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国際平和拠点ひろしま

ユニタール広島事務所 核軍縮不拡散のための研修 広島県知事あいさつ

中四国唯一の国際連合機関である国連訓練調査研究所(ユニタール ※)広島事務所では,2021年3月にオンラインで「核軍縮不拡散のための研修」を行っています。その中で,広島県知事があいさつを行いました。

※国連訓練調査研究所(ユニタール)は,研修を専門とする国連機関として、1965年に設立されました。

https://unitar.org/ja/hiroshima

 

 

みなさん,こんにちは。広島県知事の湯崎英彦です。

ユニタール広島事務所の「核軍縮不拡散のための研修」に携わる皆様の御尽力により,平成27年以降,核軍縮不拡散に係るワークショップが毎年開催され,本年で6回目と聞いています。こうして回を重ねて少しでも多くの参加者に,広島の被爆の実相と,核兵器廃絶や平和について考えていただくことは,大変意義のあることだと考えています。

さて,世界中で猛威をふるっているCOVID-19ですが,これだけ短期間に,しかも世界のいたるところに広がることとなったのは,グローバル化した経済社会がもたらしたものに他なりません。

また,COVID-19は,既にあった様々な社会課題をあぶり出しました。COVID-19は,社会の危機であると同時に,富める者も貧しい者も感染のリスクを背負う,個々の人間に対する危機でもあります。

核兵器についても,同様のことが言えます。多くの人は国家安全保障の問題として認識していますが,これは同時に非常に大きな個人に対する危機でもあります。核兵器が使用されたとき,直接の被害者になるのは個々の人間です。

核兵器の廃絶は,全ての被爆者の悲願でもあるにもかかわらず,世界では,今なお1万3千発以上の核兵器が存在し,核保有国は即戦力の近代化を継続しています。また,核軍縮の停滞が続く中,中距離核戦力全廃条約(INF条約)の失効や,イランのJCPOA義務の一部履行停止など,昨今の核兵器廃絶を巡る情勢は,危機的状況にあります。

こうした中,私は各国政府に本気で核兵器廃絶を進めていただくためには,その元凶である核抑止論の打破が重要であると考えています。核抑止論は,科学的根拠のない,あくまでも人々が共同で信じている「考え」であり,「虚構」に過ぎないものなのです。幸いなことに,核抑止は人間の作った虚構であるが故に,皆が信じなくなれば意味がなくなります。どのように強固な岩盤であろうと,それが人々の「考え」である限り,我々は自分達の手で安全保障の在り方を変えることができるはずです。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は,核兵器を含む軍縮の課題を包括的に示した軍縮アジェンダの着実な履行には,全ての国連加盟国や国際機関,NGOとの議論を促進することが求められる,としています。地球上のすべての人々がステークホルダーであるこの課題については,幅広いアクターによる議論を促し,人々を結集して,国際合意を形成していくことが重要だと思います。

広島は一刻も早い時期に,全ての国連加盟国が一致して,核兵器廃絶を新たな目標として設定することを目指しています。

核軍縮には,皆さんのような外交官の努力を通じた,協力と信頼醸成が不可欠です。この研修プログラムを通して,洞察力とスキルを高め,友情を育むことで,世界に影響を与えることができると確信しています。

皆さんの御健闘を祈っております。そして,いつか広島でお会いできることを願っております。

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