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国際平和拠点ひろしま

2020世界平和経済人会議報告書 

基調講演

地球と共存する経営

小林 喜光 株式会社三菱ケミカルホールディングス取締役会長

  • 科学というのは文字どおりもろ刃の剣。ポジティブな方向がある一方,不幸な方向にも導いてしまう。今後21世紀,人類はどう正の方向に導くかというのが大きなテーマ。
  • 日本は「ゆでガエル」症状と言ってきた。のんきなカエルをお湯から飛び出させるには,天敵のヘビを投げ入れる必要があるが,ヘビはコロナウイルスであったといえる。コロナによって非常に加速するものと,元に戻るものが明快に。日本で加速するものはデジタル化。デジタルルネッサンスを開花させるような気概も必要。
  • 一方で,パンデミックは今回限りではない。バイオサイエンスの発展と同時に,これを誘発した地球の気候変動に対しての対応が必要と気付かせたのではないか。
  • 儲け,イノベーション,サステナビリティ,この3軸の方向の全ベクトルの集合体が企業価値。この三つのバランスをどう取っていくか。
  • きちんと儲けるところは,ESG的な,あるいはSDGs的な心を持っている組織にリニアに相関があるという結果も出ている。
  • ビフォアコロナとアフターコロナのパラダイムシフトに対して,われわれはどう対応していけばいいのか。原爆などの不条理に対しては,やはり人類の絆あるいは利他主義,哲学など連帯なり絆が重要だが,現実ではなかなかできない。むしろその逆を行ってしまう。テクノロジーをベースにした,条理を越えた“非”条理への転換に,どこまで本気でコミットしていくのかというのが,今後の世界の大きなポイント。

セッション1

ウィズ/アフターCOVID-19の「グローバル経済」と「格差」への対応

御立 尚資 ボストン コンサルティング グループ シニア・アドバイザー〔モデレーター〕
市川 晃 公益社団法人経済同友会副代表幹事/住友林業株式会社代表取締役会長
キャシー 松井 ゴールドマン・サックス証券株式会社副会長
水野 弘道 国連責任投資原則協会 (PRI Association)理事/経済産業省参与/米テスラモーターズ社外取締役
西村 康稔   内閣府特命担当大臣(経済財政政策)/経済再生担当・TPP担当/全世代型社会保障改革担当/
  新型コロナウイルス感染症対策担当

主な発言

  • これから直面するさまざまな環境破壊問題等に,全てのステークホルダーを巻き込んで,よりインクルーシブ,よりレジリエントな社会構築を。

 

  • 所得格差が,ESG投資家にとっての大きなテーマのひとつ。
  • みんなでSDGsを語り,SDGsが標榜する世界観が本当に実現するという意思を集中できれば,それが投資のベースケースになり,運用のアプローチも当然変わる。
  • 根源的変化を起こすのは消費者である一個人や経営者。経営者の積極的な発言に期待。

 

  • 平和を形づくるための社会の持続的な発展とはどういうもので,それをどのように成し遂げていくのか。特に,その中で企業が果たしていく役割とはどういうものかということを,突き詰めていく必要がある。
  • 地域や社会のため,利他の精神が必要。金融界が責任投資といった形で取り組んでいることは,まさしくそれを後押ししてくれるもの。
  • 企業として異質で多様なものに対する評価が整っているか。評価の仕組みそのものを見直していく必要がある。

 

  • いい企業に投資家が投資をしていく,グローバルな取組,SDGsの取組をしている企業に投資が行くよう消費者の方の目利きが大事になってくる。
  • これまでのやり方ではない新たな日常をどのようにそれぞれの業種,業態でつくっていくかということを,英知を結集し,日本が世界に先駆けてグローバルなモデルになるように皆さんのお力もいただきたい。

 

  • どこの国にもどこの社会にも,配慮すべき弱者もあると同時に,変化を促したり支援したりしていくべき弱者というのも必ずある。そこを間違えないように,進めることは進めて行かなければ,実は平和を守っているようで,気が付いたらリスクが増えているということになりかねない。
  • キーワードは格差。それに対抗する具体論は,広い意味でのインクルーシブネス。
  • 日本でやるべきことをやること,あるいはそれを働きかけていくことが世界で平和を維持し,そのリスク要因を減らすことに役に立つ。

セッション2

都市化,工業化と気候変動等による平和のリスク (ウィズ/アフターCOVID-19を踏まえて)

小泉 進次郎 環境大臣(ビデオメッセージ)
竹内 純子 国際環境経済研究所理事・主席研究員〔モデレーター〕
有馬 良行 世界銀行財務局駐日代表
佐々木 茂喜 広島経済同友会代表幹事/オタフクホールディングス株式会社代表取締役社長
隅 修三 東京海上日動火災保険株式会社相談役

主な発言

ビデオメッセージ

  • 環境を置き去りにした経済と社会をつくることは,人々が安定的かつ幸せに暮らしている状態を持続可能につくっていくことにはならない。
  • どのような環境であっても,最も大切にしなければいけない平和のことを,平和なうちから考え続け,そして今,コロナと気候変動という二つの危機に直面している中,今回のシンポジウムで,今までとは違う新しい価値,新しいアイデアが,今日から始めることができる一人一人の新しい行動に何かつながっていったら,これほどうれしいことはない。

ディスカッション

  • コロナ収束後,経済的格差が最も深刻な課題に。デジタル化の進展により,都市化・集中化で生産性を上げる働き方に変化が。一方で,職を失う人のセーフティネットが大きな社会的課題に。
  • 株主第一主義から,ステークホルダー優先へ。経営者は,短期的利益追求主義より,社会貢献という長期的視野での経営スタイルが,よいパフォーマンスを上げるということの証明を。
  • 今後10年は,政治とのバランスを取りながら経済界による国際協力などのルールづくりへの寄与,非常時におけるプライバシーと公益についての議論,分配政策のあり方やセーフティネット,巨額な財政支出を続ける中での成長と分配の戦略。

 

  • 世銀の融資は,インフラから教育プロジェクト,生活水準向上のためのプロジェクトへ移行。一方で,みんなが困っている状況下で,いかに全世界的に問題を解決するか。
  • 投資家の多くが,ESGの要素,つまり資金がどう社会的に活用されるのかもリターンとして勘案した上で投資を決める傾向に。
  • 今後のキーは民間の資金と公的な資金を同時に活用していくこと。

 

  • 長い目で見て,ステークホルダーのためになるか,一つ一つに照らし合わせながら評価。
  • 理念やビジョンに基づいて行ってきた経営に,SDGs的な発想をどう織り込むか。
  • 広島の奇跡の復興の答えの一つは「ちょうどいい規模感」。一つになり,全体最適が図れるというのが,広島の強さではないか。

 

  • 社会の在り方として,集中化することで効率化を図ってきた時代から,分散化の時代へ。さらに,人々の意識も多様な状況に。全ての解はないものの,意識も変わりつつあり,いろいろな仕組みが生み出されている。 一番重要なことは人々が議論を続けること。

セッション3

グローバル社会における自治体の役割~「教育」や「自治体外交」 を通じた平和構築(ウィズ/アフターCOVID-19を踏まえて)

末松 弥奈子 株式会社ジャパンタイムズ代表取締役会長兼社長〔モデレーター〕
平川 理恵 広島県教育委員会教育長
五百旗頭 真 公立大学法人兵庫県立大学理事長
熊谷 俊人 千葉市長
ニキル・セス 国連事務次長補兼ユニタール総代表

主な発言

  • 最も脆弱性のある弱者に対して手を差し伸べるSDGsにとって,自治体はとても重要。われわれが変革するには,ローカルなレベルから始めなければならない。
  • 地球の市民として責任感を若い頃から醸成していく,それが長期的な形の平和の構築となる。

 

  • 自治体で常に顔の見える外交をしていくことで国際的な平和や国際交流に貢献できる。
  • 国の大きな方針を現場で最適化する。言われたとおりにやることが国全体の方針を一番いい形で実現するとは限らない。
  • 学校というコミュニティへの積極的な参画が課題。グローバルな問題を議論するにしても,まずそうした経験が重要。
  • 地域コミュニティへの積極的な参加により,地域社会,さらには世界的に問題解決できる人材が育っていくのではないか。

 

  • 意思決定において大国の比重が大きい中,地方自治体の連携,教育が影響力を行使できるかは容易ではなく,大変心配すべき状況。
  • 経済格差の問題が非常に大きい。コロナに対する無知と偏見,そして社会格差があると止められない。そして社会の対応力。そういう意味で,社会の公平さは大事である。
  • 誰もが公平な中で生きる権利がある,人間の安全保障は誰にも許される,それを支えるのが公権力の任務だという考えに立ち,公平さを戻していく経済活動を取り戻さなければ改まらない。

 

  • 今の日本の教育の課題は,多様性のなさ。市民社会に移行しつつある中,学校,教師の役割も,「教える」から「学びをサポートする」へ変わっていくべき。
  • 学校の役割は,皆で民主的に話し合うということを練習する場だと改めて思う。社会総掛かりで,地域コミュニティも経済界もいろいろな形で,みんなで子どもを育てていければ平和につながっていくのではないか。

 

  • 世界で大きな変動がいろいろあっても,目の前で起きていることに対処しなければいけないのは基礎自治体。地域の自治体のトップが地域に合った意思決定をすれば,住民は,より安心して自分たちの生活に合った行動が取れる。日本イコール東京ではない。
  • 自治体外交の矜持とは,平和の維持だけではなくて,紛争や暴力の予防でも本当に役に立つものなのだということを,改めて今日のこのセッションで感じることができた。

スペシャルセッション

ウィズ/アフターCOVID-19の「人間の安全保障」と「平和×ビジネス×SDGs」

神保 謙 慶應義塾大学総合政策学部教授〔モデレーター〕
安宅 和人 慶應義塾大学環境情報学部教授/ヤフー株式会社 CSO(チーフストラテジーオフィサー)
川口 順子 武蔵野大学客員教授
髙島 誠 三井住友銀行頭取CEO
湯﨑 英彦 広島県知事

主な発言

  • 全世界的に,高密度よりも疎,接触よりも非接触,モノよりヒトが動く社会から,ヒトよりモノが動く社会に向かうという強いトレンド。
  • 今こそ,どういう未来を残すのか,残すに値する未来を考えるとき。平和とは何か,疫病や飢饉がないことまでをセットで考えるべきで,それは地球と人間善の協働ということ。この視点で平和の再定義が必要ではないか。再定義した平和をつくり,回復・再生することで更に繁栄するという,軍産共同体から平産共同体への革命的転換期とすること。

 

  • 戦後100年を展望する25年は,民間も経済人も,平和の問題は政治だけの問題ではないのだということが問われてくる時代になってくる。
  • 民間あるいは経済人がいかに,今,変革のプロセスに主体的・能動的に関与していくのかということが非常に大きな課題・テーマ。その際,パートナーシップを組んで志ある者が一緒に動いていくことが非常に重要。

 

  • 国家のたがが緩み,貧困や地球環境問題が大きくなり,誰が対応するかというとき出てきたのが人間の安全保障。その担い手は国,軍隊だけではなく,企業,NGO,普通の市民,地方自治体なども含まれる。特に国家財政が厳しくなり,皆が公の扶助を担わなければならない。
  • 志を同じくする人たち,国が集まっていろいろな動きをしていくことが大事。国際社会で大変心強いのは,EUが復興基金を作ったということ。

 

  • 国民が国をもっとコントロールしていくことが必要だと改めて認識されているのではないか。ある意味では新しいシステムを作るきっかけになっているのでは。
  • 核兵器を含め,様々なグローバルな問題が個々人の問題であると認識が変化。経済も含め,単に国家対国家の利害の問題として処理していく今のシステムでは処理しきれなくなっている。
  • 人間が脳や体を外部化できる時代に入り,今の事態に直面。求められるのは,倫理あるいは価値を共有しながら,主体的にどうコントロールしていくか。地球善や全体最適を考えることで,壁を乗り越え,これからも同様に発展していけるのではないか。

 

  • 人類の歴史は環境を制御してきた歴史。その前提でいいのか考え直さなければいけない時期。同時に、世界で課題を共有しているにもかかわらず、国際協調が生まれず、再び国家の枠組みの中に戻っていくような動きさえ起きていく。これはなぜなのかも含め、今日の歴史的な立ち位置をどう評価するかは,考えなければならないテーマ。
  • 広島から世界に発信していくというアイデンティティを今後も強化していただきたい。今回議論いただいた新しい平和の定義や平和の在り方というものが広島を起点に実現していくという形で歴史を振り返れるといい。

総括パネル

2020広島宣言の発表

加治 慶光 シナモンAI取締役会長執行役員/グロービス経営大学院教授/鎌倉市参与 (スマートシティ,SDGs担当)
御立 尚資 ボストン コンサルティング グループ シニア・アドバイザー
湯﨑 英彦 広島県知事
● 会議登壇者・参加者から,「経済と平和」の連携の重要性を再認識し,広島だからこそ,日本にとどまらず, 世界に何ができるかという視点で,被爆・終戦100年を視野に入れ,民主的で自由なビジネスの前提条件 となる「積極的平和」の実現のため,新たな行動を始めることを宣言する「2020広島宣言」を発表した。

2020世界平和経済人会議ひろしま 2020広島宣言

国際平和のための世界経済人会議は,ビジネスのプラットフォームとしての「国際平和」の重要性を改めて関係者間で共有し,企業やNGOなどの各主体の役割を見つめ直し,ビジネスと平和貢献のあり方の関係を多面的に議論することで,真に平和で持続可能な国際社会につなげることを目指して,これまで開催されてきました。被爆及び終戦から75年の節目となる今年は,COVID-19との闘い/共存の時代となることも踏まえ,平和を脅かす課題が生じない状態を創り出していく「積極的平和」の実現のため,これまで以上に「経済と平和」の連携の重要性についての認識を新たにするとともに,経済人が果たすべき役割を明確にし,行動につなげていくための議論を行いました。


民主的で自由なビジネスを行うには,地球環境の維持保全を含めた広い意味での「平和」であることが前提条件であり,「平和」や「安全」が崩れると,ビジネスはその基盤を失います。しかし,「平和」は与えられるものではなく,積極的に貢献し,創り出さなければ得られないものなのです。


SDGsを達成するための活動など,ビジネスには社会的課題の解決や社会の安定に寄与するものがあり,こうしたビジネスが,結果的に,積極的平和の構築に寄与することになります。またそれは,利益獲得と両立可能で,平和な社会が構築されれば,ビジネス環境も改善され,更にビジネスが生まれるというサイクルが生まれるのです。


広島が,原爆投下により「草木も生えない」と言われた75年という節目の年を迎えた今年,私たち「2020世界平和経済人会議ひろしま」参加者は,「経済と平和」の連携の重要性を再認識します。その広島だからこそ,日本にとどまらず,世界に何ができるかという視点で,被爆・終戦100年を視野に入れ,民主的で自由なビジネスの前提条件となる「積極的平和」の実現のため,新たな行動を始めることを宣言します。



私たちの具体的な行動
企業活動を通じて,SDGsに取り組み,積極的平和の実現に積極的に貢献することで,物心両面で満たされた人類の恒久的な平和をより深いレベルで実現します。
 
グローバル経済と格差への対応の視点から(セッション1を踏まえて)
● 活力ある経済活動を通じて世界の人々の厚生を高め得る資本主義。そのメリットを活かしながら,「格差の縮小」「地球環境の保全」といったSDGsの目標を企業経営に組み込むことで,資本主義の潜在的弱点を補い,積極的平和に資する活動を行っていく。ダイバーシティが社会・経済のレジリエンスを高めるという認識のもと,インクルーシブな社会・経済を作るように努める。
● 経済主体の行動を支える金融・投資活動において,SDGs・ESGの視点に資する企業が認知され,金融機関・投資家の適切な評価を得ることができるように努めて,積極的平和の実現を図る。企業の行動を変えるための顧客の重要性,影響力の大きさに鑑み,消費者へのコミュニケーションに努める。
● 国内外の経済・貿易活動のルール・規制の設定において,SDGsの観点を組み込んだ企業,金融機関・投資家が,十全にその志を果たすことができるように努め,積極的平和への貢献を行う。

都市化,工業化と気候変動等による平和のリスクの視点から(セッション2を踏まえて)
● 経済人は,COVID-19対応の観点から,これまでの工業化・都市化等の「集中化」から,「分散化」の必要性が議論されていることに留意し,「平和」が担保された社会変容の適切な在り方を見据えた企業活動,金融活動等を行うよう努める。今後ますます複雑化する様々な問題の解決に向けた,全体最適を求めるため
には,関係者間のコミュニケーションが必要で,そのためには,規模の適切性(例えば原爆からの復興における広島市・県の規模)が重要であるということを再認識する。
● 近年自然災害の被害が拡大する中,気候変動への適切な対応が,経済活動の基盤の強化に資することに留意する。その際には大きなイノベーションや官民を含めた新たな金融機能の活用が不可避である。
● SDGsの各目標には,時にはトレードオフの関係があると同時に各目標は連関もしている。経済人は,各企業として,その目標の達成を目指しつつも,社会全体がwin-winとなることに努める。個別に行われてきた様々な取組をSDGsの名のもとにまとめるとともに,さらに深い理解促進と経営への組み込みを行う。

グローバル社会における自治体の役割の視点から(セッション3を踏まえて)
● 経済活動の前提である平和を維持し,SDGsを達成するためには,平和に貢献する視点を持った,グローバルに活躍する経済人の育成が不可欠である。具体的には,科学リテラシー,足元のコミュニティへの関与,偏見の除去と社会格差の縮小といった視点を組み込むべきである。こういった人材を育成する公教育及び民間教育を支援していく。
● 市民社会やコミュニティと密接な関係がある,自治体レベルで行う「外交」は,国と国との外交を補完し,姉妹都市間協力等自治体ならではの関係構築を通じて持続可能な平和の推進の上で重要な役割を果たす。
地方自治体のこのような役割をしっかり認識し,平和の構築に寄与していく。
● 世界的な格差拡大の中で,教育の効果を広げていくために,デジタル・オンラインの活用を行っていく。

人間の安全保障の視点から(スペシャルセッションを踏まえて)
● 国と国の指導者が安全保障を担う時代から,個々人にとっての人間の安全保障が重要性を持つ時代になり,企業・自治体・NPO・NGO,そして個々人が,積極的平和の構築に関与しなければいけない。
● COVID-19は,既に存在している課題やそれに伴う変化の潮流を加速度的に顕在化している。この中で,人類を襲う未知のリスクに対応し,それに起因する平和へのリスクが高まりかねない。我々はこれを認識し,このリスクへの対応を積極的に行っていく。その実行においては,複数の主体間で倫理と価値を共有し,能動的に人類の全体最適を図っていく。

2020年8月8日
2020世界平和経済人会議ひろしま参加者一同

-これまでの開催状況-

2016 国際平和のための世界経済人会議(2016年10月)

《会議概要》
○コトラー教授を迎えた,世界初の平和をマーケティングする会議
○国内外のトップレベルの経営者,研究者,社会起業家,国際NGOが集結。WEF若手リーダーも 参加するなど,約300名が参加
○マーケティングによる平和構築の可能性について討論

 

《フィリップ・コトラー教授の3つの提言》平和のためには,これらを通じたピースメイキングが必要
1 核兵器をはじめとする兵器の削減
2 憎しみの連鎖を減らす
3 愛を高める

 

《共同コミュニケ》持続的な平和の対話の場の構築に向けての声明
1 「国際平和のための世界経済人会議」を今後とも継続的に開催すること
2 広島を拠点とした平和対話のためのトラック2(企業・NGO/NPO)コミュニティを以下の方法により創設・維持すること
(1)トラック2コミュニティの維持活性化のための事務局と財団の創設
(2)「平和のためのマーケティング」研究所の創設
(3)国際平和拠点としての広島の情報発信の強化
3 広島における平和のための研究機関を強化・集積すること

 

セッション1 非人道兵器廃絶のためのキャンペーン
セッション2 平和キャンペーンのためのコミュニケーション・デザイン
セッション3 平和に貢献する非営利部門のマーケティング
セッション4 平和の貢献するソフトパワー・ビジネス
セッション5 世界経済フォーラムのYGLとの対話
セッション6 平和貢献による新たな企業価値の創出(BOP・CSV)
セッション7 世界平和拠点としての広島

 

2018 国際平和のための世界経済人会議(2018年11月)

1 グローバル・ポジティブ・フォーラムとの覚書締結
核兵器のない平和な国際社会実現に貢献するため,ジャック・アタリ氏が会長を務めるグローバル・ポジティブ・フォーラムと覚書を締結した。
(目的)両者の相互協力により,平和な国際社会の実現のために,より充実した貢献を可能にすること。
(合意内容)広島において,「ポジティブ・エコノミー・フォーラム」と「国際平和のための世界経済人会議」との2019年以降の合同開催に向けて協力する。

 

2 国際平和を促すコミュニティとプラットフォームの形成に向けて
ジャック・アタリ氏から平和とポジティブ行動をつなげて,広島から発信していく重要性や平和のインフラを経済,文化,教育などから作っていくことが必要との提言を受けた。登壇者から,平和に向けたコミュニティづくりに取り組むとのお話もいただき,今後の平和のコミュニティ,平和のプラットフォーム構築の契機となったと考えている。

 

3 CSR・BOPを含んだSDGsビジネスの推進について
「SDGsビジネスコンテスト」の開催や,県内企業のSDGs取組事例集の作成を通じて,NPOや大学,企業などと連携したSDGsビジネス推進のための仕組みのベースを形作ることができた。

 

4 NPO・NGO,政府とビジネス部門との連携について
各セッションを通じて,連携のあり方について提言を受けた。

 

スタートアッププログラム SDGs,BOP,CSRビジネスの創出を通じた平和の実現
セッション1 気候変動による平和のリスクと環境イノベーション
セッション2 デジタル化する世界に潜む不安定さから平和を守るために
セッション3 新しい時代の教育を通じた平和構築
セッション4 アートによる社会への働きかけを通じた平和の実現
セッション5 平和実現に向けたスポーツの持つ可能性
セッション6 利他が生みだす新たな資本主義と平和の道すじ

2019 国際平和のための世界経済人会議(2019年10月)

1 グローバル・ポジティブ・フォーラムとの連携関係の強化
昨年覚書を締結したグローバル・ポジティブ・フォーラムと合同で会議を開催したことにより,世界的な発信力や影響力の強化につながった。また,来年の合同開催に向け,さらに多様な人々が参加し,より充実した会議が開催できるよう準備を進めていくことで合意した。

 

2 SDGs達成への貢献
平和とビジネスの交点としてのSDGsをサブテーマとして,現代における平和の定義づけやSDGsと平和との関連性,持続可能な社会を作り次世代によりよい世界を提供するための新たな指標などについて議論し,目標16「平和と公正をすべての人に」を広島的に解釈しなおすベースを形成することができた。

 

3 平和の実現に向けた賛同者の拡大
ビジネスに加えて,文化やスポーツ,防災や緊急支援など多様な分野を代表する方々と平和について議論し,それぞれの立場からの国際平和実現への継続的な貢献について賛同を得たことから,2020年を契機とした平和の実現に向けた様々な取組への賛同者の飛躍的な拡大への端緒となった。

 

4 次世代を担う若者からの発信
次世代を担う若者とともに,被爆100年となる2045年にあるべき世界の姿と今できる貢献について議論し,平和に関するプラットフォームの構築や平和の生産者を増やしていくことの重要性,そして来年度に向けた決意が述べられ,来年の開催に向けた,若者自身によるコミュニティ形成への起点となった。

 

5 SDGsビジネスの推進
「SDGsビジネスコンテスト」の開催や,「SDGsビジネスセレクトブック」の作成を通じて,県内企業へのSDGsの浸透を図るとともに,NPOや大学,企業などと連携したSDGsビジネス推進のための仕組づくりについて考える
契機となった。

 

スペシャルセッション 成長指標と平和
セッション1 文化交流による平和構築
セッション2 情報空間の安全保障によるガバナンスの保持
セッション3 アジアにおける防災・緊急支援・国際保健による平和貢献
セッション4 グローバル・ビジネス戦略を通じた平和の実現
SDGsビジネスコンテスト 広島ピース・スタートアップ・アワード

 

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