被爆建物・樹木を知る(千田エリア)
爆心地の南約2キロメートルの辺りに広がる広島市中区千田地区には、広島文理科大学や千田国民学校など、多くの教育施設が設置されていました。原爆投下により木造の建物は倒壊全焼し、多くの犠牲者が出ました。
広島大学旧理学部1号館[広島文理科大学(中国地方総督府)]
(提供/広島市公文書館所蔵)
昭和6年(1931年)、広島大学の前身である広島文理科大学の本館として建てられました。竣工当時は、鉄筋コンクリート造の3階建てでコの字型でしたが、昭和8年(1933年)に中央部分が増築されて、現在のヨの字型になりました。爆心地から1420メートルの場所にあり、外郭だけを残して全焼。大半の学生は学徒動員されていたため構内にはいませんでしたが、理系の学生と南方特別留学生の一部などが犠牲になりました。現在、建物は閉鎖されているため、周囲からの見学のみ可能です。
住所:広島市中区東千田町1-1
千田小学校内「イチョウ・カイヅカイブキ・フジ・クスノキ・エノキ」
イチョウ
カイヅカイブキ
フジ
クスノキ
エノキ
校内外で被爆した被爆樹木が11本あります。イチョウは旧広島高等師範学校(爆心地から1400メートル)、カイヅカイブキ・フジ・クスノキは学校敷地内(爆心地から1640メートル)、エノキは国泰寺の個人宅(爆心地からの距離不明)から移植されました。エノキには爆心地の方向の反対側に大きな傷跡があります。樹木のほかにも被爆した石造・門柱など多数の被爆に関わるものが保存され、平和学習に役立てられています。
※無断で敷地内に立ち入ることはできません。事務室で手続きをして見学してください。(平日8:30~16:50)
住所:広島市中区東千田町2-1-34(千田小学校内)
広島電鉄(株)千田町変電所・事務所[広島電鉄(株)千田町変電所・資材倉庫]
(提供/広島市公文書館所蔵)
大正元年(1912年)、路面電車の開業時に整備された火力発電所の発電用ボイラーと発電機を収納するため、2棟同時に建設されました。発電所は昭和9年(1934年)に廃止、変電所となりました。爆心地から1920メートルの場所にあり、被爆時には内部を焼失するも倒壊を免れたため、電車の迅速な運行再開に重要な役割を果たしました。現在、旧ボイラー棟は事務所として使用され、旧変電棟は変電所として稼働しています。
※無断で敷地内に立ち入ることはできません。道路から見学してください。
住所:広島市中区東千田町2-9-29
千田公園内外「クスノキ」
現在、市民の憩いの場となっている千田公園の道路沿い並んでいる22本のクスノキは、爆心地から2030メートルに位置するこの場所で被爆しました。多数の樹木が被爆したままの状態で残されている、唯一の場所です。
住所:広島市中区千田町3-7
ルートマップ
被爆建物・樹木を知る
平和学習事業の紹介
被爆樹木を伝える取り組み
株式会社ジェイ・エム・エスが活動を支援している「緑の伝言プロジェクト」。これは広島市にある被爆樹木を守り、後世に残し、その存在を知ってもらうという取り組みです。
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