Q11 広島では,紛争終結地域への支援を行っているか?
広島の平和への取り組みはもともと核軍縮に重点が置かれていたが,広島県は紛争終結地域への復興支援に取り組むための構想をとりまとめた。
●復興支援のための構想
まず平成8(1996)年,被爆50周年を機に,これまでの平和に関する取り組みをさらに発展させ,「平和の創出」という観点から,世界の平和と繁栄に貢献していくための構想として広島県,広島市などにより,「広島国際貢献構想」がとりまとめられた。続いて平成14(2002)年,広島県と総合研究開発機構は,研究報告書『記憶から復興へ―紛争地域における復興支援と自治体の役割』で自治体が復興支援に取り組む意義を理論的に検討。平成15(2003)年には『「ひろしま平和貢献構想」報告書―祈る平和から創り出す平和へ』をまとめた。
さらに平成23(2011)年には核兵器廃絶と復興・平和構築の双方を視野に入れた新たな政策の方向性として「国際平和拠点ひろしま構想」をとりまとめ,紛争終結地域における復興と平和構築の取り組みを進めている。
●構想に基づく活動
これらの構想をふまえ,広島県はJICAと連携し「草の根技術協力事業」の枠組みで平成17(2005)年以降,カンボジアの復興支援に取り組み,県内大学や教育専門家の協力のもと農村部の小学校,小学校教員養成校などを対象に,主に教育分野の人材育成の支援を行っている。また,平成26(2014)年から,県内大学等と連携し,40年以上紛争が続いたフィリピン・ミンダナオ地域の若者を対象にした,地方行政職員候補者の育成支援にも取り組んでいる。
また,NGO,広島大学医学部・歯学部をはじめとした県内大学,医療・保健専門家などが連携した,カンボジアでの保健衛生水準を向上させる活動や,ひろしま・カンボジア市民交流会によるプノンペンでの「カンボジアひろしまハウス」の建設整備などが行われてきた。
このほか県内には,JICA中国や国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所といった機関があり,紛争終結国などからの研修員を受け入れ,国づくりを担う人材育成を行っている。