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国際平和拠点ひろしま

希望の音を奏でる「被爆ピアノ」

   

原子爆弾が投下された広島で奇跡的に焼け残った数台のピアノ。それらは「被爆ピアノ」と呼ばれ、現在、日本各地や海外でもその音を奏でることにより、人々に平和の尊さを訴えています。

   

  

原爆の惨禍をくぐり抜け、今なお美しい音を響かせる

  

その音色は、被爆しても変わることはない

   

  

その名の通り原爆の被害を受けた「被爆ピアノ」は、自身も被爆二世である広島市・矢川ピアノ公房のピアノ調律師・矢川光則さんのもとに「何かの役に立てば」と元の所有者の方から持ち込まれたことから、その存在が明らかになりました。爆風による破損や、飛び散ったガラスによる傷などがあるものの、調律を施せば美しい音色は蘇り、再び力強い音を奏でるピアノだったのです。

   

  

ピースヒロシマが届ける「被爆ピアノ」による演奏

  

全国各地で被爆ピアノによるコンサートが開催されている

  

その「被爆ピアノ」は2001年8月6日に初めての演奏会で奏でられました。今では各地の演奏会に貸し出されるようになり、その数は年に約150回にも上ります。活動を支える「ピースヒロシマ」事務局の竹本宗文さんは、「音楽は肌の色も目の色も宗教も関係ない世界の共通言語。被爆ピアノの音色を通じて平和を訴えたい」と、日本各地を飛び回り、国外ではニューヨークでの演奏会も実現したのです。被曝ピアノの音色を聞いた人たちからは「このピアノには、メッセージが込められているような気がしました。平和の音は、こんな感じなんだと感じました」といった、驚きと感動の声が届いています。

  

ピースヒロシマに託された6台の「被爆ピアノ」

ニューヨークへ行った被爆ピアノ(上)と、カズコのピアノ(下)

  

      

矢川ピアノ工房は6台の「被爆ピアノ」を所有し、そのうち貸し出せるものは5台。爆心地より1.8kmの民家で被爆した「ミサコのピアノ」、2010年にニューヨークで演奏された「ニューヨークへ行ったピアノ」、持ち主の和子さんと共に被爆した「カズコのピアノ」など、「被爆ピアノ」にはそれぞれ物語があり、音と共にその物語を人々に届けています。原爆投下から75年が経ち、被爆体験者の数が減る中、「被爆ピアノの音色があれば、後世にずっと原爆のことを伝えていける」と、矢川さんとピースヒロシマは「被爆ピアノ」の音色に一縷の望みをかけ、活動を続けています。

  

矢川さんをモデルに制作された映画「おかあさんの被爆ピアノ」

  

主演:佐野史郎、武藤十夢 監督・脚本:五藤利弘
©映画「被爆ピアノ」製作委員会

  

2020年7月、矢川さんと「被爆ピアノ」がモデルの映画「おかあさんの被爆ピアノ」(監督・脚本 五藤利弘氏)が全国に先駆け広島市(7月17日、中区・八丁座)で先行公開されます。矢川さんと「被爆ピアノ」との出会い、「被爆ピアノ」に込められた平和への願い、そしてピースヒロシマの平和活動が描かれ、作品全体を通じて原爆の恐ろしさと平和の尊さを訴えかける内容となっています。

  

   

「被爆ピアノ」を通じて広島から世界へ平和を

  

 

ピースヒロシマは「広島から音楽で平和の種まきをしたい」と「被爆ピアノ」によるピースコンサートを常時受付中です。ホームページからは修学旅行用被爆ピアノコンサート(貸出)の申し込みも可能です。「過去は変えられないけれど、未来は変えていける」と竹本さん。「被爆ピアノ」は今日もどこかで希望の音を奏でています。

  

ピースヒロシマ

HP:http://www.peace-hiroshima.org/

    

  

【平和学習事業の紹介】

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