国連機関とも連携し平和を希求 広島ドラゴンフライズの取り組み
国内男子プロバスケットボールリーグ(Bリーグ)に所属する「広島ドラゴンフライズ」。広島に存在する唯一のプロバスケットボールチームとして、平和を希求する取り組みに力を入れています。2022年4月には国連の機関である「国連訓練調査研究所(ユニタール)」と相互協力の覚書を結びました。
同クラブが現在行っている活動や、これから本格的に始まるユニタール広島事務所との協力の意義と期待、目指す姿について、浦伸嘉(うら・のぶよし)社長に話を伺いました。
広島ドラゴンフライズは「平和があるからこそのスポーツ」「スポーツがあるからこその平和」を胸に、平和を希求する広島らしさを大事に活動しています。浦社長は「バスケットボールは世界で最も競技人口が多く、その数は5億人といわれています。しかし、日本ではまだまだマイナーなスポーツです。そんなバスケットボールのプロチームが社会に必要とされる価値のある存在となるために、また国際平和都市である広島にあるクラブチームとして、具体的に何をすべきかを考えたとき、社会貢献活動としてSDGsの達成に挑戦することを決めました。」と話します。
具体的には「バスケでつながる風景プロジェクト」と題して、選手による学校訪問やバスケットボール教室、地域イベントへの参加、また地元企業の協賛を得て試合中のフェアプレーを「おりづる賞」と名付けて表彰。ほかにもBリーグ所属クラブと共同で、選手による平和へのメッセージ動画をクラブ公式ツイッターで投稿のリレーをし、また、選手の作った折り鶴を平和記念公園やおりづるタワーへ寄贈しました。
このような「スポーツと平和」をキーワードにした取り組みの中で、ユニタールとの出会いがありました。ユニタールは、国や地域などさまざまなレベルで社会に働きかけを行う個人や団体に対して研修を提供する国連機関で、日本では唯一、広島に事務所があります。
「広島事務所は、主に開発途上国の人々を対象とした研修プログラムで持続可能な開発目標(SDGs)達成のための働きかけを行われています。アフガニスタンをはじめ、紛争後復興の過程にある国の人々へのプログラムなどには、原爆投下後から現在の平和都市に至る広島の街の過程を一つの復興モデルとして研修に組み込むなど、平和で公正な社会の実現にも貢献されています。日ごろの活動の中で、復興への過程においてスポーツが力を発揮することを信じてくださっています。」
2022年4月、両者がそれぞれの強みを生かして社会貢献していくこと目指し、SDGs達成に貢献する協力覚書に署名しました。今後、「スポーツを通じた平和構築」「持続可能な開発」「格差・不平等の是正」「女性や青少年の支援」の4点で連携していきます。
協力覚書署名式の様子(ユニタール広島事務所提供)
ユニタール広島事務所の隈元美穂子所長は、「ユニタールでは、研修事業や地域との連携・協働を通じてSDGs達成に向けて意欲的に取り組んでいます。また、アフガニスタンの女子サッカー代表チームの招へい研修(2015-16年度)などに端を発し、平和や開発のためにスポーツが果たしうる役割についても着目して参りました。プロバスケットボールチームとして広島のスポーツ界をリードするだけでなく、地域を盛り上げ、ともによりよい社会を築くためにさまざまなアプローチを続ける広島ドラゴンフライズ様と協力覚書を締結させていただき、大変うれしく光栄に思っております。」と述べられ、「スポーツが持つ分断を乗り越え、人々をつなぐ力、希望を与える力」に大きな期待を示しています。
連携は始まったばかりですが、8月には浦社長がユニタールの研修事業である広島青少年大使プログラムの最終発表会にゲスト参加。広島県の中高生がSDGsの視点で課題を見つけながら街を歩き、見出した理想の街づくり案について講評を行いました。また、10月から始まった2022-23シーズンでは、選手たちはユニタールのロゴが入ったユニフォームで戦っています。
「ユニタールと協力することで、世界中のネットワーク、人材育成やビジネス支援、復興支援の実績を共有できれば、私たちの広島らしい取り組みを世界レベルに引き上げられる可能性があります。広島にいながら世界で活躍する人材との接点を持ち、視野を世界に広げることで成長するチャンスを拡大させてもらうことができます。」と浦社長。また将来的には、原爆の日や終戦の日を迎える夏に、平和を考えるイベントを開催する構想もあるそうです。「Bリーグはオフシーズンですから、全選手、全スタッフで取り組むことができます。連携によって競技や国を超えたイベントも可能だと思っています。」
地域に密着した身近なスポーツチームや選手の動きには、人々の関心が向きやすくなります。この連携が、スポーツの持つ力を改めて示し、平和希求の新たなアプローチになることを願っています。両者の今後の活動や広島ドラゴンフライズの活躍に期待が高まります。
株式会社広島ドラゴンフライズ
広島市西区草津新町2-15-17 2F
TEL 082-270-3007
HP:https://hiroshimadragonflies.com/
国連ユニタール広島事務所
HP: https://www.unitar.org/ja/hiroshima
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