当サイトを最適な状態で閲覧していただくにはブラウザのJavaScriptを有効にしてご利用下さい。
JavaScriptを無効のままご覧いただいた場合には一部機能がご利用頂けない場合や正しい情報を取得できない場合がございます。

国際平和拠点ひろしま

G7広島サミットに向けた湯﨑知事の寄稿文(2023年5月17日)

G7広島サミットに向けた湯﨑知事の寄稿文が、へいわ創造機構ひろしま(HOPe)のパートナーであるAPLN(核軍縮・不拡散アジア太平洋リーダーシップ・ネットワーク)のウェブサイト、及びThe Korea Times電子版へ掲載されました。

 APLNウェブサイト(英語)The Korea Times電子版(英語)

   

※記事概要(日本語)は以下の通りです。

核軍縮を進める機会としてのG7広島サミット

(2023年5月17日)

 人類史上初の原子爆弾による徹底した破壊を経験し,その後目覚ましい復興を遂げた広島は,戦争の悲惨さと平和による繁栄の二つのメッセージを有している。ロシアによるウクライナ侵略によって,一部の国々では核抑止への依存が高まるなど,核兵器廃絶に向けた情勢がかつてないほど厳しい状況にある中,今月,広島でG7サミットが開催されることは,各国首脳に,核兵器の非人道性とその廃絶の必要性について,改めて認識していただく絶好の機会であると考えている。

 各国首脳の皆様には,平和記念資料館の訪問や被爆者との対話等を通じて被爆の実相に触れ,核兵器の非人道性を十分に感じていただき,その上で,こうした国々の間で依存傾向が強まっている「核抑止」に頼る現在の安全保障が,いかに大きなリスクを孕み,不安定で,持続不能なものであるかについて,認識を新たにしていただく機会となればと思う。

 人類は今や人新世の分かれ道に立っており,自滅の道か,平和と繁栄をすべての人が享受できる持続可能な未来のいずれかを選ばなければならないという岐路に立たされている。現在私達を取り巻く,大きな脅威である,気候変動やパンデミック,そして核兵器といった課題の解決に向けては,国境を越える各国の協力や協働が欠かせない。

 私たちは,核兵器についても,核抑止に依存しなくても各国の安全が保障される,新たな安全保障の体制があるはずであり,その体制づくりについて真剣に考えるべき時に来ているという考えのもとに,取組を進めている。

 また,核兵器問題を新たに,環境や保健,人権といった,人類共通の課題であり私たちの生活に直結する他の問題と同様に,持続可能性という観点から捉え直し,核兵器廃絶を国連の次期開発目標のひとつに位置付けるため,昨年4月に国際市民グループ「グローバル・アライアンス『持続可能な平和と繁栄をすべての人に(通称:GASPPA)』」を立ち上げ,賛同者拡大に向けて国際社会への働きかけを行っている。

 今後は,実際に国際交渉の場に臨む各国の政府関係者への働きかけも進めていきたいと考えており,各分野の専門家のお力添えをいただきながら,国レベルでの働きかけも行っていきたい。

 先月行われたG7外相会合で出された声明では,「核兵器のない世界」に向けた「コミットメントを再確認」しており,G7サミットでは,核軍縮・不拡散に絞った特別文書を採択する方向で検討に入ったとの情報にも接している。ぜひ核兵器のない平和な世界の実現に向けた力強いメッセージを広島から発信していただきたい。そして,核兵器の存在そのものが人類の持続可能性に対する大きなリスクであり,その使用を防ぐ唯一かつ確実な方法は廃絶しかないということを,改めてご理解いただきたい。

 また,来るG7サミットでは,環境問題や持続可能な経済のあり方など,様々な人類の共通課題について議論される可能性がある。こうした課題の根底にも,平和な世界が前提となっていること,そして,核兵器廃絶を実現しなければ,真に持続可能な世界はないということも,しっかりと認識して議論を深めていただきたい。

 そして,現在の広島の姿を見ていただき,広島の豊かな魅力を最大限に感じていただき,平和がもたらす繁栄についても,実感していただきたい。 このG7サミットが,「政治的意思があれば世界は分断を乗り越えられる」という力強いメッセージを発信する場となり,ウクライナ侵略で損なわれた対話やルールに基づく国際協調を再び取り戻し,特に核軍縮に係る具体的な議論が再び進展しはじめるきっかけとなることを期待している。

この記事に関連付けられているタグ