10月6日(日)に行われた第4期グローバル未来塾inひろしまの研修について受講生からの報告書をお伝えします。講師は広島大学名誉教授 池田秀雄氏です。
(受講生からの報告書を編集せず掲載しています。)
【報告書1】
講義名 途上国の教育問題
研修講師名 広島大学名誉教授 池田秀雄
報告者 広高等学校 寺岡千尋
池田塾長は、世界にはたくさんの格差が存在し、それを理解するとともに、これからの将来を担う私たちに必要なことについて講義されました。
1点目は、国同士の格差についてです。
開発途上国では、独立から今もなお植民地時代の名残があり、深刻な問題がたくさんあるようです。
多国籍企業が国際取引を独占し、発展途上国の作物は安く買い叩かれたり、開発途上国の独裁政治が横行し、一部の有力者に富が集中するなどがおこっているそうです。
また、先進国の中では、「援助疲れ」が起きつつあるそうです。先進国内で貧富差が拡大し、日本でも、税収が減り、景気が悪化したことなどにより、ODAはピークより半減しています。
そして、開発途上国と先進国の格差は解消されるどころか広がりつつあるという現状があります。
2点目のポイントは、子供たちの家庭と生活についてです。
フィリピンでは、所得の上位10%と下位10%との格差が13倍もあったり、アメリカでは所得のトップ1%が国の財産の40%を握っているという現状があります。このように、国の中で大きな格差があるため、教育にも差が出てきます。裕福家庭では、公立や私立の有名進学校に進学、その反面、貧困家庭では、子供の数が多く、児童労働をしなければならないせいで、学校に通うことが出来ない子供がたくさんいます。また、栄養・衛生状態が悪く死亡率、未就学、落第になる子供も少なくないようです。
3点目は、言語についてです。
フィリピンでは、公用語以外に英語を使うことができない小学校児童は理数の授業で遅れをとってしまうそうです。また、高校生以上はすべての授業で英語が使われることなどから、英語を使うことができる高所得者とそうでない貧困層の格差が挙げられるそうです。
そしてこれはこれからの日本においても言えることです。日本でも、近年英語でのコミュニケーション能力を重視していたり、学校を受験する際にも、英語を得意とする人とそうでない人には大きな差が出るということもあります。小さい頃から十分な英語教育を受けさせることのできる裕福な家庭の子供と、そうでない子供を比べると、その差は歴然であると思います。
最後に、これからの未来を担う私たちに必要な力についてお話がありました。池田塾長が仰っていたものの中で、私が大切だと思ったのは、「人間性、品格・礼儀・協調」です。議論の場などで、汚い言葉を使って相手を批判するのではなく、「強烈な皮肉で批判」することができるとかっこいい、という塾長の言葉は私の心に深く残っています。それから、基礎知識を持ち、先入観や思い込みを排除し、物事を柔軟に受け入れることのできる力を身につけたいです。
【報告書2】
講義名 途上国の教育問題
研修講師名 広島大学 池田秀雄教授
報告者 広島女学院高校 谷増咲紀
池田教授は途上国の教育問題について、紛争と戦争、宗教、格差、家庭などの様々な観点から講義をされました。様々な観点のうち、今回は家庭、児童生徒の生活、学校についてまとめる。
フィリピンの家庭は貧困差が激しく、2009年では上位10%と下位10%との所得格差が13倍であった。裕福な家庭の子は公立やミッション系の私立の有名校に進学し、逆に貧困家庭の子は児童労働を強いられ、親の教育に対する関心がないことから学校に通えず、学習環境は粗悪化し、さらに未だに路上で生活する児童がいるのが現実である。格差には地域ごとの格差や都市内の格差がある。都市内の格差の例として、フィリピンの首都マニラにも高層ビルが立ち並び近代化が進んでいる一方で、スラム地域がありゴミ拾いをする人々もいる。そして、フィリピンや、その他の途上国の風習として家庭の中で父親の権威が強いことが特徴である。そして同時に特にイスラム圏では女性の権限が弱いのである。ここから武力紛争に発展することも少なくない。
途上国の児童生徒の生活は私たちの生活とは全く違うものであった。児童生徒は朝からほぼ一日中家の手伝いをし、長いところでは10キロ以上もの距離を歩いて学校まで登校し授業を受ける。学校での昼食はなく、1日2食の場合が多い。下校後も水くみやたきぎ集め、炊事、兄弟の世話などの家の手伝いや、物売りや農作業など忙しい生活を休むことなく送っている。しかしこれはまだ良い方で、貧困層の児童生徒は学校に行くこともできず、一日鉛筆も持たずにひたすら農作業や家畜遊牧などの児童労働を強いられる。このようなところは衛生状態が悪く、死亡率も高い。
アフリカの学校は学校間格差がとても大きく、教会がバックについている私立のミッション系の学校は校舎、設備、教員も充実している。公立高校も整備されているところもあるが、管理の悪いところでは教員の給与が少なく、それが原因でストライキが起こり、教員が授業に来ないこともある。また、教師と生徒の間に地方言語が違うという重大な問題も起こる。
この講義を通じて私は途上国の教育問題と言っても、一度にいろいろな問題が絡み合っているのだとわかった。他の問題にも目を向けなければならないと感じた。
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