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国際平和拠点ひろしま

Doomsday Clock 20212022年終末時計「残り100秒」

2022年1月21日(金)(米国時間),2022年の終末時計が発表されました。

人類の終末まで「残り100秒」。2022年の終末時計の結果です。

2021年から最短時間での据え置きとなりました。

終末時計は, 米国の原子力科学者会報(Bulletin of the Atomic Scientists)が定期的に発表しているもので ,核戦争などによる人類の終末を午前0時とし,その終末までの残り時間を「あと何秒(分)」という形で示されています。

 

2022年の発表でパネリストたちは,「核兵器,パンデミック,気候変動,生物学的脅威,人工知能や近年急速に拡散される偽情報など,地球を脅かす新たな課題は山積している」と述べ,中でも「核戦争が起これば,他のどんな問題もどうでもよくなってしまう」と指摘しています。また,終末時計を通して,「世界中の人々が核の脅威についてじっくりと考える機会を得られるように」と,人類への警告を続けています。

 

終末時計について詳細はこちら

 

なぜ「残り100秒」なのか

残り100秒となった理由について,原子力科学者会報は声明文を発表しています。その中から核に関する記述の一部を紹介します。

核の綱渡り

 

2021年の間に,一部の核リスクは低下し、他のリスクは上昇しました。

 
 
【進展したこと】
 
・新STARTの5年間の延長(2021年2月)
 米国とロシアという,地球上の90%の核兵器を所有する2国間で,将来の軍備管理を交渉する新STARTが,5年間延長されることになりました。
 
・核の安定を維持するための対話
 将来の米ロ軍備管理等に関する2つのワーキング・グループが設置されることになりました。
 
・バイデン政権の発表
 イランとの包括的共同行動計画(JCPOA)の復帰を模索している,また,中国に戦略的安定対話へ参加するよう提案することをバイデン政権が発表しました。また,NPR(核態勢の見直し)プロセスを開始し,具体的目標として「核の役割低下」も公表しました。
 
・北朝鮮は核兵器や長距離弾道ミサイルの実験を再開していません。(短距離ミサイルは続いています)
 
 
【後退したこと】
 
・JCPOA交渉機会の喪失
 イランは濃縮ウランの備蓄を続けており,JCPOAに関する米国との交渉に戻る前に全ての制裁を撤廃するよう主張しています。この結果,交渉の機会は閉ざされました。
 
・中国・ロシア・米国の軍拡競争の始まり
 3か国が極超音速ミサイルや核兵器の近代化を推進するなど,新たな軍備競争を開始しています。
 
・米国と北朝鮮の協議の停滞
 米国と北朝鮮の高官協議は行われないままですが,この間にも,北朝鮮は,核兵器が搭載可能な単距離,中距離ミサイル(巡航,弾道,滑空)の実験を続けています。プルトニウムの製造を再開している証拠もあります。
 
・インドとパキスタンの軍事力向上
 インドとパキスタンは,核戦争に繋がる可能性のある引火点を減少させないまま,核を含む軍事力を向上させ続けています。
 
 
 
 
 
 
最後に,同会報からの具体的提言として下記の点が指摘されています。(核関連部分)
 
・米ロの指導者は,2022年末までに核兵器とその運搬システムに,より大胆で包括的な制限をかけるべきです。
 
・米国は,同盟国や敵対国に対して,核の先制不使用が安全と安定への第一歩であることを説得し,ロシア(と中国)とともに,宣言を行うべきです。
 
・バイデン大統領は,米国大統領に与えられている,単独での核兵器使用命令権限を廃止するべきです。そして他国にも,同様の制限を設けるように働きかけるべきです。
 
・ロシアは,NATOロシア理事会へ再加入し,リスク低減やエスカレーション回避措置について協働していくべきです。
 
・北朝鮮は,核実験や長距離ミサイル実験のモラトリアム(一時停止)を成文化すべきです。そして他国が行う濃縮ウランやプルトニウム製造のモラトリアムの検証を支援するべきです。
 
・イランと米国は,ともにJCPOAへ復帰し,これを完全順守するとともに
新しい中東安全保障とミサイル制限に関するより広い対話を始めるべきです。

原子力科学者会報のステートメント全文(英語)はこちら

 

原子力科学者会報の終末時計発表イベント全編(英語)はYouTubeからご覧いただけます。

 

 

 

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