「グローバル未来塾inひろしま」
長崎県からの参加者インタビュー
高校生世代を対象に開催されている「グローバル未来塾inひろしま」は、国際平和の実現のため世界で活躍できる人材の輩出を目指した教育プログラム。令和５年度は初の試みとして長崎県の高校生との交流を行いました。10月7～9日、広島の高校生が長崎に赴いたのを受けて、11月3～5日は長崎県の高校生5人が広島を訪問。被爆講話の聴講や原爆遺構の見学などを行いました。今回は参加者の畠山遥斗（はたけやま・はると）さんと坂元あゆ子（さかもと・あゆこ）さんに広島研修の感想をお聞きしました。
畠山遥斗さん（左）と坂元あゆ子さん（右）
●応募したきっかけ
（畠山さん）
僕の祖父は被爆者で、小学校の頃に原爆について調べる機会があり、そのとき涙混じりに話を聞かせてくれたことがずっと心に残っていました。あとクラスメイトの原田晋之介（はらだ・しんのすけ）くんは広島と長崎で二重被爆した山口彊（やまぐち・つとむ）さんのひ孫。曾祖父の体験を紙芝居にして伝承する活動を行っています。そうした経緯から僕自身も平和に興味を持つようになり、「高校生一万人署名活動」などに参加してきました。今回のプログラムは生徒会の先生から教えてもらい、平和に関する知識を深めたいと思って応募しました。
（坂元さん）
私も被爆三世。曾祖母は原爆の爆風で倒された建物の下敷きになり、命は助かったけど戦後PTSDで苦しみました。祖母は原爆投下直後の長崎に入って入市被爆。そうした戦争に苦しめられた人が身近にいたことで、私も高校に入ってからピースボランティアや「高校生一万人署名活動」に参加しました。グローバル未来塾のことは戦争や核兵器に興味を持たない人にどうやったら関心を持ってもらえるか模索していた時期に知り、新しい気付きが得られるのではと参加を決めました。
●広島訪問で印象に残ったこと
（畠山さん）
広島平和記念資料館で感じた鳥肌は今でも忘れられません。広島の資料館は長崎と比べて展示数もリアルな写真も多くて、原爆の悲惨さや心から泣きたくなるくらいの恐怖を感じました。あと広島の資料館はデジタル化が進んでいて、自分が知りたい分野をタッチパネルで深掘りできる仕組みになっていました。日本語だけでなくいろんな言語にも対応していて、世界中の人に知ってもらえる体制が作られていると思いました。
（坂元さん）
私も資料館は印象に残りました。広島の資料館は原爆で亡くなられた方の遺品と写真、その方にまつわるエピソードが一緒に展示されていて、原爆投下の瞬間、その人が確かにこの世界に存在していたことが実感できるんです。それは長崎の資料館にも活かされればいいなと思いました。あと旧陸軍被服支廠を訪ねたとき、普通の住宅街の中に建っていることに驚きました。原爆が落とされたときも、こうした普通の街並みがあっという間に壊されてしまったのだと想像して恐怖を感じました。
旧陸軍被服支廠で解説を聞いている様子
●広島訪問で得たもの
（畠山さん）
今回小倉桂子（おぐら・けいこ）さんの被爆証言を聞く機会があって、その中で小倉さんが「知ることの重要性」について話をされました。自分の中に正しい知識や歴史を取り込んで、その上で発信していくことが大切だとおっしゃられて、その言葉にすごく感銘を受けましたし、広島では自分の知らない事実をたくさん知ることができました。今後は被爆地・長崎の人間として、僕たち若者が次の世代に被爆の事実を伝えた上で「こういう世界にしていかないと」と提案していかなければいけないと思います。
小倉桂子さんによる被爆体験講話の様子
（坂元さん）
私は世界平和の実現のためには友情が必要だと思っていて、もし違う国に友人がいたら、その国と戦争をしようとは思わないと思います。だから長崎に戻ったら、自分の学校と海外の高校の間で平和や核について綴った手紙の交換をしたいと思います。あと友情という意味では、今回のプログラムを通じて広島に友達ができました。彼女たちとはこれから一緒に平和な世界を作っていくという仲間意識を感じます。友達とは平和についてもっと語りたいし、もっと一緒に遊びたい。この先私は何度も広島に来ることになると思います。
●畠山遥斗（はたけやま・はると）さん。長崎南山高等学校2年生。広島に来て驚いた場所は「お好み村」。
●坂元あゆ子（さかもと・あゆこ）さん。県立長崎東高等学校2年生。広島で楽しかった場所は「宮島」。
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