企業が社会課題を解決する 夢は世界平和と人類の幸福(株式会社LIFULL)
2022年9月に開催された「2022世界平和経済人会議ひろしま」では、「ビジネスによる積極的平和~世界の平和と安定のために~」をテーマに,経済人たちが議論を行った。参加企業の中から,株式会社LIFULLの取り組みについて,代表取締役社長の井上高志氏に話を伺った。
1) 御社の事業内容についてご紹介ください
御社におかれては,オンラインでの不動産情報を提供するビジネスを創出し、アントレプレナーとしてデジタルを活用し、多くの雇用・仕事を生み出してこられました。簡単に、御社の事業内容やこれまでの経緯などについてご紹介ください。
新卒入社した会社での業務において感じた不動産業界の「不」を解消するという想いをもとに、インターネットを活用した不動産情報インフラの構築を目指し、不動産・住宅情報サイトHOME’S(現:LIFULL HOME’S)」を立ち上げ、日本最大級のサイトに育て上げました。
現在は社名の由来である「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージとして掲げ、不動産領域だけでなく、地方創生、介護、引越し、クラウドファンディングサービスなど暮らしに関わるあらゆるサービスをLIFULLグループとして展開し、事業を通して社会課題の解決に取り組んでいます。
2) セッションでの御発言に関連した取組等について
今回ご参加いただいたセッション「世界経済の不安定化の中でイノベーションによる経済成長と雇用を確保するための人材育成について」の中で、御社の具体的取組として、「LIFULL大学」や「新規事業提案制度SWITCH」をご紹介いただきました。こちらについて、具体的な成功事例などを教えてください。
「LIFULL大学」は、社員がスキルを身に着けるためのコーポレートユニバーシティです。80%ぐらいは社内講師で、スキルを身に着けた者が仲間に教えていくという形式です。人事ポリシーとして「内発的動機」を最も重要視し、社員本人がこうなりたいということを後押しすることが最もモチベーションが上がる状態だと定義しています。LIFULLではキャリアデザインシートという自分自身のキャリアを考えるフォーマットがあります。LIFULL大学を通して、いま自分が所属している職種だけではなく、興味や関心のあるスキルを身につけることでキャリアアップや将来のキャリアチェンジを社内的に後押ししています。また社内講師は、自分の経験や知識を体系化して伝えようと学び直しをするので、講師側もスキルの定着やノウハウの構造化ができます。
「SWITCH」(新規事業提案制度)は、社員ならだれでも提案できる制度で、今は年間150件くらい提案があります。LIFULLは、社会課題を事業ビジネスで解決している会社です。これまで提案されてきた事業として、例えば、LIFULL seniorが運営する「LIFULL 介護」は、介護施設を探す際、何をどうやって探したらいいのか非常に混乱している方がたくさんいらっしゃることから、ネットで探せることはもちろん、コールセンターでコンシェルジュサービスも行っています。実際、私の父親のケースでは、持病のケアが得意な病院と24時間体制で連携している施設が、実家から5分程度のところにあると勧めてもらいました。社員は施設の情報だけでなく高齢者特有の持病など、一人ひとりの介護に必要な知識を身につけ、さらにバックアップ体制や医療施設との提携により、お客さまにご満足いただけるサービスを提供できています。
また、現在LIFULL SPACEが運営する「LIFULL トランクルーム」は、住み替えをする際に、一時的にできるだけ近くに荷物を預けたいというニーズに応えたサービスです。これは新卒入社2年目の社員が事業提案し、6ヶ月後には単月黒字化を果たしました。
3) 世界平和と人類の幸福をモットーとされている背景について
会議の中で「人生のビジョンは世界平和と人類の幸福」とのご発言がありました。そのようなビジョンを持つに至った経緯や背景などを教えてください。
32歳の時、ベンチャーの社長をしていたリクルート時代の同期と、お酒を飲みながらお互いの夢やビジョンを語っていた際に、その同期が先に、「夢は世界平和」だと言いました。社是が利他主義で、その最大級とは何かを考えていた時期で、それをかっこいいと思い、人類の幸福というのも付け足して現在に至っています。
これまで、Well-beingの研究を行う公益財団法人 Well-being for Planet Earthや、国連の定めた国際平和デー(ピースデー)を世の中に広めるための活動を行う一般財団法人PEACE DAYを立ち上げています。国際平和デーは9月21日で、この1日だけでも地球上どこにも争いのない状態が作れたら、次は2日間、3日間、1週間、1か月と徐々に伸ばして1年、常に平和の状態というのを、たまたま争いがないではなく能動的、積極的に作って行けると考えています。国際平和デーは、世界中では、20億人近くが認知していますが、日本ではほとんど認知がない状態です。財団法人で、フェスをやったりイベントやったりと啓発活動を進め、イベントだけで、毎年1万人ぐらいが参加しています。このネットワーキングを通して、平和って凄く大事、積極的に自分たちが動いてやらなければいけないと、国内で少なくとも百万人のネットワークで、実際の活動やムーブメントが起こっていくことを目指しています。自分が75歳になるまで(21年後)には、第1次世界平和として、BOP(Base of the Pyramid)の40億人が自立できる社会の実現を、100歳(46年後)までには第2次世界平和として国家間の紛争がない社会の実現を目指しています。
株式会社 LIFULL
代表取締役社長 井上高志氏
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