2020年度と2021年度の「核兵器と安全保障を学ぶ広島-ICANアカデミー※」の参加者を対象として,2022年3月13日と14日に,被爆証言と被爆関連施設からの中継による「広島-ICANアカデミー2021スペシャル・プログラム」を実施しました。
両年度のアカデミーでは,新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大を受けて,広島での宿泊研修を実施することができませんでした。そのため,被爆の実相に焦点を当てた,このスペシャル・プログラムを実施することとなりました。
※広島県と核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が2019年から実施する,国内外の大学生・大学院生を対象とした平和学習プログラム
3月13日は,荒神橋と旧広島陸軍被服支廠の二つの被爆関連施設から,それぞれ,被爆者の李鐘根(いじょんぐん)さんと切明(きりあけ)千枝子さんに証言をしていただきました。
李さんは,荒神橋で体験した原爆が炸裂した瞬間のエピソードや,在日韓国人として,また,被爆者として受けた差別について証言をされました。また,李さんは,ロシアによるウクライナ侵攻に触れ,「原子力発電所がロシア軍の攻撃を受けたというニュースを聞き,とても悲しい思いをしています。核の恐ろしさを世界の人に知ってもらいたいです」と述べられました。
旧広島陸軍被服支廠からの中継は,冒頭にプログラム・コーディネーターの福岡奈緒さんが同建築物の歴史を紹介し,続いて,切明さんに被爆当時の様子についてインタビューしました。切明さんは,ご自身も怪我を負ったまま行った被服支廠での救護活動と,そこで見た,顔が判別できなくなるほどひどい火傷を負った人々について証言をされました。
3月14日は,広島平和記念資料館と平和記念公園から交互に中継しました。
資料館では,NPO法人Peace Culture Villageで講演やピースツアーに従事されているメアリー・ポピオさんにガイドをしていただきました。メアリーさんは,現在の平和記念公園一帯に存在した旧中島地区の人々の暮らしを紹介した後に,核爆発の破壊力の凄まじさについて説明し,続いて資料館本館に展示されている犠牲者の遺品や被爆の実相を伝える写真や絵画を紹介しました。
また,平和記念公園については,プログラム・コーディネーターのアナリス・ガイスバートさんが,原爆ドームやレストハウス,原爆供養塔など,事前に撮影した映像を交えながら紹介しました。
プログラムの最後となる原爆慰霊碑からの中継では,資料館から移動したメアリーさんと,Peace Boat共同代表でICAN国際運営委員兼会長の川崎哲さん,福岡奈緒さんが合流しました。
参加者から,現在のウクライナ危機に対する広島の役割について質問があり,アナリスさんは「戦争は総じて破滅的なものであり,私たちは核兵器廃絶を訴えると同時に,ウクライナ危機についても取り組まなければなりません」と答えました。
ロシアは,北大西洋条約機構(NATO)加盟国をはじめ,国際社会を牽制するために,侵攻の早い段階から声明の中で核兵器に言及し,核ミサイル部隊の警戒態勢の強化を表明しました。現在の核脅威は,1962年のキューバ危機以来の水準に達していると言われています。
そのような困難な時期に,広島から被爆の実相を伝えるオンラインの学習プログラムを提供できたことはとても重要であると考えます。引き続き広島県は,ICANと連携して,国際平和に具体的に貢献する人材の育成を目指します。
以下からスペシャル・プログラムの動画を視聴していただけます。(言語は英語のみ)
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