し、作業時間は約10分の1に、またコストも50%以上の削減することが可能になるのです。
アニメはわが国が世界に誇る文化であり、重要な産業です。これまで海外に発注していたセル画着色作業を国内で産業化できれば、アニメ制作者をさらに高付加価値業務に配置することができるなど、アニメ業界のDX化に大きく貢献できます。日常的に発生する無駄な業務をなくし、人が創造性溢れる仕事に集中できる世界の実現を目指す当社の理念を具現化する取り組みでもあります。

 

 

左:着色前、中央:AIによる着色、右:人間による着色

さまざまなリスクをはらむ個人情報の管理についてルールメイキングが必要

 

近年のビッグデータ社会においてもっとも重視される非構造化データは、当社のもっとも得意とするところです。非構造化データとは、さまざまな文書や企画書、音声や映像など、定形ではないデータのこと。これらをAIにより整理されたデータとして抽出し有用化します。
もともとAIは金融や保険業界との親和性が高く、おもにWeb上で自動的に会話をおこなうユーザー支援プログラム「チャットボット」の開発をはじめ、すでに活用がはじまっています。しかし、ここで問題になるのがパーソナルデータで,大量のデータが他の企業や他国に流出する可能性があるのです。個人情報保護の観点と、AIの有用性とのバランスをどのように図っていくのか、しっかりとルールメイキングしていくことが重要だと考えています。
当社では、得意先様の所有するデータを扱うことから、基本的に得意先様のポリシーに準拠して業務を遂行することを徹底しています。今後は、より実践的に高度な議論が進んでいくと期待しています。この領域は、会社というよりも私自身の専門家としての意見ですが、個人情報の利用を本人の了承を得て実施する「オプトイン」という概念でルールメイキングしていくべきであると考えています。

 

新興国の豊かな才能との協働からアプローチする「真の功利主義」

 

当社では、ベトナムなど新興国の豊かな才能を発掘し、育て、協働することによりAIを活用して企業が抱えるさまざまな課題に対するソリューションを提供しています。新興国の特性ゆえ、当社に数年勤め、さまざまな経験を重ねることで自身の市場価値を高め、退職していく人たちもたくさんいます。そういったサイクルを宿命づけられているスタートアップ企業の当社ですが、近年ベトナムでは人気の就職先ランキングに入るほどに、知名度や期待度があがってきています。
マルチステークホルダーによる協業が前提となっている、当社のビジネスモデルこそが、「ひろしまアピール2021」で謳われた「真の功利主義」の実践につながるものではないかと思っています。

 

多様な方々の多様な取り組みに勇気をもらう「世界平和経済人会議ひろしま」

「世界平和経済人会議ひろしま」には継続して当社からも参画させていただいています。平和の実現はビジネスの前提であり、ビジネス活動そのものが平和の実現に貢献するものであるべき、という当会議での視点は大変重要です。当社としましても、セッションでのテーマ「デュアルユース」問題では、AIをはじめとするテクノロジーの軍事利用の徹底的な否定や人権の尊重などに対し強い意志で対応していく考えです。
世界で唯一の被爆国である日本と、その象徴である広島を旗印に平和に向けて歩んでいくことは、歴史的にも大変意義のあることです。当社においても、会議での議論の内容を社内で共有するとともに、SDGsや平和の実現に向けてAIがどう貢献できるか話をする機会も増えてきました。また、会議での他の多くの議論の一つひとつからも、実に多様な参加者それぞれがさまざまな「平和」を思いながら、誰もがそこに向かおうと努めていることに勇気をもらっています。これからもできる限り参加させていただき、「平和」に1ミリでも近づくことに貢献できれば幸いです。








シナモンAI
取締役会長兼チーフ・サステナブル・デベロップメント・オフィサー
加治慶光

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