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国際平和拠点ひろしま

Leaning from Hiroshima’s Reconstruction Experience: Reborn from the Ashes vol1発刊にあたって

本書は,広島県と広島市で構成する国際平和拠点ひろしま構想推進連携事業実行委員会が,平成 24 年度, 25 年度の 2 か年にわたり実施した「ひろしま復興・平和構築研究事業」の成果を報告書として取りまと めたものである。

昭和 20 年 8 月 6 日午前 8 時 15 分,広島は一発の原子爆弾により壊滅した。原爆は,多くの尊い命を奪 い,街を破壊し尽くし,人々の暮らしと共に,時を重ね築かれた地域の歴史や文化,家族の記憶などを文 字通り丸ごと消し去った。

被爆から 69 年,被爆者を始めとした広島に暮らす人々は,被爆体験を根底に,二度と核兵器による惨 禍を繰り返してはならないとの決意の下,核兵器廃絶を世界に訴え続けてきた。そして,今後も,一日も 早い核兵器廃絶を目指して,たゆむことなく努力していかなければならない。

「75 年は草木も生えぬ」とまで言われた広島は,先人たちの努力により,平和都市として復興した。そ の姿は,広島を訪れた人々の多くを引き付ける。平和記念資料館を見学した後に広島の街を歩くと多くの 人々は,花と緑に満ち溢れる街で人々が暮らす姿に心打たれ,驚きの声を上げる。

広島は,廃墟からの復興を成し遂げた地として,その知見を世界の紛争終結国の復興・平和構築の取組 にいかすことで,平和な国際社会の実現に貢献したいと考えている。

本研究では,広島が,様々な困難を乗り越え,復興を果たしたプロセスについて,破壊の中から市民が いかに立ち上がってきたのかという市民の内発的な要因と,広島に差し伸べられた国内外からの様々な支 援という復興を促した外的要素を相互に連関させながら調査・分析することにより,現在の広島のアイデ ンティティー―復興を成し遂げた街,平和を模索する都市―の来歴の検証を行った。

本書が,広島の復興の歴史に思いを馳せ,原爆により失われたものの大きさと,新たに生み出された価 値を深く理解する一助になるとともに,紛争終結国における復興・平和構築の取組を後押しし,平和で安 定した国際社会の実現に向けた取組が一層促進されることを期待している。

最後に,本研究にあたり,編集委員長として御尽力いただいた水本和実広島市立大学広島平和研究所副 所長を始め,編集委員を務めていただいた皆様,各分野の執筆やコラム作成に御協力いただいた皆様並び に貴重な助言や資料提供などに御協力いただいた関係各位に深く感謝申し上げる次第である。

平成 26 年3月

広島県知事 湯 﨑 英 彦 

広 島 市 長 松 井 一 實

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