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国際平和拠点ひろしま

平和を考える映画⑥ 『ラーゲリより愛を込めて』

ⓒ2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ⓒ1989 清水香子


 年間200本以上の映画を上映している広島市中区の映画館「八丁座」「サロンシネマ」を運営する序破急の方々に、「今観ておきたい平和を考える映画」をテーマに、おすすめの作品を紹介してもらいます。

ⓒ2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ⓒ1989 清水香子

 『ラーゲリより愛を込めて』は、第二次世界大戦終了後にシベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留された実在の日本人・山本幡男を主人公にした伝記ドラマです。

 1945年8月9日に日ソ中立条約を破棄して満州や朝鮮半島北部・樺太に侵攻してきたソ連軍によって、日本軍や民間人がソ連各地の強制収容所に連行されました。約60万人の日本人が抑留されたと言われていますが、正確な人数は今日もなお把握できていません。零下40度を下回る厳冬のシベリアで、充分な食糧や休養も与えられず、過酷な強制労働のために望郷の思いを抱いたまま命を落とした抑留者は、一説には6万人以上にのぼるとされています。

ⓒ2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ⓒ1989 清水香子

 異国の地で突然身柄を拘束されて見知らぬ場所の収容所へ隔離され、帰国できる可能性もわからず、終戦の混乱の中で引き裂かれた家族とは互いの安否の確認もできない。連日の重労働を強要される劣悪な環境下で、栄養失調や病魔によって抑留者たちは次々と命を落としていく。死と隣り合わせの絶望的な日々に、生きる意味を見出せず自暴自棄になる者や心を閉ざす者が増えていく中で、希望を捨てずに人間らしく生きることを強く唱え、収容所の仲間たちを励まし続けた男・山本幡男を二宮和也が力強く演じています。山本の帰国を信じて、時代に翻弄されながらも4人の子供を育てつつ夫を待ち続ける妻・モミジを北川景子が演じるほか、松坂桃李・中島健人・寺尾聰・桐谷健太・安田顕といった実力派俳優陣の共演も話題です。

ⓒ2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ⓒ1989 清水香子


ⓒ2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ⓒ1989 清水香子

ⓒ2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ⓒ1989 清水香子

 シベリア抑留の悲劇から長い年月が経過した現在もなお、国家間の争いによって引き裂かれる家族や不当な暴力に直面する人々は後を絶ちません。

「君たちはどんなに辛い日々があろうとも、人類の文化創造に参加し、人類の幸福を増進するという進歩的な思想を忘れてはならぬ。偏頗で矯激な思想に迷ってはならぬ。どこまでも真面目な、人道に基づく自由、博愛、幸福、正義の道を進んでくれ。」

(原作「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」(辺見じゅん著)より引用)


これは山本幡男が収容所から4人の子供たちに送った言葉です。大きな傷跡を残した第二次世界大戦という過ちを反省して、戦後の世界を生きていく人類に向けて遺したメッセージにも聞こえます。各地で起きる戦禍やコロナ禍で出口の見えない閉塞感を抱えている現代の全ての人々の心に響きます。

ⓒ2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ⓒ1989 清水香子

■タイトル:ラーゲリより愛を込めて  

■2022年12月9日(金)より全国東宝系にて公開中

■原作:『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(辺見じゅん著/文春文庫刊)

監督:瀬々敬久 

脚本:林民夫 

企画プロデュース:平野隆

出演:二宮和也 北川景子 松坂桃李 中島健人  寺尾聰 桐谷健太 安田顕 ほか

【公式サイト】https://lageri-movie.jp/

八丁座

広島市中区胡町6-26 福屋八丁堀本店8階 

TEL:082-546-1158 FAX:082-546-1159

サロンシネマ

広島市中区八丁堀16-10 広島東映プラザビル8階 

TEL:082-962-7772 FAX:082-962-7773

HP:https://johakyu.co.jp/

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