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国際平和拠点ひろしま

Hiroshima Report 20192020年NPT運用検討会議に向けて―中満泉・国連事務次長兼軍縮担当上級代表による特別寄稿

2020NPT運用検討会議に向けて―中満泉・国連事務次長兼軍縮担当上級代表による特別寄稿


『ひろしまレポート』に本稿を寄稿できますことを嬉しく思います。このユニークな報告書は、核兵器のない世界の実現に向けた行動を誓約したすべての国々の責任を明らかにする点において、言わば番人の役割を果たしています。


核兵器不拡散条約(NPT)は、この目標に向けた地球規模の努力の中心的存在を成すものです。この条約が掲げる検証可能な核不拡散義務、法的拘束力のある核軍縮へのコミットメント、そしてそのほぼ普遍的な加盟状況によって、国際平和と安全保障の構造を支える重要な柱となってきました。


核兵器国間の関係が悪化し、核兵器の有用性について危険な言い回しがなされ、核拡散の側面を伴う地域的危機や新技術の出現により核の危険が高まり、冷戦が実際の戦争に発展しないよう講じられた種々の取り決めや合意が風化しつつある今、NPTを弱体化させる訳にはいきません。現在のような状況だからこそ、NPTは堅固でなければならないのです。


この条約の2020年の運用検討会議は、条約発効後50周年の節目に開催され、集団安全保障におけるNPTの中心的存在を再確認し、その役割を強化する象徴的、実践的な機会を提供します。またNPTを強化し21世紀における核兵器に関連する課題に対処しうる条約として存続することが重要です。


2020年の運用検討会議を成功させることへの困難な課題は、周知のとおりです。それには、核兵器国間の亀裂、核兵器のない世界を実現し維持する方法についての意見の相違に加え、核兵器及びその他の大量破壊兵器のない中東地帯の設置に進捗が見られないことが挙げられます。


いずれも克服不可能な障壁ではありません。しかし、時間は無くなっていきます。


締約国は、2020年の運用検討会議を成功に導く共通の基盤を築くため、直ちに行動しなければなりません。望ましい結果を達成するため、新しい革新的な方法を検討すべきです。手続き面での革新のひとつとして、運用検討会議でハイレベル会合を開催し、NPT及び条約の三本柱のすべてにおいて全締約国が自らのコミットメントの完全な履行を改めて誓約するという閣僚宣言を出すことが考えられます。


締約国はまた、核戦争において勝者はなく、決して行ってはならないということを再確認すべきです。70年の長きにわたって保たれてきた核兵器の不使用という規範の維持が、すべての締約国の最優先課題となるべきです。


グテーレス国連事務総長は、核兵器廃絶に向けた共通の道筋を見出すのに必要な対話を促進すべく全力で取り組んでいます。私も、今から2020年までの間に、締約国があらゆる機会を捉えて、その道筋を見出すよう強く働きかけています。

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