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国際平和拠点ひろしま

2021世界平和経済人会議ひろしま「2021広島アピール」

 

2021年9月8日(水),9日(木)の2日間にわたり,「2021世界平和経済人会議ひろしま」を開催しました。

たくさんの御参加ありがとうございました。

 

9日(木)の最後には,今年度のセッションを振り返る総括セッションを実施し,その中で「2021広島アピール」を発表しました。

 

 

2021広島アピール

 

国際平和のための世界経済人会議は,ビジネスと平和貢献のあり方の関係を多面的に議論することで,真に平和で持続可能な国際社会につなげることを目指して,これまで開催されてきました。

昨年,被爆及び終戦から75年の節目となった2020年の本会議は,平和を脅かす課題が生じない状態を創り出していく「積極的平和」の実現のため,経済人が果たすべき役割を明確にし,行動につなげていくための議論を行いました。

しかし,COVID-19との闘いは想像以上の長期戦となり,社会的に弱い立場の人や企業に大きな影響を与え,格差が拡大しました。

また,本来世界中が協調し取り組むべき人道的課題についてさえ対立が生じています。経済安全保障の考え方は重要である一方,経済の武器化を極端に進めると,経済に必要な平和との善循環を破壊することに繋がりかねません。

今こそ,もう一度,平和あってこその経済,経済あってこその平和という観点から,平和と経済の善循環を推進するような国際秩序のしくみを長期的な視点から構築することが必要です。自らの利を実現するためには他者の利,すなわちマルチステークホルダーの利を同時に追求する必要があるという「真の功利主義」を実践する必要があります。

このような思いと考えから,我々は2021年を,「ビルドバックベター(より良い復興)」のスタート地点であるとし,ビジネスが出来る貢献を通じて,希望ある未来を目指します。

 

「私たちの具体的な行動」

企業活動を通じて,SDGsなどに取り組み,積極的平和の実現に積極的に貢献することで,物心両面で満たされた人類の恒久的な平和をより深いレベルで実現します。

 

[グローバル経済と格差への対応の視点から]

  •  資本主義のメリットを活かしながら,「格差の縮小」「地球環境の保全」といったSDGsの目標を企業経営に組み込むことで,資本主義の潜在的弱点を補い,積極的平和に資する活動を行っていくことは可能で,かつ実際に行われ始めており,その流れを加速させていきたい。具体的には,貧困や格差などは社会を不安定にし,ビジネスの基盤を侵食するものであるという認識に立ち,本業を通じて社会課題の解決を図ると同時に,環境や雇用,格差などを意識した企業活動を更に拡大すべきである。
  •  健全な経済成長と格差縮小を両立させるためには新陳代謝が不可避である。長期の視点で,次世代を含めた教育訓練支援やリスキリングを行い,雇用を創造し続けることが企業の責務である。同時に善循環を作っていくためには,企業と政府が十分な対話を通じ協調していくことが不可欠である。
  •  金融資本市場においても企業の社会的インパクトの定量化の動きもあり,多様な投資家が行動を始めている。金融資本セクターと企業が協働することで,過度に近視眼的でない,システムを構築しているマルチステークホルダー全体が繁栄することを目指す。
  •  多様性が存在することは,企業,社会のサステナビリティ,イノベーション,レジリエンスを向上していくために不可欠である。したがって,多様性の存在が当然の前提となる社会システムを構築していく。
  •  そのために,自らの中にある無意識のバイアス(例 公平よりも平等の優先,前例主義へのとらわれ等)を認識するきっかけ,気付き,教育の機会を充実させていく。さらに,多様性を包摂するための環境整備をしていくことに経済人がコミットしいく。

 

[地政学的リスクの中でのビジネスの貢献の在り方の観点から]

  •  米中2大国の対立をはじめ,地政学的リスクが経済を含むものになることの現実を直視しなければならない。一方で,対立だけを直視するのではなく,経済文化,気候変動など,共有・共感可能な部分は数多く存在する。これらの相互依存関係,協力関係に焦点をあて,日本をはじめとする第3国の企業,経済人は,対立者間の翻訳者としての役割を果たし,地政学的リスク低減に貢献することができる。
  •  ビジネスの実行においては,最も好ましい立地,市場,拠点の配置等をきちんと追求した上で,例えば海外資産の運用等相互依存関係が強まる領域を自らの強みとし,機会として捉えていくことが必要である。

 

[都市化,工業化と気候変動等による平和のリスクの視点から]

  •  経済人は,COVID-19対応の観点から,これまでの工業化・都市化等の「集中化」から,「分散化」の必要性が議論されていることに留意し,「平和」が担保された社会変容の適切な在り方を見据えた企業活動,金融活動等を行うよう努める。今後ますます複雑化する様々な問題の解決に向けた,全体最適を求めるためには,関係者間のコミュニケーションが必要で,そのためには,規模の適切性(例えば原爆からの復興における広島市・県の規模)が重要であるということを再認識する。
  •  気候変動は,自然災害の原因となるのみならず,深刻な安全保障上のリスクとなっており,産業構造と社会構造の革命的変化は不可避である。一方,この気候変動はリスクであると同時に,経済的機会でもあり,民間主体の気候変動への積極的な対応が経済全体の発展につながる。
  •  カーボンニュートラル実現に向け,再生可能エネルギーを含めた安定的かつ効率的なエネルギー供給と温室効果ガス削減を両立させ,供給側,需要側双方において,イノベーションを促進するため企業,金融資本市場,政府等,広範な対話を通じて仕組みづくりを積極的に進めていく。
  •  SDGsの各目標には,時にはトレードオフの関係があると同時に各目標は連関もしている。経済人は,各企業として,その目標の達成を目指しつつも,社会全体がwin-winとなることに努める。個別に行われてきた様々な取組をSDGsの名のもとにまとめるとともに,さらに深い理解促進と経営への組み込みを行う。

 

[テクノロジーが平和に与えるインパクトの視点から]

  •  ネットを通じた情報操作,ドローンの戦闘投入,衛星サイバー攻撃,半導体を含む経済安全保障の争い等により,テクノロジーが平和に与えるインパクトはますます大きくなっている。
  •  イノベーションを続けながらテクノロジーのネガティブな側面を低減するためには,テクノロジーそのものよりも,それをどう使うか,誰が使うかをコントロールしていく仕組みづくりが不可欠である。
  •  より効果的なルールを作成し運用していくためには,

 ・民間企業間での自主的ルール形成

 ・規制当局の技術及び市場ダイナミクスの知見を高めるための民間と政府の対話

 ・先端的分野については政府,民間,NPO等様々なエキスパートを含むチームによるガバナンス

の3点が必要となる。

 

[グローバル社会における自治体の役割の視点から]

  •  経済活動の前提である平和を維持し,SDGsを達成するためには,平和に貢献する視点を持った,グローバルに活躍する経済人の育成が不可欠である。具体的には,科学リテラシー,足元のコミュニティへの関与,偏見の除去と社会格差の縮小といった視点を組み込むべきである。こういった人材を育成する公教育及び民間教育を支援していく。
  •  市民社会やコミュニティと密接な関係がある,自治体レベルで行う「外交」は,国と国との外交を補完し,姉妹都市間協力等自治体ならではの関係構築を通じて持続可能な平和の推進の上で重要な役割を果たす。地方自治体のこのような役割をしっかり認識し,平和の構築に寄与していく。
  •  世界的な格差拡大の中で,教育の効果を広げていくために,デジタル・オンラインの活用を行っていく。

 

[人間の安全保障の視点から]

  •  国と国の指導者が安全保障を担う時代から,個々人にとっての人間の安全保障が重要性を持つ時代になり,さらに,人類社会の集団としての安全保障が求められる時代になってきた。その中で,企業・自治体・NPO・NGO,そして個々人が,積極的平和の構築に関与していく必要がある。
  •  新型コロナウイルスワクチンなど,エッセンシャルな医療物資の確保・供給は,その不足に悩む途上国だけの問題ではなく,変異株等を通して,先進国自身の問題でもある。
  •  グローバルヘルスそのものが人類の公共財として,すべての人の手に届くものでなくてはならない。その実現を目指すグローバルヘルス分野で我々が更に貢献するためには,企業の役割は不可欠であり,官民連携,国際機関の公共調達への参入,ルール形成など多様な形なでの貢献が期待される。公共財の供給は経済全体を持続的に豊かにしていく前提条件となる。
  •  COVID-19は,既に存在している課題やそれに伴う変化の潮流を加速度的に顕在化している。この中で,人類を襲う未知のリスクに対応し,それに起因する平和へのリスクが高まりかねない。我々はこれを認識し,このリスクへの対応を積極的に行っていく。その実行においては,複数の主体間で倫理と価値を共有し,能動的に人類の全体最適を図っていく。

 

[コモンズが開く経営と平和の融合の視点から]

  •  国際的にSDGs達成のみならず,地域の課題解決のためには,経営に関する従来型のエコシステムの変容に伴い,物事の本質が重視され,経営学も問い直しが求められており,「平和をプラットフォームにした経営学」の創成が必要である。
  •  これは,多くの人びとの共感により支えられる課解決型のビジネス,マネジメントであり,社会システムの分裂・分断を乗り越え,「社会共通の価値(コモンズ価値)」から未来をデザインし,行動する能力を培うものである。
  •  排他的・個別的な縦の関係から,包摂的・社会的な横の関係へ,コモンズが拓く「平和経営学」は,今後,学問上のみならず,多くの人びとが共感し,参加しあえる平和構築とそれに繋がるビジネス創出を目指していく。

 

 

2021年9月9日

 

2021世界平和経済人会議ひろしま参加者一同

2021世界平和経済人会議ひろしま特別顧問一同

2021世界平和経済人会議ひろしま企画運営委員会委員一同

 

 

 

 

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