カメルーン・環境教育
平田 萌
自己紹介
青年海外協力隊・2017年度1次隊としてカメルーンで活動している平田と申します。職種は環境教育で、主に小学校を巡回して環境問題や自然に関する授業を行ったり、ゴミ拾い活動などを通して市民への啓発を行ったりしています。現在、学校は3ヶ月にわたる長期休暇の最中ですが、そんな中、8月6日に学校の教室を借り、任地・エボロワの市民向けに原爆展を開催しました。
開催への思い
カメルーンへの赴任前、同期隊員で県庁へ表敬訪問に行った際、湯崎知事から広島の街が復興してきた歴史と、平和都市としての現在の姿やメッセージを発信してほしい」というお言葉とともに、ひろしま平和貢献大使の委託を受けました。実際にカメルーンに来て、私はこの言葉の重要さを実感しました。カメルーンの人々と話していると、大半の人が広島と長崎に原爆が落とされたことは知っていますが、今なお放射能が残っており住める状況ではないと思っている人も少なくないのです。それだけインパクトの大きい出来事なのだと再認識する一方で、広島や長崎が発信する「平和」のイメージも知ってもらいたいと考えるようになりました。そしてそれを通じて、皆がそれぞれの平和についてじっくり考える機会をつくりたいと思い、今回の企画に至りました。
開催の様子
当日は、原爆による被害から復興までの流れをまとめたポスターや写真の展示、ムービー上映、折り鶴体験、そして平和へのメッセージの寄せ書きを行いました。展示物やムービー上映では、じっと真剣に見入ったり、人々や街の痛々しい様子に顔をしかめたり、戦争や核兵器について議論しあったりなど、様々な反応が見られました。現在、カメルーンの一部地域では、ボコ・ハラムによる誘拐事件やテロ事件、英語圏独立を掲げる分離独立派と治安部隊との衝突が続発しており、多くの人々の命や生活が脅かされています。私の任地であるエボロワは治安の良い街ですが、連日の悲しい報道に皆心を痛めています。来場者の多くはそのような自国の状況にも思いを馳せながら、広島と長崎の歴史に向き合ってくれたのだと思います。一方、復興の早さや現在の街の規模に対しては驚きの声があがっていました。平和都市としての取り組みの一例として、広島と長崎が立ち上げ、核兵器廃絶を提唱している「平和首長会議」の紹介も行いました。実はこの会議、カメルーンとの繋がりが強く、フォンゴトンゴという町の市長はアフリカで唯一の役員メンバーであり、カメルーン全体の加盟都市数は現時点で99にも及びます。そんな国で原爆展を行えたことにも何かの縁を感じます。カメルーンが一日でも早く、皆が安心して暮らせる国になって ほしいと心の底から願います。そして私の企画を通して一人でも多くの人が平和と向き合ってくれていたら嬉しいなと思います。
展示物を熱心に見入る来場者たち 。
企画の趣旨や平和への思いを話しました。
皆の平和への願いがつまったメッセージと、子どもたちが 悪戦苦闘しながら作った折り鶴。 他の任地からも隊員が駆けつけてくれました。 (左から3番目が私です)
平和学習
ひろしま平和貢献大使
広島県では,広島県出身のJICAボランティアを対象に,ひろしま平和貢献大使を委嘱しています。大使の方々には,赴任国と広島県の架け橋として,広島の被爆の実相や復興の歩みについて伝える原爆展を現地で積極的に開催していただくこととしています。
ひろしま平和貢献大使