SDGs&Business2020 report大学生×環境省×広島県対談について(SDGsビジネスセレクトブックプロジェクト2020)
広島県では,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け,地元企業等によるSDGsビジネスの魅力的な取組をまとめ,広島県内外の方に広く紹介する事例集を作成しています。
今年度は,新型コロナウイルス感染症の影響に鑑み,「Withコロナの社会に向けたSDGsとビジネス~広島における企業等のトランスフォーム~」と題し,制作。
このプロジェクトの一環として,参画した大学生と環境省,広島県が対談しました。
これまでに制作したSDGsビジネスセレクトブックはこちら
実施日時・会場
実施日時:令和2年12月1日(火)15:30~17:00
会場:リコージャパン株式会社広島支社 会議室
※今回の対談にあたっては,リコージャパン株式会社広島支社様が会場・機材を御提供くださいました。厚く御礼申し上げます。
リコージャパン株式会社様は2019年度に制作したSDGsビジネスセレクトブック「未来につなげるSDGsとビジネス2」制作プロジェクトに御参画いただき,取組を御紹介しております。
このように,取組の輪が広がっていることもこのプロジェクトの成果のひとつです。
対談者
大学生:沖本晴香さん,永田みのりさん,宮田菜穂さん
※県内大学に通う本事業の参画学生です。
環境省:中島恵理 様(地球環境局総務課脱炭素化イノベーション研究調査室長)
広島県:下﨑正浩(地域政策局総括官)
内容
プロジェクトに関する学び,気付きとフィードバック
●宮田
自分が広島出身であることもあり,平和が大切だと幼いころから思っている。先日行われた,アイデア意見交換会でも「平和」をテーマにディスカッションした。広島だから伝えられることがたくさんある。平和学習をとおして,自発的に発信していくことが重要だなと思う。
自然災害など,私が生き,暮らす,まだ20年ほどの間だけでも大変な困難がたくさんあった。その中で,声かけなど,横のつながりが本当に大切だと感じている。
●永田
私は,テレビ局と教育に関わる団体を取材した。この2つで共通していたのは,コロナだからこそ,外に広げていこうと取り組んでいたこと。コロナがあるからこそ,調べてみよう,学んでみようという人がいて輪が広がったように思った。
●沖本
私は100年続く和菓子店を取材し,日本の和菓子という古き良き文化を子どもたちに広めたい,広島で必要とされる企業になりたいというお話を聞いた。
人とのつながり,日本の伝統的なもの,人と一緒に過ごす時間を大切にするということが最終的には持続可能な社会を創るうえで重要になるのではないかと思った。
●下﨑
広島は平和の街。SDGsを広島なりに読みかえるとどうなるか,広島でこそSDGsはやるべきだということでこのプロジェクトは立ち上がった。利益を追求する活動の中にも社会課題の解決に繋がっているものもあるということに企業の皆さんにも気づいてもらうため始めた。
取材に行く大学生はもちろん,取材を受ける企業側もSDGsについて学ぶだろうということもあって,我々としては人材育成の一環でもある。
大学生の皆さんにもよく勉強していただいている。広島で学んだことを,今後活躍されるであろう皆さんの将来に活かしていただきたい。
先ほどの話の中にあった,「コロナだからこそ広がった」という部分は,まさしく若い世代に期待すること。様々なツールを使い,国内のみならず,海外の人ともつながりやすい世代の皆さんには,「伝えていく」という役割をぜひ果たしてもらいたい。
●中島
まず,どうやって訪問企業を選んだか,取材してイメージは変わったか。学生の皆さんにお聞きしたい。
●沖本
100年続く和菓子店はどうして100年も続いているのか,そこに持続可能性のヒントがあるのでは,と思った。訪問前は,伝統を重んじてお堅いイメージだったが,お話を伺うと,新しいことにも果敢に挑戦しているイメージに変わった。
また,「人」を大事にしていた。人が財産になって,伝統を守るだけではなく,時代に合わせて変化していくことが必要だと感じた。
●永田
なかなか行ける場所ではないので,単純にテレビ局に行ってみたかったというのが理由。
SDGsはこれから若い世代が推進していかなくてはならないと思っている。
テレビ局が発する情報が流行をもたらし,世の中をリードするのがテレビ局だと思っていたが,取材では世の中に合わせた情報を発信することを目指しているというお話を伺った。その時々にそぐう,そぐわない,それぞれの情報を取捨選択し,いい意味で空気を読んで世の中に必要な情報をもたらすことを目指していた。
●宮田
私はまちづくりに興味があったこともあって,道の駅を取材させていただいた。コロナを機にオンラインショップを始め,世羅町を盛り上げるために取り組まれている。
コロナ禍で,観光業界は大打撃を受けて大変な思いをされた,というマイナスな影響を受けたというイメージがあった。でも,これまでは世羅町に来てもらった人にしか商品を提供できなかったが,オンラインショップの導入により,世界中の人に商品を提供できるようになったし,世羅町のことを多くの人に知ってもらうきっかけ,来てもらうきっかけを作ることができたというプラスのお話を聞くことができた。
●中島
100年続く秘訣の中にはSDGsの考え方があるでしょうし,世の中に合わせた情報を発信するということもテレビ局ならではのSDGsでしょうし,マイナスをチャンスに変えられる企業がSDGsを達成するうえで重要になると思う。
SDGsのキーワードは「つながり」だと思う。このプロジェクトの次の取組として,ブックに取り上げてきた企業等を学生の皆さんの力でつなげられたらもっと良い。つながりができれば,広島のSDGsはもっと発展していく。地域の良さを知って,地域で活躍してくれる人がもっと増えると良い。皆さんから広島の魅力を発信して,皆さん自身も広島とつながりをもって活躍してもらえたらと思う。
短期的ではなく,長期的な視点から企業も戦略を立てることが求められる。困難に対してどう柔軟に対応するか,このコロナにどう対応できるか,SDGsにどう取り組んでいるか。これらを学生のみなさんから企業にどんどん問いかけて,企業の意識づけをしていただきたい。
自分が思うSDGsのゴールとそれを達成するためのアクション
●下﨑
SDGsの17のゴールのうち,ゴール15までの達成をゴール17のパートナーシップにより達成し,最終的にはゴール16の達成を目指す。SDGsを達成し,平和を実現することが究極の我々の目標である。
SDGsの全てのゴールがすべからく県の施策に関わっている。
●沖本
「ゴール」という言葉には「終わり」という意味を感じるが,SDGsを通過点で「持続可能」が普通になっていることが私の考える未来の姿。
テレビの情報発信も企業の商品開発も,人々が何を求めるかによって変化する。社会も同様に,人々が何を求めるかによって変わっていくと思う。
日本はSDGs等の社会課題の解決についての意識が高いとは言えないように感じる。自分の周りの学生を見てもそういうところに意識を向けている人は少ない。
まずは身近なところから,私たちが発信していく。持続可能な考え方,生活様式みたいなことが完全に浸透していることが「持続可能な社会」がずっと持続していくために必要と考える。
●永田
「つながり」が大事。環境問題などの社会課題の解決は,世界全体で協力しないと達成できないものだと思う。
広島県で言えば平和。平和について伝えていくことが,広島の私たちにまずはできること。
これから社会人になるのでゴール12「つくる責任つかう責任」にも取り組みたい。
また,ライフスタイルを広めることも個人レベルでできることだと思った。
SDGsなど社会課題の解決に向けた行動は,興味がなかったり,つまらないものだと思ったら実行できない。自分たちが楽しくSDGsを広められると良い。
●宮田
2030年までのSDGsの達成に向けて,目に見えるような効果を私ひとりで生み出すことは難しい。それでも心づもり,意識の部分であれば,誰にでもできることはある。
私は,SDGsを知ろうと思ってこのプロジェクトに参加した。でも,知るだけではだめなのだと気付いた。友人にSDGsについて話をしても知らない人も多い。SDGsは「誰一人取り残さない」と謳っているが,SDGsを知らない人をすでに取り残しているように思う。
そういう「知らない人」たちをSDGsについて考える輪に引き込むような役割が自分に果たせたらいいと考えている。家族でも友人でもこんなことがSDGsなんだと教えたらい,考え方を共有したり,SDGsについて発信していけたらと思えた。
●中島
皆が幸せになれること。そのためにはやっぱり平和であることがベースとなる。将来の子どもたちも。おじいちゃんたちも,途上国の人たちも,どんな人も笑顔で暮らせる世界を実現すること。
社会は少しずつ変わっていく。すぐにすべてを解決することは難しいかもしれない。私もSDGsは通過点なのかなと思う。
SDGsを達成するためには,それぞれがそれぞれのできるところから,どんない小さいことでも取り組むことが重要。それはいつか大きな変化につながる。
今回,このプロジェクトでつながった皆さんどうし,今後も連絡を取り合って,つながっていてもらえると,2030年のSDGs達成に向けたよい動きになると思う。
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