Doomsday Clock終末時計は何秒になるか。
原子力科学者会報が定期的に発表している終末時計をご存知ですか?
今回は,終末時計についての紹介です。
終末時計とは?
終末時計(Doomsday Clock)は,米国の原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists)が定期的に発表しているものです。核戦争などによる人類の終末を午前0時とし,その終末までの残り時間を「あと何秒(分)」という形で示されています。終末時計が最初に発表された1947年当初は核兵器の脅威を念頭に終末時計が決められていました。2007年からは気候変動の脅威も含み終末時計が決められるようになりました。
終末時計の時間は,当初,原子力科学者会報の編集者 ユージン・ラヴィノビッチが決めていました。科学者,ロシア語に堪能で,国際的な軍縮運動の中心的存在であったラヴィノビッチ氏は各国の科学者や専門家との議論に基づいて時間を決めていたそうです。1973年のラヴィノビッチ氏の死後は,原子力科学者会報委員会がその役割を担っています。
参考:原子力科学者会報,終末時計に関するよくある質問,https://thebulletin.org/doomsday-clock/faq/
Wikipedia,終末時計,https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%B5%82%E6%9C%AB%E6%99%82%E8%A8%88
終末時計の推移
2020年1月に発表された終末時計は世界の終末まで残り100秒と発表されました。これは1947年の発表以降,最も終末に近づいた結果となります。
原子力科学者会報が発表したステートメントによると,100秒となった背景には,核戦争と気候変動という二つの危機に同時に直面していることが挙げられています。
核戦争については,中距離核戦力(INF)全廃条約の失効などによる軍備管理条約や交渉の終結,核戦争の障壁の低下,イランや北朝鮮の核開発への懸念などが脅威として挙げられました。
世界中の若者による大規模な抗議によって,気候変動に対する意識は高まった一方で各国政府の気候変動に対する具体的な対策が見られなかったことで世界の終末は午前0時に近づいたと指摘されています。
参考:原子力科学者会報ウェブサイトを基に作成(https://thebulletin.org/doomsday-clock/past-statements/)
私たちにできること
知る
終末時計は世界の終末までの時間をわかりやすく私たちに示してくれます。2021年は世界の終末まで何秒をさすのでしょうか?多くのメディアでも取り上げられると思いますがぜひ注目してください。
2021年の終末時計は1月27日(水)午前10時(米国東部時間)※に発表されます。この発表の中で,湯崎広島県知事からメッセージを発信する予定となっていますので,ぜひご覧ください。
※日本時間では1月28日(木)午前0時となります。
原子力科学者会報のウェブサイト(英語)を見る
行動する
2020年の終末時計の背景の一つとして政治指導者の関心の低さが挙げられていました。これは政治指導者だけにあてはまることでしょうか?行動の方法は様々あります。SNSでシェアすることもその一つです。家族や友人と核兵器や気候変動などの問題について語り合うこともその一つです。皆さんにもできる行動というのは必ずあります。皆さんが知ったことをぜひ行動に移してください。
広島県の取り組み
2020年8月に湯崎広島県知事の寄稿文が原子力科学者会報に掲載されました。
掲載文「核兵器使用の現実について広島からのメッセージ」を読む広島県では国内外の核兵器廃絶などに取り組む機関と連携し,核兵器廃絶に向けた広島からのメッセージを発信していきます。
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