Leaning from Hiroshima’s Reconstruction Experience: Reborn from the Ashes vol1第1章 近代化の中の広島 はじめに
都市としての広島の歴史は,毛利輝元が天正17(1589)年,太田川のデルタに築城したことから始まるが,それ以来,広島はずっと地方の政治的中心地であり続け,原爆投下までは軍事的拠点都市でもあった。
明治維新を機に,広島は城下町から近代都市へ,変貌を遂げていく。武士身分が解体され,膨大な窮乏士族を抱える街となった広島を舞台に,新たな行政機構・軍事機構が創出され,経済的にも社会的にも大変革が引き起こされていった。明治前期の巨大事業・宇品築港,山陽鉄道や市街電車などの鉄道,デルタを繋ぐ新橋のあいつぐ架橋や道路網の整備,街並みの変化,近代的大工場の立地,とりわけ行政拠点都市・軍都・学都としての歩みが,近代都市広島を形成した。