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国際平和拠点ひろしま

GROUND ZEROから 写真を通して世界へ

 平和を思う人々の姿を撮り続ける写真家・宮角孝雄(みやかく・たかお)さん。その写真が伝える思いは世界中の人たちの心を打ち、たくさんの共感を集めています。世界で活躍する宮角さんがレンズを通して見る広島はどんな姿をし、そしてシャッターを切ることで一体なにを伝えようとしているのでしょうか。

 庄原市出身で現在は東京を中心に写真家として活躍し、自らのライフワークと作品のために原爆ドームをバックにポートレートを撮り続ける宮角さん。祖父や父、義母は原爆を経験し、被爆二世としてこの活動をされています。
 「2000年のミレニアムの年に、原爆ドームを背景に被爆三世である娘の写真を撮ったことが、この活動を始めるきっかけになりました。その時に、こういった写真を撮ることに、漠然と深い意味を感じたのです。」
 宮角さんが子どものころ、戦争や原爆を経験した家族からその話を詳しく聞くことはなかったといいます。ですが自分の娘の姿を爆心地で写真に納めたことで、原爆の悲惨さや平和の大切さを次の世代に伝える、宮角さんだからこそできる方法に気づいたのかもしれません。

 その写真をきっかけに22年もの間、仕事の合間をぬっては奥さまと一緒に帰広し、原爆ドームの前で世界から訪れる人たちの写真をカメラに納めています。
 「被爆者の方はもちろん、被爆二世・三世の方、平和活動をされている方、各国から広島へ訪れている方の写真を撮らせてもらっています。原爆ドームをバックに、目を閉じて平和を思い浮かべてくださいとお願いすると、みなさんとてもいい表情を見せてくれるんです。」
 目を閉じ心を落ち着かせ穏やかな表情を見せる人、平和を思うと思わず微笑んでしまう人、大切なパートナーとキスをするカップル。それぞれの思う平和が人間らしい豊かな表情を引き出し、その姿が宮角さんのカメラに納められてきました。2010年に発売された宮角さんの写真集『GROUND ZERO 希望の神話』を開くと、宮角さんが広島と長崎で撮った人々の、平和を思う姿を見ることができます。

 「写真家としてアーティストの一人として、平和というテーマを考えたとき、僕にできることはなんだろう。戦争や殺し合いを無くしたい、愛を伝え、心で感じることのできる写真を撮り続けることが、私がするべきことだと考えています。娘の写真をきっかけに撮り始めたこのポートレートは、最初はあまり意味のない活動だったかもしれません。でもこうやって続けていくことで、やがてそれが重要な意味を持ってくるのだと考えて、今も活動を続けています。」
 日本をはじめ、世界各国でもGROUND ZEROの写真展を開催し、平和を思う人々の姿を通して広島からの願いを発信し続けています。
 「紛争や戦争が頻繁に起こってしまう地域に住んでいる人たちは、日本や広島の人以上に、平和を願い反核に対する思いの強い人が多いのです。誰もが真剣に戦争について考えているんですよね。」
 世界中から広島へ訪れた人たちの姿を写真に納め、それをまた違う国で展示し、写真を通して世界の人々へと平和への願いを繋げていく。宮角さんのGROUND ZERO爆心地での活動は、これからも続いていきます。

宮角孝雄(みやかく・たかお)
庄原市出身の写真家。雑誌や広告写真を手がけるかたわら、ライフワークとして2000年より原爆ドームの前で、世界中から訪れる人たちの姿を写真に納め続けている。2010年には写真集『GROUND ZERO 希望の神話』を発刊
HP:http://peace-miyakaku.com/
Facebook:https://ja-jp.facebook.com/takao.miyakaku 

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