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国際平和拠点ひろしま

未来へ 被爆電車がつなぐ思い

 

 原爆の被害に遭い、何もかも失ってしまった広島の街。それでも原爆が投下されたわずか3日後には、路面電車が人々を乗せ、焼野原の中をゆっくりと走り出しました。そして被爆から77年を経た今もなお、あの日の朝と同じように『被爆電車』は、走り続けています。その被爆電車を使った特別運行プロジェクトが計画されています。

 

 広島の街を象徴する風景の一つでもある路面電車を運営をしている広島電鉄には、原爆の災禍をくぐり抜けた車両「651」「652」「653」号の3台が残されています(もう1台「654」号は、広島市安佐北区のヌマジ交通ミュージアムに展示)。

 651・652の2車両は、毎朝多くの通勤・通学客を乗せて広島の街を走り抜け、残る653号は大きなモニターなどが設置され、修学旅行生や平和学習イベントなどで走る特別車両として利用されています。

 

 今回の特別運行プロジェクトでは、この653号を使ってさまざまな企画が準備されています。

 「これは被爆70年である2015年に始まったプロジェクトです。被爆者の方々が高齢化していく中で、被爆体験をどうやってつないでいくかというところからスタートしました。」と、話してくれたのは、このプロジェクトを企画するRCC中国放送・神尾正博(かみお・まさひろ)企画部長(写真左)。

 「被爆電車は、戦後の復興からずっと走り続けてきた車両です。この車両を使って私たちができることにはどんなものがあるのか、一緒に取り組んでいきましょうとお話しをさせていただきました。」と、広島電鉄の東 耕一(ひがし・こういち)電車事業本部副本部長(写真右)も、プロジェクトが始まったいきさつを話してくれます。

猴橋町電停近くの被爆ポンプと共に撮られた653号



 この2社が協力して計画する特別運行プロジェクトでは、653号で広島の街をめぐるツアーが予定されています。広島駅を出発して比治山線を経由、広電本社前、広電西広島を経て原爆ドーム前に到着する特別ルート。車内に設置された大型モニターでは、電車の運行経路上の主要スポットについて、戦時中から戦後復興の歴史などを写真や映像、アナウンスにより解説します。また、車窓からの8月6日の広島市内の実況や、653号の走行の模様に加えて、車内のモニターで上映する資料映像を世界へライブ配信するといった取り組みが計画されています。

 また青とグレーの車体塗装は、被爆当時に走っていた色を再現したものです。



 「戦時中は電車を運行するにも、運転士さんが足りませんでした。働き盛りの男性は戦地へ行ってしまい、代わりに女学生が運転士さんとして活躍されていたのです。そのため、多くの女性運転士さんが被爆されています。そういったことも大切な歴史として、社内ではしっかりと受け継いでおります。また『走り続けることは、伝え続けること』として、広島の歴史を世界へ伝えられると思います。」と、被爆の惨状から、市民と共に1歩ずつ歩んできた広島電鉄としての役割を東さんは教えてくれます。



 また、広島の地元メディアである放送局の立場として、神尾さんは「このプロジェクトは『未来へ』というテーマで続けています。未来へ、戦争や被爆の歴史をどうやってつないでいくか。広島の象徴の一つでもある被爆電車を通じて、それを少しでも伝えられたらと考えています。そしてできるだけ多くの世界中の人に、この被爆電車が走っている雄姿を見ていただき、平和を考えるきっかけになってくれたらいいですね。」と、このプロジェクトを続ける意義を教えてくれました。



 ここ2年はコロナ禍で乗車体験ができませんでしたが、今年は8月6~9日の間に計7回、公募で選ばれた人々を乗せて特別車両が広島の街を走ります。被爆電車を通して平和を考え未来へつないでいくプロジェクトにぜひご参加ください。

【2022年の運行スケジュール】

8/6日(土) 8/7日(日) 8/8日(月) 8/9日(火)
10:30発 14:00発 10:30発 14:00発 10:30発 14:00発 10:30発 14:00発
× 定員15名 定員15名 定員15名 定員15名 定員15名 定員15名 定員15名





被爆電車運行プロジェクト

HP https://rcc.jp/tram/

(乗車体験応募期間)

2022年6月20日(月)~7月15日(金)(必着)

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