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国際平和拠点ひろしま

hlpf2022「国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」知事(HOPe代表)のアメリカ訪問の結果について(2022年7月)

1 全体概要

 ニューヨークの国連本部で開催された「国連ハイレベル政治フォーラム」特別イベントでのセッション開催や,国連幹部との個別の意見交換を通じて,本県及びHOPeの平和の取り組みの発信や核軍縮の進展に向けた働きかけ等を行いました。
 また,ワシントンにて,米国の政府関係者にG7サミットの広島開催に向け,各国首脳による平和記念資料館の見学や被爆者との対話の機会を求めるなどの協力を依頼するとともに,世界的な研究機関と今後の研究事業に関する協議を行いました。

【訪問日程】 令和4年7月4日(月)~7月10日(日)
【訪問場所】 ニューヨーク,ワシントンDC(米国)

【取組】

○ 「国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」での働きかけ
○ SDGsを牽引する国連機関や人物等への働きかけ
(ア)SDGsに取り組むNGOネットワークとの協議
(イ)国連日本政府代表部表敬
(ウ)国連SDGs執務部局との協議
    (エ)国連軍縮部との協議
    (オ)国連開発計画との協議
○ 米国政府機関や有力シンクタンクへの働きかけ
    (ア)カーネギー国際平和財団との協議
    (イ)核脅威イニシアティブ(NTI)との協議 
    (ウ)NGOリーダーとの協議
    (エ)在米日本大使館表敬
    (オ)ランド研究所との協議
    (カ)米国国務省との協議
         (キ)米国国家安全保障会議(NSC)との協議
 

2 主な内容

「国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」での働きかけ【7月5日(火)】
特別イベントでのセッションの開催

 

 国連本部で開催された国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)へ参加し,県・HOPeの取組を発信するとともに,持続可能性と核兵器廃絶の課題を提起し,取組への賛同を働きかけました。

 

 主な議論

○ 核兵器の使用は,SDGsが掲げるすべての目標の達成に壊滅的なダメージを及ぼす。
○ 核兵器は,製造プロセスにおける健康被害や,核実験による人的被害,環境汚染など,例え使用されなくても,SDGsの達成にとって大きなマイナスの影響を及ぼし続けている。
○ 我々は,核兵器問題を人類や地球の持続可能性という観点から捉え直さなければならない。
〇 軍縮と開発の関係は何十年も前から広く認識されており,例えば国連憲章第26条は,世界の人的経済的資源の軍備への転用を最小限に抑え,国際平和と安全の確立と維持を促進するために,軍縮を促進することを国連安全保障理事会の義務としている。
〇 NTI等が実施する共同プロジェクトである,ホライズン2045の実施は,利益を得る手段としての戦争を可能とする技術的・経済的統治システムを転換するため,核兵器廃絶の取組が,私たちの制度,技術,統治,理解をどのように変化させていくかを実証していく取組であるとの紹介があった。
〇 セッションを通して,核兵器をめぐる問題が,人類の差し迫った課題となっており,経済や社会,環境問題をはじめとする持続可能性と深く結びついているとの認識が参加者の間で共有された。

 

 

SDGsを牽引する国連機関や関係者等への働きかけ

 SDGs推進の中心となっている国連機関や関係者に対して,持続可能性と核兵器廃絶との関係についての理解促進を図るため,直接,働きかけを行いました。

(ア)SDGsに取り組むNGOネットワークとの協議【7月5日(火)】

 SDGsに取り組むNGOネットワークであるSTARTの最高経営責任者で創始者でもあるハサン・バージ博士と,県・HOPeが目指す,ポストSDGsの目標に核兵器廃絶を設定する取組について意見交換しました。SDGsの枠組で核兵器とのつながりを作るために,経済界との連携や人々に取組への動機づけを行い,経済的利益を生みだすシステムを作ることが大切,との助言をいただきました。

 

(イ)国連日本政府代表部表敬【7月5日(火)】

 石兼公博大使と最近の核兵器をめぐる国際情勢や日本政府の取組について意見交換し,核兵器の問題が,人間の安全保障や持続可能性に深く関係していることについて,共通の理解を得ました。G7サミットの広島開催に向けた協力を依頼するとともに,ポストSDGsの目標に核兵器廃絶を設定する取り組みについて説明し,理解を求めました。

 

(ウ)国連SDGs執務部局との協議【7月5日(火)】

 マリア・フランチェスカ・スパトリサーノ国連政策調整・関連機関間問題担当事務次長補とマリオン・バルテルミー持続可能な開発のための政府間支援・調整事務局部長に対し,県・HOPeが目指すポストSDGsの目標に核兵器廃絶を設定する取組について説明しました。両氏からは,「地球の安全と生命の将来に関する説得力のある目標だ」との賛同があったほか,「来年以降のSDGsに関連する会議などでコンセプトを周知していってはどうか」との助言がありました。

 

 

 

(エ)国連軍縮部との協議【7月5日(火)】

 ベイザ・ウナル科学技術・国際安全保障ユニット長とウクライナ侵略による国際安全保障の変化と8月のNPT運用検討会議について,現状分析や見通しなどを聞き,意見交換しました。これからの安全保障には持続可能性の概念が必要との賛同を得ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

(オ)国連開発計画との協議【7月6日(水)】

 アヒム・シュタイナー総裁にポストSDGsの目標に核兵器廃絶を設定する取組について説明し,持続可能性と核兵器問題について,共通の理解を得ました。「正しいことは,いつも簡単には始められないものだが,始めないといけない」とのコメントがありました。来年,広島で開催予定のG7サミットにおいて,人間の安全保障と核兵器廃絶という枠組で,同機関とどのような取組や連携ができるかについて,意見交換しました。

 

 

 

 

 

 

 

米国政府機関や有力シンクタンクへの働きかけ

 米国政府機関関係者に対し,G7広島サミット開催に向けて,各国首脳による慰霊碑参拝や平和記念資料館訪問,被爆者との対話や平和のメッセージ発信への協力をお願いしました。またシンクタンク関係者等に対し,核兵器をめぐる国際情勢や米国政府の取組について,意見交換を行い,県・HOPeの取組への理解と協力を求めました。

 

(ア)カーネギー国際平和財団との協議【7月7日(木)】

 

 ジョージ・パーコビッチ副会長及びジェイムズ・アクトン核政策プログラム共同部長と,核抑止に替わる安全保障について意見交換しました。核兵器の役割が各国によって違う現状や新技術の発展による変化などについて,助言を得ました。

 

 

 

 

 

(イ)核脅威イニシアティブ(NTI)との協議 【7月7日(木)】

 

 ジョアン・ロールフィング会長をはじめ幹部が同席し,各々のプログラムの活動内容について情報交換しました。NTIからは,核兵器のない世界をつくるために,核兵器をめぐるシステムを変えることを目指す,ホライズン2045の取組が紹介され,HOPeの取組とも共通点があるため,今後,連携して取り組むこととなりました。また,G7広島サミットでの各国首脳による平和記念資料館訪問や被爆者対話への要望についても賛同が示され,米国政府への働きかけへの協力を得ました。

 

 

 

(ウ)NGOリーダーとの協議【7月7日(木)】

 

 軍備管理協会やプラウシェアズ財団など,核兵器のない世界の実現に向けて活動しているNGO6団体のリーダーたちと活動紹介や意見交換を行った。来年のG7広島サミットの機会を利用して,核兵器廃絶への意識と注目を高めるために,広島と長崎で核軍縮に関する会議を共同開催してはどうかなど,活発な意見交換が行われました。

 

 

 

 

(エ)在米日本大使館表敬【7月7日(木)】

 

 冨田浩司大使と面会し,ウクライナ侵略があり,核兵器は重要課題になっているため,G7サミットの広島開催は意義深いとのコメントや,米国内で広島・長崎をどう捉えるかは歴史的に複雑な問題だとの指摘がありました。また日米間には,来るNPT運用検討会議を成功させなければいけないという一致した認識があるとの話がありました。知事からは,G7広島サミットの際には,各国首脳による慰霊碑参拝や平和記念資料館訪問,被爆者との対話や平和のメッセージ発信が実現するよう,米国政府に対する働きかけを依頼しました。

 

(オ)ランド研究所との協議【7月7日(木)】

 

 デービッド・オシュマネク上級防衛研究員と面会し,県・HOPeが取り組む核抑止に替わる安全保障研究に関して意見交換しました。防衛の視点から,北東アジアの現状や,新技術がもたらす変化などを踏まえ,抑止に関する分析や考えを伺いました。

 

 

 

 

 

 

(カ)米国国務省との協議【7月8日(金)】

 

 マロリー・スチュワート国務次官補(軍備管理・検証・コンプライアンス局)と面会し,G7広島サミット開催に向けて,バイデン大統領をはじめ各国首脳による平和記念資料館訪問や被爆者との対話などを要望しました。国務次官補からは賛同が示され,国務省内と国家安全保障会議にも伝える旨の発言があった。米国内には軍備管理という言葉を嫌う人もいる現状を説明された上で,軍備管理も軍縮も国家安全保障のためにあるという考えが共有されました。

 

 

 

 トーマス・カントリーマン上級アドバイザー(国際安全保障・不拡散局)も,G7広島サミット開催時の平和記念資料館訪問について,前向きな反応がありました。核軍縮については,ロシアが困難な課題となっているが,8月のNPT運用検討会議については,合意文書の採択を得られるよう努力したい旨の考えが示されました。

 

 

 

 

 

 ボニー・ジェンキンス国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)からも,平和記念資料館訪問について,G7サミット期間中のスケジュールの問題があるが,訪問できるようにしたいとの賛同を得ました。来月のNPT運用検討会議では,ロシアによるウクライナ侵略が多くの課題をもたらす中,NPT体制の重要性を再確認することが重要との認識が示されました。

 

 

 

 

(キ)米国国家安全保障会議(NSC)との協議【7月8日(金)】

 

 プラネイ・バディ上級部長(軍備管理・不拡散担当)からは岸田首相の北東アジアの安全保障と核軍縮への取組に関する謝意が示された。G7広島サミットでの平和記念資料館訪問については,バイデン大統領が訪問できるように努力するとの前向きな発言を得た。また,バイデン政権は強力な抑止力を持つとともに,核兵器を使わない防衛アプローチを目指していると説明し,ロシアとも戦略対話を再開できるようにしたいとの発言がありました。

 

 

 

 

3 成果

【賛同者の拡大】
 国連ハイレベル政治フォーラムでは,特別イベントでのセッション開催を通じて,多くの人々に核兵器と持続可能性の問題について考えていただく機会を提供することができました。また,国連でSDGsを推進する幹部や関係者との協議を通じて,この問題への認識を持っていただくことができました。
【多国間枠組みの形成】
 今回の取組を通して得られた国連機関やNGOとのネットワークをもとに,市民社会グループ「グローバル・アライアンス」の拡大や,ひいては,フレンズ会合の立ち上げにつなげていく基礎作りができました。

【政策づくり】

 世界的な研究機関やシンクタンクから,研究事業への有益な助言を受けることができ,核抑止に頼らない安全保障政策づくりに向けて,今後の協力依頼ができました。

【G7広島サミットへの協力依頼】

 また,米国政府や日本政府の高官との協議を通じて,核兵器問題の重要性を訴え,G7サミットの広島開催への協力や理解を得ることができました。

 

 

4 日程 

月 日

時 間
(現地時間)

項 目 場  所
7/4
(月)
日本発/現地着 ニューヨーク
7/5
(火)

8:00~9:00

 

10:00~10:30

12:00~13:00

 

13:00~14:00

15:30~16:00

 

 

16:30~17:00

 

  • SDGsネットワークSTART ハサン・バージ最高経営責任者との協議
  • 国連日本政府代表部 石兼公博大使表敬
  • 国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)特別イベントでのセッション開催
  • ユニタール ニキル・セス事務次長補らとの協議
  • 国連SDGs執務部局 マリア・フランチェスカ・スパトリサーノ国連政策調整・関連機関間問題担当事務次長補とマリオン・バルテルミー持続可能な開発のための政府間支援・調整事務局部長との協議
  • 国連軍縮部 ベイザ・ウナル科学技術・国際安全保障ユニット長との協議

 

 

ニューヨーク
7/6
(水)
12:15~13:00
  • 国連開発計画 アヒム・シュタイナー総裁と協議
    現地着

ニューヨーク

ワシントンDC

7/7
(木)

11:00~12:00

 

12:30~13:30

13:30~14:30

15:00~15:30

16:30~17:15

  • カーネギー国際平和財団 ジョージ・パーコビッチ副会長及びジェイムズ・アクトン核政策プログラム共同部長との協議
  • NTI ジョアン・ロールフィング会長らと協議
  • 軍備管理協会 ダリル・キンボール会長らNGOリーダーとの協議
  • 在米日本大使館 冨田浩司大使表敬
  • ランド研究所 デービッド・オシュマネク上級防衛研究員との協議
ワシントンDC
7/8
(金)

10:15~11:00

13:00~14:00

14:00~14:30

15:30~16:00

  • 米国国務省 マロリー・スチュワート国務次官補との面会 
  • 米国国務省 トーマス・カントリーマン上級アドバイザーとの面会
  • 米国国務省 ボニー・ジェンキンス国務次官との面会
  • 米国国家安全保障会議 プラネイ・バディ上級部長との面会
ワシントンDC
7/9
(土)
現地発
7/10
(日)
日本着

※日付表示は現地時間
※組織名称は一部略称使用

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