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国際平和拠点ひろしま

被爆者とともに オンラインでも世界各地へ発信

 国際交流を目的とした世界一周の船旅を企画するNGO・ピースボートは、コロナ禍でメインの活動場所をオンラインに移し、平和活動に意欲的に取り組んでいます。2019年からは広島県と核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が共同で実施する「核兵器と安全保障を学ぶ広島―ICANアカデミー」で、ICANの国際運営団体としてプログラムの企画・運営を行っているほか、2020年は広島・長崎の原爆資料館のオンラインツアーを開催。被爆者によるオンラインでの証言会も30回を重ねています。
 その中心的な立場であるピースボートインターナショナルコーディネーターの渡辺里香(わたなべ・りか)さんと松村真澄(まつむら・ますみ)さんにお話を伺いました。

 渡辺さんが携わる「核兵器と安全保障を学ぶ広島―ICANアカデミー」は、各国から若者が広島に集まり、学び、経験したことを出身地へ持ち帰り、グローバルリーダーとして活躍できる人材の育成を目的にしています。
 「2019年(令和元年)の第一回は15名の若者が参加し、資料館を見て、被爆者に会い、8月6日の式典にも立ち会い、これまでテレビでしか見られなかったものを実際に肌で体験していただきました。2020年(令和2年)は人数を増やそうと思っていた矢先にコロナ禍となり、二回目にもかかわらず大幅な変更を余儀なくされました。主にオンラインでの講座となったのですが、コンゴ共和国、ケニア、キルギス、モンゴル、ポーランド、ウガンダなど、オンラインだからこそ、参加者の出身地の幅が広がったのを感じています。3回目となる2021年度は募集が始まったばかりですが、各国の政治を担うような人材に集まってほしいと思っています」(渡辺さん)

 松村さんは2020年(令和2年)7月に行われた原爆資料館のオンラインツアーを担当しました。
 「コロナ禍で修学旅行生も広島に来ることができない中で、8月6日を迎える前に改めて核廃絶を訴える意味で開催しました。ICANのインスタグラムのインスタライブ機能での生配信という形をとり、まず広島の資料館からの中継、その2日後に長崎の資料館から中継しました。ICANの事務局長は被爆遺品の中でも三輪車に興味を示され、掘り下げて説明をするなど、ライブ配信ならではの場面もありました。戦後75年を越え、被爆者の生の声を届けることが難しくなる中で、被爆遺品の重要性を改めて感じました」(松村さん)

 お二人が勤務するピースボートでは、2008年(平成20年)から被爆者と一緒に地球一周の船旅に乗船し、各地で証言活動をする「おりづるプロジェクト」を続けていました。2020年(令和2年)からはオンラインでの証言「おりづるプロジェクト・オンライン」と形を変え、現在まで30回、22の国や地域でそれぞれの国の言葉に翻訳し被爆の実相を伝えています。

 「世界を回って証言会をしていたとき、ラテンアメリカの国では終わった途端に被爆者の方を抱きしめに寄ってくるほど反応が熱いのです。今はオンラインでそのような交流はできなくなりましたが、やはり反応がとても熱いのがラテンの方たち。反対にシャイな国もありまして、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタンの方たちはぽつりぽつりとですが、しっかりと感想を伝えてくれます。オンラインとはいえ、同じ時間を共有し、出会えるということは嬉しいですし、今後も続けていき、世界各国での開催を目指しています」(渡辺さん)
 
 コロナ禍で思うように活動ができない中で始まったピースボートによるオンラインでの活動ですが、オンラインでの気づきもあったそうです。
 「より多くの人に届いたり、参加のハードルが下がったり、オンラインの良さは確実にあります。ポストコロナになったときにオフラインとオンラインでうまく棲み分けができたらいいなと思っています」(松村さん)
 1年半にわたり船旅の運行ができない状況が続いているピースボートですが、再開できる日までも歩みを止めず、その活動はますます充実したものになりそうです。

PEACE BOAT
HP:https://www.pbcruise.jp/

核兵器と安全保障を学ぶ広島―ICANアカデミー実行委員会事務局(広島県地域政策局平和推進プロジェクト・チーム内)
住所:〒730-8511 広島県広島市中区基町10-52
Tel:082-513-2368
Fax:082-228-1614
Eメール:chiheiwa@pref.hiroshima.lg.jp

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