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国際平和拠点ひろしま

(4) 核兵器の削減

A) 核兵器及び核兵器を搭載可能な運搬手段の削減
新戦略兵器削減条約(新START)
米露はこれまでのところ、2011 年2 月に発効した新戦略兵器削減条約(新START)を履行してきた。条約のもとでの削減状況は、米国務省のホームページで定期的に公表されている(表1-4)。また米国は、米露の戦略(核)戦力の保有数に加えて、自国の運搬手段ごとの保有数を表1-5 のように公表してきた。新START が定めた削減期限である2018 年2 月5 日になされた両国の申告では、配備戦略(核)運搬手段、配備・非配備戦略(核)運搬手段発射機、及び配備戦略(核)弾頭のすべてについて、条約で規定された数的上限を下回った。その後も両国の戦略核戦力はこの上限を超えていない。
両国は条約発効以来、条約で規定された回数の現地査察を毎年実施してきた58。また、発効以来の通告の交換は、米国務省のホームページによれば、2020 年12 月時点では21,293 件であった59。しかしながら、2020 年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、2020 年4 月1 日以降、現地査察を実施できていない。リャブコフ(Sergei Ryabkov)外務次官によれば、現地査察の一時停止は双方の合意に基づいて行われ、新型コロナウイルスを巡る状況が正常化した後に再開されるとしていたが60、その後も感染状況は改善せず、現地査察の再開には至らなかった。これにより、2020年には、各国に許容された計18 回の現地査察のうち、それぞれ2 回しか実施できなかった。
新START を巡る喫緊の課題は、2021 年2 月の有効期限が迫るなか、条約の将来をどのように決定するかという問題であった。2019 年には、ロシアが条約の5 年間延長を提案したのに対して、米国はロシアだけでなく中国を含め、また戦略核戦力だけでなく他の核戦力や運搬手段をも規制する新たな合意の締結を目指すべきだとの方針を示唆した。しかしながら、中国は2 核超大国とのポスト新START となる核兵器削減プロセスへの参加に強く反対した。
そうした米露中の核軍備管理を巡るせめぎあいは、2020 年おいても続いた。5 月にはビリングスリー(Marshall Billingslea)米大統領特使(軍縮担当)が、ロシアは新START 延長問題を検討する前に、「中国を交渉のテーブルに連れてこなければならない」61と発言した。ビリングスリー大統領特使は6 月にも、中国は「大国の地位を達成するためには、大国の責任を持って行動することが必要である。核兵器の増強については、これ以上の秘密の万里の長城を築くべきではない」とツイッターに書き込んだ62。
米国は、2020 年6 月22 日のロシアとの核軍備管理協議に中国も参加するよう求めたが、中国はこれを拒否した。外務省の華春瑩(Hua Chunying)外務省報道官は、「周知のように、中国の核の力は米国やロシアのような規模にはない。中国が核軍縮協議に参加するのは、まだ適切なタイミングではない。最大の核保有国は核軍縮において特別かつ主要な責任を負っている。現在の状況を考えると、米国は、新STARTの延長を求めるロシアの呼びかけに積極的に応じ、他の核兵器国が多国間の核軍縮協議に参加するための条件を整えるべく、核兵器の備蓄をさらに大幅に削減すべきである。…米国は、米露間の新START 延長問題に中国を何度も引きずり込んでいる。責任を他国に転嫁しようとする時はいつも同じ手口である」63と述べて、米国を厳しく批判した。傳聡(Fu Cong)外務省軍縮局長も、核保有数を「米国が中国と同じ水準に引き下げる用意があると表明すれば、中国はその翌日から喜んで(核軍縮協議に)参加することを保証する」(括弧内引用者)と述べ、米国の「真の目的は、あらゆる制限から開放され、敵対国に対して軍事的優越を目指すフリーハンドを得ることにある」と主張した64。
ロシアのリャブコフ外務次官も、「中国の立場を尊重する」との従来の立場を繰り返して、その参加を強く求めることはせず、さらに「我々は他国の能力を無視することはできない」と述べてフランス及び英国も参加する必要があると主張した65。
中国が参加しないまま行われた6 月22 日の米露戦略安全保障対話( Strategic Security Dialogue)の詳細は明らかにされなかったが、核弾頭・ドクトリン、検証、宇宙という3つの作業部会を設置して今後数週間内に開催すること、戦略安全保障対話の第2 ラウンドを7 月下旬または8 月上旬に行うことが合意された。また、米国が、戦略核兵器だけでなくすべての核兵器がカバーされるべきであること、並びに中国もこのプロセスに関与すべきであることという、これまでの主張を繰り返したとされる。これに対してリャブコフ外務次官は会議に先立ち、米国の最先端ミサイル防衛システムなど新型の兵器がカバーされるのであれば、その双務的な合意の一部として、米国が懸念するロシアの最新の核兵器システムの一部については、新START の下に置かれる可能性があることを受け入れると発言した66。
7 月には上述の3 つの作業部会、並びに本会合が開催された。8 月16 日にも、ウィーンで米露間の戦略安全保障対話が開かれた。いずれも詳細は明らかにはされなかった。
他方、米国は8 月に入ると、若干の軌道修正を示した。ビリングスリー大統領特使は戦略安全保障対話に先立ってのインタビューで、3 つの条件に進展があればロシアとの二国間合意を先行するという案を検討しているとし、その3 条件として、二国間合意の後に中国が参加すること、あらゆる核兵器を制限対象に含めること、並びに査察・検証を強化することを挙げた67。またビリングスリー大統領特使は米露戦略安全保障対話後の記者会見で、「米露間には収束する分野もあるが、いくつかの重要な問題では依然として相違がある。言い換えれば、原則にはある程度の合意はあるが、前進するためには膨大な量の作業が必要である。…ロシアは我々の立場を理解しているが、今後の課題は、この取引を成立させるための政治的意思がロシアにあるかどうかだ。ボールは今ロシアの側にある」68と述べた。
しかしながら、8 月の時点で米露間の温度差は小さくなく、ポンペオ(Michael Pompeo)国務長官は「ここ数週間でまさに進展があった」69と前向きな発言を見せたのに対して、前提条件なしに現状のままでの新START 延長を主張するロシアのリャブコフ外務次官は、軍備管理に関する合意が近くまとまるとの米国の楽観主義は共有しないと述べた70。
10 月に入ると、議論が若干ながら進展を見せた。米国が11 月の米大統領選挙までにロシアとの合意を目指していると報じられた後71、ビリングスリー大統領特使は講演で、それまで条件の1 つに挙げてきた中国による参加に言及せず、「ロシアが核兵器の制限または凍結に合意するのであれば、新START を一定期間延長する用意がある」72と発言した。その直後には、米国が新START 延長の条件として、同条約が対象としない非戦略核兵器を制限対象に加えるとともに、検証措置を強化することを盛り込んだ、将来の核軍備管理条約の土台となる政治的合意を締結することをロシアに求めているとも報じられた73。
これに対してプーチン(Vladimir Putin)大統領は、10 月16 日の安全保障会議で、「実質的な交渉を行う機会とするために、現在の条約を無条件で少なくとも1年間延長することを提案する」74と発言した。米国が「新START を1 年間延長し、ロシアの核弾頭数に1 年間の上限を設けるという比較的率直な提案を行った」75と述べてロシア側の見解を否定すると、ロシア外務省は同月20 日に、米国が追加の要求を出さないことを条件としつつ、1 年の延長期間中は「米国とともに保有する核弾頭の数を凍結する政治的義務を負う用意がある」と表明した76。
しかしながら米国務省はその直後に、「検証可能な合意の確定のために、直ちに会合を開く用意がある」77との声明を発出し、検証措置の実施を条約延長の条件に含めていることを強く示唆した。ロシアはこれに反発し、リャブコフ外務次官は、「米国が必要としているのは合意ではなく、検証だけだという印象を有している。そして、米国が提案する検証とは、基本的には、国家安全保障の全体的なシステムを保証するための最も機微な要素に対する外部コントロールを確立することである。これは我々にとって受け入れ難い」と述べて、検証措置に関する米国の要求を受諾する意図がないこと、条約延長問題での合意実現の可能性を疑問視していることを明言した78。
結局、米大統領選挙までに米露は合意に至らず、新START 延長問題は2021 年に持ち越されることとなった。

INF 条約
INF 条約は、ロシアの条約違反を理由とする米国の脱退と、これへの対抗措置とするロシアによる運用停止により、2019 年8月に実質的に終焉した。
その後、米露間ではINF 条約で規定された制限の非公式な適用について議論がなされた。2020 年10 月、プーチン大統領は、条約失効後の地上発射中距離ミサイル問題について、「米国が同種の兵器を製造しない限り、ロシアは地上発射中距離ミサイルの配備に関するモラトリアムのコミットメントを再確認する」としたうえで、以下のような新しい軍備管理体制を提案した79。

➢ 米・NATOが欧州に配備するMk-41 発射機装備のイージス・アショア弾道ミサイル防衛(BMD)システムと、ロシアがカリーニングラードに配備する9M729 地上発射巡航ミサイルの相互査察を実施する。
➢ (9M729 がINF 条約に違反しないミサイルであるとのロシアの立場を繰り返したうえで)NATO 諸国が欧州にINF条約違反となるミサイルを配備しない限り、ロシアも欧州の領域において9M729 のさらなる配備を行わない。
➢ アジア太平洋地域において、「INF 条約のない世界」での安定性の維持とミサイル危機の防止の方法を模索することを呼び掛ける。

これに対して米国及びNATO諸国は、ロシアの9M729 実験・配備がそもそもINF条約違反であったこと、Mk-41 はINF 条約に違反するものではないこと、並びに検証措置の適用地域に大きな非対称性があることを挙げて、ロシアの提案を拒否した。
米露以外の核保有国
米露以外の核保有国では、フランスと英国が一方的核兵器削減措置を講じてきた。このうち英国は、運用可能な弾頭(operationally available warheads)の必要数を120 発以下、2020 年代半ばまでに核兵器ストックパイルを180 発以下とするとしてきたが、2015 年1 月に、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)1 隻に搭載する核弾頭数を48 から40 に削減するとの2010 年のコミットメントを完了し、実戦で使用可能な弾頭数が120 発になったと公表した80。2020 年の国連総会第一委員会では、「英国は、核弾頭の数を備蓄と配備の両方において、最小限の信頼できる抑止力を提供するのに必要なレベルまで削減しており、抑止力を単一のシステムに低減した唯一の核兵器国である」81と発言した。
フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領は2020 年2 月の演説で、「フランスは軍縮アプローチにコミットしており、これは世界の安定と安全を促進するものである。フランスは、その責任と利益に沿って、陸上配備核戦力、核実験施設、兵器製造用の核分裂性物質を不可逆的に解体し、現在300 個以下に核兵器の規模を縮小してきたという、世界でも類を見ない実績を持っている。これらの決定は、いかなる軍拡競争も拒否し、核抑止力の形式も厳格な充足度にとどめるという点で一致している」82と述べた。同時に、以下のように一方的な核兵器の放棄は行わないと明言した。

他国、独裁国家さえもが核兵器を維持あるいは開発する間に、私はフランスに民主主義国家の武装解除という道徳的な目標を設定することはできない。フランスのような核兵器国にとって、一方的な核軍縮は、自国自身やパートナー国を暴力や脅迫に晒すこと、あるいは自国の安全を守るために他国に依存することに等しい。私はこれを拒否する。…米露とは比較にならない程度の兵器しか保有していないフランスが核兵器を放棄したとしても、他の核保有国がそれに追随することはないだろう。同様に、フランスはTPNW には署名しない。同条約は、フランスに新たな義務を課すことはなく、国家や領域内の公的・私的アクターにもなんら義務を課すことはない83。

5 核兵器国の中で核兵器の配備数や保有数あるいは削減計画などの具体的な姿を全く公表していないのが中国である。中国は、国家安全保障に必要な最小限のレベルの核兵器を保有していると繰り返し述べ、民間研究機関などの分析でも核戦力を数的には急速に増加させているわけではないとの見方が主流である。他方、少なくとも現状では、中国は核兵器の削減には着手しておらず、5 核兵器国の中では唯一核弾頭数を増加させ、さらに核抑止力の質的側面での能力向上も続いている。
上述のように中国は、米国が提案した米露中3 カ国による核軍備管理協議への参加を拒否し、まずは最大の核兵器国である米露が大幅に核兵器を削減すべきだとの従来の主張を繰り返している。2020 年10 月の国連総会第一委員会でも、米露中軍備管理協議に対して、「これは米国が国際社会の注意をそらすためのトリックに過ぎず、核軍縮における自らの特殊かつ他国に先んじるべき責任の履行を拒絶するための口実を作り、自らへの制限の緩和を図り、軍事面での絶対的優位性を確立するための理由を探し求めるのが狙いだ」と批判したうえで、「中国は自衛防御の核戦略を堅持し、常に核戦力を国家安全保障上必要な最低水準に維持しており、いかなる国とも核軍備競争を行ったことは過去にないし、今後も行うことはない。中国の核戦力は中露と同等の規模では全くないのであり、米露中軍縮協議への中国の参加を求めるのは不公平で不合理かつ実行不能だ。中国側が同意することはない上、いかなる脅迫と恫喝も断じて受け入れない」と発言した84。
インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の状況はいずれも明確ではないが、少なくとも核兵器(能力)の削減を実施しているとの発言や分析は見られず、逆に核弾頭数を漸増させていると見積もられている。

B) 核兵器の一層の削減に関する具体的計画
核兵器の一層の削減に関する新たな具体的計画・構想を2020 年に明らかにした核保有国はなかった。上述のように、米露間で戦略・非戦略核戦力の一層の削減に関する協議が進展することもなかった。また、中国、フランス及び英国は、多国間の核兵器削減プロセスの開始には、まず米露が核兵器を一層大幅に削減すべきだとの立場を変えていない。南アジアでは、パキスタンが、インドが核兵器を放棄すれば自国も同様に放棄すると述べるにとどまる。

C) 核兵器能力の強化・近代化の動向
核保有国は、核軍縮に関するコミットメントを繰り返す一方で、核兵器能力の強化や近代化を継続してきた。2020 年国連総会第一委員会では、多くの国からそうした核保有国の動向に対して、強い懸念が表明された。他方、米国と中露は、それぞれ他方の核戦力近代化を厳しく批判しあった。
ICANが2020年に刊行した報告書によれば、2019年に核保有国が支出した核兵器関連予算(核戦力の近代化を含む)は729億ドル(推計)で、前年より71億ドル増加した85。

中国
中国は、核戦力の開発・配備の状況について一切公表していないが、その近代化を積極的に推進してきた。2019 年10 月の軍事パレードでは、移動式複数個別誘導弾頭(MIRV)化大陸間弾道ミサイル(ICBM)のDF-41、中距離弾道ミサイル(IRBM)のDF-26 、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)のJL-2、極超音速滑空飛翔体の運搬手段となるDF-17 などを公開して、核・ミサイル戦力の強化を誇示した。
米国防総省が発表した中国の軍事力に関する2020 年の報告書では、中国のICBM・発射基を100 基(前年は90 基)、DF-26を含むIRBM については発射基が200 基(前年は80 基)、ミサイル本体が200 基以上(前年は80〜160 基)との見積もりを示した86。また、「中国は今後10 年間に、核戦力を拡大・多様化し、少なくとも核弾頭の備蓄量を倍増させる可能性が高い。中国はおそらく、少なくとも米露が開発中の核弾頭及び運搬手段の一部と同等の有効性、信頼性あるいは残存性を有する新型の核弾頭及び運搬手段を開発することを意図している」との評価を示した87。さらに、この報告書では、次世代の096 型弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)の建造が2020年代はじめにも開始されるとみられること、開発中のH-6N 爆撃機が核弾頭搭載可能な空中発射弾道ミサイル(ALBM)を積載できるとみられること、並びに精密攻撃が可能なDF-26 は中国が関心を高める低出力核弾頭が搭載される可能性の最も高い兵器システムであることなどが記載された88。
2020 年4 月には、詳細は不明ながら中国は2 隻の晋級戦略原潜を就役させたと報じられた(トータルで6 隻目)89。また10 月には、極超音速滑空飛翔体を搭載するDF-17 が中国南東部の沿岸地域に実戦配備されたと報じられたが、いまだに運用状態にはないと見る専門家もいる90。また、米国務省高官はインタビューで、中国が2020 年1〜9 月に少なくとも70 回の弾道・地上発射巡航ミサイル発射実験を、また2019 年には225 回の弾道ミサイル発射実験を実施したと発言した91。その真偽は不明ながら、中国が活発な弾道ミサイル活動を継続していることを強く示唆した。
中国はロシアの協力を得て早期警戒システムの構築を進めている。具体的な進捗状況は不明だが、中露間の協力は計画的に進んでいると報じられた92。

フランス
オランド(François Hollande)大統領(当時)は2015 年2 月の核政策に関する演説で、自国の核抑止力がSLBM16 基3セット(計48 基)、及び中距離空対地ミサイル54 基で構成されていると公表した93。2020 年も、そうした核戦力態勢に変化は見られなかった。
フランスは、4 隻のル・トリオンファン級SSBN に搭載するSLBMについて、新型の核弾頭を搭載するM51.2 の運用を2017年12 月に開始し、2020 年までにすべてのSSBN に搭載する予定である。またフランスは、射程延長及び命中精度向上を図るM51.3 の開発を2025 年までに完了する計画である。空対地中距離巡航ミサイル(ASMPT)の後継については、ASN4G の設計開発を開始し、2035 年の導入を計画している。

ロシア
ロシアは、対米核抑止力の維持を主眼としつつ、冷戦期に建造された核戦力の更新をはじめとして様々な運搬手段の開発・配備を積極的に推進してきた。2019 年末にはプーチン大統領が、ロシアの戦略核三本柱の82%が最新の装備になったと報告した94。
ICBM については、移動式・固定式RS-24(Yars)の配備が進んでいる。また、1基に10〜16 発の核弾頭を搭載可能なRS-28(Sarmat)の実験が繰り返されている。2020 年末までに実験段階を完了し、2021年までにSS-18 からの転換が開始されると見込まれている95。
海洋配備の核戦力については、ボレイ級SSBN への転換が始まり、3 隻が就役し、5隻が建造中で、さらに2 隻が購入される予定である96。また2019 年10 月末には、新型のボレイA・SSBN から初のSLBM 発射実験が行われた97。
ロシアは、最先端の核運搬手段の開発にも積極的である。アバンガルド極超音速滑空飛翔体(射程は少なくとも5,500km 以上)はマッハ20 で飛翔し、高い機動性を有するため、弾道ミサイル防衛による迎撃が困難だとされる。2018 年12 月に発射実験を実施した後、ロシアは2019 年末に初めて実戦配備したと発表した98。また2020 年10 月には、海上発射型の極超音速ミサイル「ツィルコン」の発射実験を実施した。ロシア国防省は、高度28km をマッハ8 以上の速度で飛行し、450km 飛翔したと報告した99。
原子力推進で射程10,000km 以上の長距離核魚雷・Status-6 の動向も注目されている100。敵の沿岸近くで高出力の核弾頭を爆発させ、放射能を帯びた海水及びデブリの津波を作り出し、沿岸近くの港湾、都市及び経済インフラなどに深刻な放射能汚染を引き起こして何世代にもわたって居住不能にすることを意図したものだとされる101。2019 年1 月には、近年中に32 基を配備すると報じられた102。
他方、SSC-X-9(スカイフォール)原子力推進巡航ミサイルの開発は難航していると見られているが103、ロシアは実験再開の準備を進めているとも報じられた104。
地上発射中距離ミサイルに関しては、ロシアがINF 条約失効前の2019 年1 月に、9M729 をすでに4 個大隊(100 基程度)に配備していると報じられた105。これに対して、ロシアは9M729 がINF 条約に違反するミサイルではないとし、またINF 条約の対象となるような地上発射中距離ミサイルは配備していないと主張している。

英国
英国は2017 年10 月、既存のヴァンガード級SSBN に替わる4 隻の新型ドレッドノート級SSBN の建造を開始した。新型SSBN の一番艦は2030 年代初頭の就役が予定されているが、技術的問題により建造には遅れが生じている。
2020 年1 月には、イングランドにある3つの国防核施設(原潜の建造、原子炉の開発、及び核弾頭の組立が行われている)に対する英国会計検査院(National Audit Office)による調査の結果、インフラ・プロジェクトが1〜6 年の遅延に直面し、予算も13 億ポンド増加していることが明らかになったと報じられた106。コストの超過は主に、成熟した設計なしに建設工事を開始するなどの回避可能なミスによるものだと指摘された107。他方、英国政府が2020 年12月に公表した報告書では、「安全性と品質に関する高い基準に妥協することはないが、英国へのコストの影響を評価し続け、ドレッドノート級潜水艦計画を期限内に、かつ割り当てられた予算内で実施することにコミットしている」108とした。
新型原潜に搭載されるSLBM 用の核弾頭については、英国政府は検討中だとしていたが、2020 年2 月にリチャード(Charles Richard)米戦略軍司令官が米上院公聴会で、米英が共同で次世代SLBM 用核弾頭を開発する意図を示唆しつつ、これがW-93核弾頭になるだろうと発言した109。その後、ウォレス(Ben Wallace)英国防相は、米国と共同で新型核弾頭を開発していることを認めた110 。12 月にはラブグローブ(Stephen Lovegrove)英国防次官が、米国の次期政権によってW93 の開発が凍結されれば、英国の原潜更新計画に「著しい影響」が及ぶとの懸念を表明した111。

米国
米国は、核運搬手段や核指揮・統制・通信(NC3)など、多くが冷戦期に構築された核兵器システム・インフラの近代化計画を推進しており、今後30 年間に1.2 兆ドルの予算が必要になると見積もられている。
冷戦期に配備が開始された米国の戦略運搬手段の更新時期が近づいており、後継となるICBM、SSBN 及び戦略爆撃機(並びにこれに搭載される空中発射巡航ミサイル(LRSO))の開発が検討されてきた112。2018 年2 月に公表された核態勢見直し(NPR)では、前政権までの以下のような計画を踏襲する方針が示された113。

➢ コロンビア級 SSBNを12 隻建造し、その一番艦を2031 年に運用開始
➢ 450 基のミニットマンⅢ・ICBMを400基のGBSD(新型ICBM)に転換
➢ B-21 次世代戦略爆撃機、及びこれに搭載されるLRSO を開発・配備

また、NPR2018 では非戦略核戦力の強化策として、短期的には少数の既存のSLBM に低威力核弾頭を搭載すること、また長期的には核兵器搭載可能な潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM)の取得を追求することを明らかにした114。
このうち、SLBM搭載用のW76-2 低出力核弾頭は2019 年末に戦略原潜テネシーに配備され、大西洋での哨戒任務に就いた。テネシーには1〜2 基のSLBM に数発のW76-2 が配備されたと見られている115。ルード(John Rood)国防次官(政策担当)はW76-2 の配備について、「ロシアをはじめとする潜在的敵国が低出力核兵器の使用により、米国とその同盟・連携各国より優位に立つと考えているとの結論に対処する目的」があると説明した116。国家核安全保障庁(NNSA)の年次報告書によれば、「2020 年度に、W76-2 の組立が完了し、全量が生産されて海軍に納入された」117。
また、エネルギー省の予算に、W93 という新しい核弾頭の型式が記載された。米国政府担当者は、W93 は全くの新型核弾頭ではなく既存の設計に基づくもので、実験の必要もないと説明した118。上述のように、W93 は英国の新型SLBMへの搭載も計画されている。
米国はINF条約脱退後、同条約下で禁止されていた地上発射中距離ミサイルの取得を検討しているが、2020年の段階では取得・配備には至っていない。
また米国は、ロシアや中国に遅れを取っているものの、極超音速兵器の開発を継続している。2020年3月には、陸・海両軍が共同で開発する極超音速滑空体(C-HGB)の発射実験に成功した119。
核弾頭の中枢部分であるプルトニウムのピットについて、NNSAは2030年までに年間80個以上を生産するとの計画を発表した。現在は、年間20個以下のピットがロスアラモス国立研究所で生産されているが、これをロスアラモスで年間30個以上、サバンナリバーサイトで年間50個以上にするというものである120。

インド
インドは引き続き、「戦略核の三本柱」の構築に向けて精力的にそれらの開発を推進している。2020 年1 月には2 回にわたって、K-4・SLBM(射程3,500km)の発射実験を実施した121。インドは5 隻の核搭載潜水艦を配備する計画を有しており122、2021 年初頭に2 隻目のSSBN アリガントを就役させる計画が伝えられている123。また10 月には、射程距離800〜1,900km(搭載する弾頭による)の地上発射型極超音速ミサイルShaurya の発射実験に成功した124。

イスラエル
イスラエルは、核兵器の保有を明言しておらず、その動向も必ずしも明らかではない。運搬手段については、核弾頭搭載可能な地上発射中距離弾道ミサイルやSLCM の開発・配備を進めてきた。2020 年1 月にはジェリコ長距離弾道ミサイルの発射実験を実施したと見られている125。

パキスタン
パキスタン126は、対印抑止力の構築を主眼として、核弾頭搭載可能な短距離及び準中距離ミサイルの開発・配備に注力してきた。2020 年2 月には、射程600km のラード2(Ra’ad-II)空中発射巡航ミサイルの発射実験を実施した127。

北朝鮮
北朝鮮は2017 年11 月以降、核兵器及び長距離ミサイル実験を実施していない。金正恩(Kim Jong Un)朝鮮労働党委員長は2019 年1 月の新年の辞で、前年からの核・ミサイル実験停止を継続すること、さらに核兵器の「生産・実験・使用・拡散」をしないことを言明した。しかしながら、2019年末の朝鮮労働党中央委員会総会では一転して、米国の態度を非難しつつ、核実験及びICBM 発射実験の中断、並びに核実験場の閉鎖といったコミットメントに一方的に拘束される理由はなくなったとし、「世界は直ぐに我々が保有する新たな戦略兵器を目撃することになるだろう」と発言した128。
北朝鮮は結局、2020 年には核兵器及び長距離ミサイルの発射実験は実施しなかった。しかしながら、10 月10 日の軍事パレードでは、新型の火星16・移動式ICBM及び北極星4・SLBM を登場させた。いずれも発射実験などは実施されておらず、能力の詳細は不明だが、火星16 については、移動式ICBM としては世界最大級の大きさで、多弾頭化を企図しているのではないかと分析されている129。5 月には、平壌(ピョンヤン)近郊のスナン国際空港近傍に、ICBM計画に関連すると見られる新しい施設が完成に近づいていること、施設内に建設中の建物は、北朝鮮の既知のすべての弾道ミサイルを収容可能な大きさであること、隣に建設されている地下施設も北朝鮮が保有するあらゆる種類のミサイルとその運搬・発射台を収容できる大きさになっていることが報じられた130。
また、北朝鮮は3 月に、計9 発の短距離弾道ミサイルの発射実験を実施したが131、このうち21 日の実験で発射されたKN-24ミサイルは、韓国統合参謀本部によれば、飛距離が410km、高度は50km で、弾頭はいったん下降し、再び上昇するといった不規則な軌道で飛行した132。
北朝鮮の核兵器製造能力については、詳細は不明だが、米国防総省は、北朝鮮が20個から最大で60 個の核兵器を保有するとともに、毎年6 個の核兵器を新たに製造する能力を有しているとの見積もりを示した133。また、8月に公表された国連北朝鮮制裁委員会専門家パネルの中間報告書では、複数の国が北朝鮮は弾道ミサイルの弾頭に搭載する小型核装置をおそらく開発したと評価していること、またある国は北朝鮮が突入補助装置や複数弾頭システムの開発などの技術的進歩を可能にするために核弾頭の小型化をさらに進めようとしていると評価していることが記載された134。
また、この報告書では、北朝鮮がプルトニウムの生産は行っていないと見られる一方で、濃縮ウランの生産活動の継続、並びに平山(ピョンサン)のウラン鉱山における採掘や精製活動の実施について国連加盟国が同パネルに報告したと記載した135。
ウラン濃縮施設の存在が疑われる平壌南西の降仙(カンソン)について、2020 年11 月にグロッシ(Rafael Grossi)IAEA 事務局長は記者会見で、「我々は、別のサイトであるカンソンの分析を微調整しようとしている。当初はもう少し慎重だったが、さらなる分析を重ね、ここが(核)活動と関連のある場所であると考えている」136と発言した。また、降仙のサイトについては、ウラン濃縮施設ではなく遠心分離機用の部品を製造している施設だとの分析もある137。


58 The U.S. Department of State, “New START Treaty Inspection Activities,” https://www.state.gov/new-starttreaty-inspection-activities/.
59 The U.S. Department of State, “New START Treaty,” https://www.state.gov/new-start/.
60 “Decision on Halting Inspections under New START Made upon Mutual Agreement—Diplomat,” Tass, March 29, 2020, https://tass.com/world/1137135.
61 Bill Gertz, “Envoy Says China Is Key to New Arms Deal with Russia,” Washington Times, May 7, 2020,
https://www.washingtontimes.com/news/2020/may/7/marshall-billingslea-says-new-start-fate-hangs-chi/.
62 Shaun Tandon, “US and Russia to Resume Nuclear Talks, But China Casts Cloud,” AFP, June 10, 2020, https://www.thejakartapost.com/news/2020/06/10/us-and-russia-to-resume-nuclear-talks-but-china-casts-cloud.html.
63 “Foreign Ministry Spokesperson Hua Chunying’s Regular Press Conference,” Ministry of Foreign Affairs of China, June 11, 2020, https://www.fmprc.gov.cn/mfa_eng/xwfw_665399/s2510_665401/2511_665403/t1787995.shtml.
64 “China Challenges U.S. to Cut Nuclear Arsenal to Matching Level,” Reuters, July 8, 2020, https://jp.reuters.com/article/china-usa-arms/update-1-china-challenges-u-s-to-cut-nuclear-arsenal-to-matching-level-idUSL4N2EF0QV.
65 Alice Tidey and Alasdair Sandford, “US-Russia Nuclear Talks: Washington Condemns ‘No-Show’ China at Vienna Summit,” Euronews, June 22, 2020, https://www.euronews.com/2020/06/10/russia-and-us-to-resume-nuclear-disarmament-talks-in-vienna-this-month. ロシアは国連総会第一委員会でも、「核軍縮プロセスをいかに多国間のものにするかを真剣に考える時期に来ている。そのような対話には、核軍事力を有するすべての国が参加すべきである。強制力のないコンセンサス・アプローチが必要である。その他の必要条件としては、平等性と関係者全員の利益を相互に考慮することである」と発言した。“Statement by Russia,” First Committee, UNGA, October 9, 2020.
66 Keir Simmons, Willem Marx, Annabel Coleman and Abigail Williams, “China over Shadows Nuclear Treaty Talks between U.S., Russia,” NBC News, https://www.nbcnews.com/news/world/china-overshadows-nuclear-treaty-talks-between-u-s-russia-n1231692.
67 Ryo Nakamura, “US Open to Nuclear Agreement with Russia before Including China,” Nikkei Asia, August 16, 2020, https://asia.nikkei.com/Editor-s-Picks/Interview/US-open-to-nuclear-agreement-with-Russia-before-including-China.
68 “Press Briefing with Ambassador Marshall Billingslea, U.S. Special Presidential Envoy for Arms Control and Lt. Gen. Thomas Bussiere, Deputy Commander of the U.S. Strategic Command,” U.S. Department of State, August 18, 2020, https://www.state.gov/press-briefing-with-ambassador-marshall-billingslea-u-s-special-presidential-envoy-for-arms-control-and-lt-gen-thomas-bussiere-deputy-commander-of-the-u-s-strategic-command/.
69 Nick Wadhams, “Pompeo Sees Arms Control Deal with Russia by the End of the Year,” September 1, 2020, https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-08-31/pompeo-sees-arms-control-deal-with-russia-by-the-end-of-the-year.
70 Steven Pifer, “Spinning Good News on Arms Control,” Brookings Institution, September 16, 2020, https://www.brookings.edu/blog/order-from-chaos/2020/09/16/spinning-good-news-on-arms-control/.
71 Dave Lawler, “Trump Aiming for Nuclear Arms Deal with Russia before Election Day,” Axios, October 9, 2020, https://www.axios.com/trump-russia-nuclear-arms-agreement-new-start-4fe42c37-83e0-4088-aa26-b37f8a07bf7f. html.
72 “U.S. Says ‘Agreement in Principle’ with Russia on Extending Key Nuclear Pact,” AFP, October 13, 2020, https://www.themoscowtimes.com/2020/10/13/us-says-agreement-in-principle-with-russia-on-extending-key-nuclear-pact-a71741.
73 「米ロ、新START 延長急ぐ 大統領選前の決着狙う」『日本経済新聞』2020 年10 月14 日、https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65004860U0A011C2FF2000/。
74 “Putin Proposes One-Year Extension of New START Treaty,” AFP, October 16, 2020, https://www.france24.com/en/live-news/20201016-putin-proposes-one-year-extension-of-new-start-treaty.
75 Umer Jamshaid, “US Awaits Russia’s Response to Offer on Extending New START Treaty— O’Brien,” Urdu Point, October 16, 2020, https://www.urdupoint.com/en/world/us-awaits-russias-response-to-offer-on-exten-1059012.html.
76 John Hudson and Isabelle Khurshudyan, “Trump Administration and Russia Near Deal to Freeze Number Warheads, Extend New START Pact,” Washington Post, October 21, 2020, https://www.washingtonpost.com/world/russia-ready-to-freeze-total-number-of-warheads-for-one-year-to-extend-nuclear-pact-with-us/2020/ 10/20/2c0b06c0-12bc-11eb-a258-614acf2b906d_story.html.
77 U.S. Department of State, “Progress on New START,” Press Statement, October 20, 2020, https://www.state.gov/progress-on-new-start/.
78 Irina Acheeva, “Russia Rejects US Proposals on New START Verification, Ryabkov Says,” Sputnik News, October 27, 2020, https://sputniknews.com/world/202010271080890761-moscow-continues-active-dialogue-on-new-start/.
79 “Moscow Ready Not to Deploy 9M729 Missiles in European Russia, Putin Says,” Tass, October 26, 2020,
https://tass.com/politics/1216411.
80 “UK Downsizes Its Nuclear Arsenal,” Arms Control Today, Vol. 45, No. 2 (March 2015), https://www.armscontrol.org/act/2015-03/news-briefs/uk-downsizes-its-nuclear-arsenal.
81 “Statement by the United Kingdom,” First Committee, UNGA, October 15, 2020.
82 “Speech of the President of the Republic on the Defense and Deterrence Strategy,” February 7, 2020,
https://www.elysee.fr/emmanuel-macron/2020/02/07/speech-of-the-president-of-the-republic-on-the-defenseand-deterrence-strategy.en.
83 Ibid.
84 “Statement by China,” First Committee, UNGA, October 12, 2020. 日本語訳は、「米露軍縮協議に中国の参加を求めるのは不公平で不合理かつ実行不能」『人民網』2020 年10 月13 日、http://j.people.com.cn/n3/2020/1013/c94474-9768695.html による。
85 ICAN, Enough Is Enough: 2019 Global Nuclear Weapons Spending, May 2020.
86 The U.S. Department of Defense, Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2020, p. 116.
87 Ibid., p. 87.
88 Ibid., pp. 86-87.
89 Minnie Chan, “Chinese Navy Puts Two New Nuclear Submarines into Service,” South Chinese Morning Post, April 29, 2020, https://www.scmp.com/news/china/military/article/3082195/chinese-navy-puts-two-new-nuclear-submarines-service.
90 Hans M. Kristensen and Matt Korda, “Nuclear Notebook: Chinese nuclear forces, 2020,” Bulletin of the Atomic Scientists, Vol. 76, No. 6 (2020), p. 451.
91 James Rosen, “Declassified U.S. Intelligence Tracks Huge Chinese Missile Buildup,” WJLA, September 19, 2020,
https://wjla.com/news/nation-world/exclusive-declassified-us-intelligence-tracks-huge-chinese-missile-buildup.
92 “Russia Achieves Certain Success in Helping China Set Up Its Missile Attack Warning System,” Tass, August 24, 2020, https://tass.com/defense/1193135.
93 François Hollande, “Nuclear Deterrence—Visit to the Strategic Air Forces,” February 19, 2015, http://basedoc.diplomatie.gouv.fr/vues/Kiosque/FranceDiplomatie/kiosque.php?fichier=baen2015-02-23. html#Chapitre1.
94 Hans M. Kristensen and Matt Korda, “Russian Nuclear Forces, 2020,” Bulletin of the Atomic Scientists, March 1, 2020, https://thebulletin.org/premium/2020-03/nuclear-notebook-russian-nuclear-forces-2020/.
95 Hans M. Kristensen and Matt Korda, “Russian Nuclear Forces, 2019,” Bulletin of the Atomic Scientists, Vol. 75, No. 2 (2019), p. 77; David Brennan, “Russia’s ‘Invulnerable’ Satan 2 Nuclear Missile will be Ready to Fire by the End of 2020, Space Agency Official Says,” Newsweek, July 8, 2019, https://www.newsweek.com/russia-satan-2-nuclear-missile-rs-28-sarmat-ready-fire-2020-1447994.
96 Kristensen and Korda, “Russian Nuclear Forces, 2020.”
97 Thomas Nilsen, “Bulava Ballistic Missile Launch from Brand New Strategic Sub in White Sea,” Barents Observer,
October 30, 2019, https://thebarentsobserver.com/en/security/2019/10/bulava-ballistic-missile-launch-brand-newstrategic-
sub-white-sea.
98 Kristensen and Korda, “Russian Nuclear Forces, 2019,” p. 77; Brennan, “Russia’s ‘Invulnerable’ Satan 2 Nuclear Missile.”
99 “Russia Reports Successful Test Launch of Hypersonic Missile,” AP, October 7, 2020, https://apnews.com/article/vladimir-putin-archive-russia-20688205e30f19a8d76fcd77cb9d45a4; “MoD Tests Tsircon Hypersonic Missile,” New Defence Order Strategy, October 7, 2020, https://dfnc.ru/en/russia-news/mod-tests-zircon-hypersonic-missile/.
100 “Is Russia Working on a Massive Dirty Bomb,” Russian Strategic Nuclear Forces, November 10, 2015, http://
russianforces.org/blog/2015/11/is_russia_working_on_a_massive.shtm.
101 Kyle Mizokami, “How Can We Stop Russia’s Apocalypse Nuke Torpedo?” National Interest, August 17, 2018,
https://www.popularmechanics.com/military/weapons/a22749605/how-can-we-stop-russiasapocalypse-nuketorpedo/.
102 Franz-Stefan Gady, “Russia to Deploy Over 30 Nuclear-Capable ‘Poseidon’ Underwater Drones,” Diplomat,
January 14, 2019, https://thediplomat.com/2019/01/russia-to-deploy-over-30-nuclear-capable-poseidon-underwater-drones/.
103 Kristensen and Korda, “Russian Nuclear Forces, 2020”; “Russia’s Nuclear Cruise Missile is Struggling to Take Off, Imagery Suggests,” NPR, September 25, 2018, https://www.npr.org/2018/09/25/649646815/russias-nuclear-cruise-missile-is-struggling-to-takeoff-imagery-suggests.
104 Zachary Cohen, “Satellite Images Indicate Russia is Preparing to Resume Testing Its Nuclear-Powered Cruise Missile,” CNN, October 20, 2020, https://edition.cnn.com/2020/10/20/politics/russia-nuclear-powered-cruise-missile-test-satellite-images/index.html.
105 Michael R. Gordon, “On Brink of Arms Treaty Exit, U.S. Finds More Offending Russian Missiles,” Wall Street Journal, January 31, 2019, https://www.wsj.com/articles/on-brink-of-arms-treaty-exit-u-s-finds-more-offending-russian-missiles-11548980645; “Russia Has Deployed More Medium-Range Cruise Missiles Than Previously Thought,” Radio Free Europe, February 10, 2019, https://www.rferl.org/a/report-russia-has-deployed-more-medium-range-cruise-missiles-than-previously-thought/29761868.html.
106 Jonathan Beale, “UK Nuclear Weapons Programme. £1.3bn over Budget,” BBC, January 10, 2020, https://www.bbc.com/news/uk-51052124.
107 Andrew Chuter, “Three British Nuclear Programs Are $1.67 Billion over Budget,” Defense News, May 12, 2020,
https://www.defensenews.com/global/europe/2020/05/12/three-british-nuclear-programs-are-167-billion-overbudget/.
108 U.K. Ministry of Defense, “The United Kingdom’s Future Nuclear Deterrent: The 2020 Update to Parliament,”
December 17, 2020, https://www.gov.uk/government/publications/the-united-kingdoms-future-nuclear-deterrent-the-2020-update-to-parliament/the-united-kingdoms-future-nuclear-deterrent-the-2020-update-to-parliament.
109 Jamie Doward, “Pentagon Reveals Deal with Britain to Replace Trident,” Guardian, February 22, 2020,
https://www.theguardian.com/uk-news/2020/feb/22/pentagon-gaffe-reveals-uk-deal-replace-trident-nuclearweapon; “MoD Confirms ‘Parallel’ US-UK Nuclear Warheads Replacement Programme after It Was First Reported in the US,” Morning Star, February 23, 2020, https://morningstaronline.co.uk/article/b/mod-confirms-parallel-us-uk-nuclear-warhead-replacement-programme-after-it-was-first.
110 Andrew Chuter, “Britain Confirms New Nuclear Warheads Project after US Officials Spill the Beans,” Defense News, February 25, 2020, https://www.defensenews.com/global/europe/2020/02/25/britain-confirms-new-nuclear-warhead-project-after-us-officials-spill-the-beans/.
111 Dan Sabbagh, “US Nuclear Warhead Standoff ‘Has Significant Implications for UK,’” Guardian, December 8, 2020,
https://www.theguardian.com/uk-news/2020/dec/08/us-nuclear-warhead-standoff-has-significant-implications-for-uk.
112 米国による核兵器能力の近代化については、Amy F. Woolf, “U.S. Strategic Nuclear Forces: Background, Developments, and Issues,” CRS Report, March 6, 2018, pp. 9-41; “U.S. Nuclear Modernization Program,” Fact Sheet
and Brief, Arms Control Association, August 2018, https://www.armscontrol.org/factsheets/USNuclearModernization などを参照。
113 The U.S. Department of Defense, Nuclear Posture Review 2018, February 2018. pp. 48-51.
114 Ibid., pp. 54-55.
115 William M. Arkin and Hans M. Kristensen, “US Deploys New Low-Yield Nuclear Submarine Warhead,” Federation of American Scientists, January 29, 2020, https://fas.org/blogs/security/2020/01/w76-2deployed/.
116 The U.S. Department of Defense, “Statement on the Fielding of the W76-2 Low-Yield Submarine Launched Ballistic Missile Warhead,” February 4, 2020, https://www.defense.gov/Newsroom/Releases/Release/Article/2073532/statement-on-the-fielding-of-the-w76-2-low-yield-submarine-launched-ballistic-m/.
117 NNSA, Fiscal Year 2021 Stockpile Stewardship and Management Plan – Biennial Plan Summary, December 2020, pp. 2-7.
118 Aaron Mehta, “Inside America’s Newly Revealed Nuclear Ballistic Missile Warhead of the Future,” Defense News, February 24, 2020, https://www.defensenews.com/smr/nuclear-arsenal/2020/02/24/inside-americas-newly-revealed-nuclear-ballistic-missile-warhead-of-the-future/.
119 Jon Harper, “Breaking: Pentagon Tests New Hypersonic Guide Body,” National Defense, March 20, 2020,
https://www.nationaldefensemagazine.org/articles/2020/3/20/pentagon-tests-new-hypersonic-glide-body.
120 National Nuclear Security Administration, “Notice of Availability of Final Supplement Analysis of the Complex Transformation Supplemental Programmatic Environmental Impact Statement,” Federal Register, Vol. 85, No. 5 (January 8, 2020), https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2020-01-08/html/2020-00102.htm.
121 Dinakar Peri, “India Successfully Test-Fires 3,500-km Range Submarine-Launched Ballistic Missile K-4,” Hindu, January 19, 2020, https://www.thehindu.com/news/national/india-successfully-test-fires-3500-km-k-4-slbm/article30601739.ece; Ankit Panda, “India Conducts Second January 2020 Submarine-Launched Ballistic Missile Test,” Diplomat, January 27, 2020, https://thediplomat.com/2020/01/india-conducts-second-january-2020-submarine-launched-ballistic-missile-test/.
122 Syed Zain Jaffery, “India Determined to Nuclearize Indian Ocean,” Eurasia Review, April 15, 2020, https://www.eurasiareview.com/15042020-india-determined-to-nuclearize-indian-ocean-oped/.
123 Anil Jai Singh, “Credibilising India’s Strategic Deterrence,” Financial Express, December 22, 2020, https://www.financialexpress.com/defence/credibilising-indias-strategic-deterrence/2155017/.
124 Kelsey Davenport, “India Tests Hypersonic Missile,” Arms Control Today, Vol. 50, No. 9 (October 2020),
https://www.armscontrol.org/act/2020-10/news/india-tests-hypersonic-missile.
125 Don Jacobson, “Israel Conducts Second Missile Test in 2 Months,” UPI, January 31, 2020, https://www.upi.com/Top_News/World-News/2020/01/31/Israel-conducts-second-missile-test-in-2-months/3481580486615/.
126 パキスタンの核戦力に関しては、以下を参照。Hans M. Kristensen, Robert S. Norris and Julia Diamond, “Pakistani Nuclear Forces, 2018,” Bulletin of the Atomic Scientists, Vol. 74, No. 5 (2018), pp. 348-358.
127 “Pakistan Successfully Tests Nuclear-Capable Air Launched Cruise Missile Ra’ad-II,” NDTV, February 19, 2020,
https://www.ndtv.com/world-news/pakistan-successfully-tests-nuclear-capable-air-launched-cruise-missile-raad-ii-2182228.
128 “Report on 5th Plenary Meeting of 7th C.C., WPK,” KCNA, January 1, 2020, http://www.kcna.co.jp/item/2020/202001/news01/20200101-01ee.html.
129 Michael Elleman, “Does Size Matter? North Korea’s Newest ICBM,” 38 North, October 21, 2020,
https://www.38north.org/2020/10/melleman102120/.
130 Joseph Bermudez, “Sil-li Ballistic Missile Support Facility,” Beyond Parallel, May 5, 2020, https://beyondparallel.csis.org/sil-li-ballistic-missile-support-facility/.
131 Shea Cotton, “Expect a Surge in North Korean Missile Tests, and of Greater Range,” Defense News, April 10, 2020,
https://www.defensenews.com/opinion/commentary/2020/04/10/expect-a-surge-in-north-korean-missile-tests-and-of-greater-range/.
132 Oh Seok-min, “N. Korea Fires 2 Short-Range Ballistic Missiles toward East Sea: JCS,” Yonhap News Agency, March 21, 2020, https://en.yna.co.kr/view/AEN20200321000453325?section=nk/nk#none; Michael Elleman, “Preliminary Assessment of the KN-24 Missile Launches,” 38 North, March 25, 2020, https://www.38north.org/2020/03/melleman032520/.
133 U.S. Department of Defense, North Korean Tactics, July 2020, https://fas.org/irp/doddir/army/atp7-100-2.pdf.
134 S/2020/840, August 28, 2020, p. 7.
135 S/2020/840, August 28, 2020, pp. 7-8. また、平山の施設が稼働及び近代化を継続しているとの分析について、Joseph Bermudez and Victor Cha, “Pyongsan Uranium Concentrate Plant (Nam-chon Chemical Complex),” Beyond Parallel, May 29, 2020, https://beyondparallel.csis.org/pyongsan-uranium-concentrate-plant-nam-chon-chemicalcomplex/も参照。
136 “IAEA Suspects Kangson Facility of Enriched Uranium Production,” Hankyoreh, November 20, 2020, http://english.hani.co.kr/arti/english_edition/e_northkorea/970851.html.
137 Olli Heinonen, “New Evidence Suggests Kangson Is Not a Uranium Enrichment Plant,” 38 North, December 18, 2020, https://www.38north.org/2020/12/kangson201217/.

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