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国際平和拠点ひろしま

持続可能な開発目標(SDGs)の進捗状況

2020年9月18日にSDGs(持続可能な開発目標)推進のためのハイレベル会合「SDGモーメント」が開催されました。2019年9月に開催されたSDGサミットの成果文書が,SDGs推進の機運を高めるための行事を2030年まで毎年設けることを要請しました。これを受けて毎年9月に「SDGモーメント」が開催されることとなりました。1)

 

SDGモーメントにおいて,スウェーデンを拠点とする非営利団体である「Gapminder(https://www.gapminder.org/)」がSDGsの状況について解説していますので紹介します。

SDGモーメントで発信されたGapmainderの動画(英語)

動画で説明されていたことを,いくつかピックアップして紹介します。

2015年の状況と比較して,SDGsで定められた目標の進捗状況は?

SDGsは17の目標と169のターゲットから構成されており,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。2)

出典:Gapminder, https://gapm.io/SDG_download_slides

17の目標及び169のターゲットの詳細は以下からご確認ください。

https://hiroshimaforpeace.com/sdgs-and-peace/about-sdgs/

Gapminderは,169のうち35のターゲットについて資料3)を基に世界での進捗状況を追跡しました。2015年の状況と比較して2020年は前進しているのでしょうか?それとも後退しているのでしょうか?そして,2030年までの目標達成に向けて十分な進捗があったといえるのでしょうか?

答えは,次の動画をご覧ください。

※Gapminderの資料を基に編集

順調に推移しているのは次の6ターゲットです。

2030 年までに、世界の妊産婦の死亡率を 出生 10 万人当たり 70 人未満に削減する。

すべての国が新生児死亡率を少なくとも出生 1,000 件中 12 件以下まで減らし 、 5 歳以下死亡率を少なくとも出生 1,000 件中 25 件以下まで減らすことを目指し、2030 年までに、新生児 及び 5 歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。

2030 年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。

後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020 年までに普遍的かつ安価なインターネット・アクセスを提供できるよう図る。

2020 年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10 パーセントを保全する。

2017 年までに、後発開発途上国のための技術バンク及び科学技術イノベーション能力構築メカニズムを完全運用させ、情報通信技術( ICT )をはじめとする実現技術の利用を強化する。

 

進捗が遅いものは,次の24ターゲットです。

2030年までに,現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。

5歳未満の子どもの発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど,2030年までにあらゆる形態の栄養不足を解消し,若年女子,妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへ対処を行う。

2030 年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症 及びその他の感染症に対処する。

主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定( TRIPS 協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及び ワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特にすべての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定( TRIPS 協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。

2030 年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。

未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。

公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。

2030 年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。

2030 年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を向ける。

2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。

各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率 7% の成長率を保つ。

2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。

包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030 年までに各国の状況に応じて雇用及びGDP に占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同割合を倍増させる。

2030 年までにイノベーションを促進 させることや 100 万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとするすべての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。

税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。

2030 年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する 。

2030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。

開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発 に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。

水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020 年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制( IUU )漁業 及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。

2020 年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。

あらゆる場所において、すべての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。

特に開発途上国において、暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関するあらゆるレベルでの能力構築のため、国際協力などを通じて関連国家機関を強化する。

先進国は、開発途上国に対するODAをGNI比 0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15~0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメントを含む ODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA 供与国が、少なくとも GNI 比 0.20%の ODA を後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する。

2020 年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。

 

そして,次の5ターゲットについては,後退しています。

2030年までに,飢餓を撲滅し,すべての人々,特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料が十分得られるようにする。

2030 年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。

気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。

自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020 年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。

国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、すべての人々に司法への平等なアクセスを提供する。

各ターゲットは相互に関連している

Gapminderは,各ターゲットは個々で独立しているわけではなく,相互に関連していることを次のように紹介しています。

※Gapminderの資料を基に編集

ターゲット7-1(2030 年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。)は順調に推移しているターゲットとなります。世界の人口は増え続けていますが,エネルギーサービスにアクセスできる人口は人口増加スピード以上に増加しています。エネルギーサービスにアクセスできる人口が増えるということは,貧困層の子供たちも夜にランプをつけることができ,勉強をすることができ進学することができるようになります。そして貧困から脱出する可能性も高くなります。このように,多くのターゲットは相互に関わり合っています。

 

Gapminderの説明により客観的な事実に基づいてSDGsがどのように進捗しているか理解できたのではないでしょうか。また,一つのターゲットを達成するための行動は他のターゲットにも影響していることも理解できました。広島県は,SDGs未来都市の一員として,県内企業のSDGsビジネスの取組の推進や平和の取組を生み出すプラットフォームの構築を行っています。(詳細:https://hiroshimaforpeace.com/sdgs-and-peace/miraitoshi/

 

1)https://www.unic.or.jp/news_press/info/39682/

2)https://hiroshimaforpeace.com/sdgs-and-peace/about-sdgs/

3)http://gapm.io/sdgm

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